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ハウンド島サブアイランド

## (2028年9月12日・午前中ごぜんちゅう東海連邦とうかいれんぽう猟犬島副島りょうけんとうふくとう


あさ陽光ようこう東海連邦とうかいれんぽうの海岸沿い(かいがんぞい)の通り(とおり)にし込み、金色きんいろ光線こうせんがヤシの隙間すきまを通りとおけ、地面じめんにまだらなかげげた。通り(とおり)にはくるまひと往来おうらいし、歩行者ほこうしゃたちは足取あしどりがはやいながらも表情ひょうじょうおだやかだ。道端みちばたの朝ご飯屋台あさごはんやだいからは豆乳とうにゅうと油揚げ(あぶらあげ)の香り(かおり)がただよい、時折ときどきカラフルな風船ふうせんった子供こどもたちがはしぎた——「Seyerセイヤー武力ぶりょくで帰ってくる」といううわさがネットじょうひろまっているにもかかわらず、ここの生活せいかつ依然いぜんとして秩序ちつじょただしく、だれもその根拠こんきょのないニュースをにしていなかった。


「Thunder Boxing Gym(雷霆搏击館)」のガラスドア(ガラスドア)がかれ、Chi Xiao(赤霄)はくろいスポーツウェアをて、スポーツバッグをげてはいってきた。館内かんないにはすでにおおくの生徒せいとがトレーニングをしており、サンドバッグをつ「ボンボン」というおと、ボクシンググローブが衝突しょうとつする「パチパチ」というおとがあちこちでひびいた。かれがバッグをくと、Jacob(雅各布)とSamuelサミュエル対練たいれんしているのがえた。前者ぜんしゃ出拳しゅっけんはやく、後者こうしゃ守備しゅびかたく、二人ふたり默契もっちあふれる連携れんけいせていた。


「おはよう、Chi Xiao。」Jacobがかれ笑顔えがおり、けんおさめて退いた,「昨日きのうおしえたコンビネーションパンチ、今日きょうももう一度いちど練習れんしゅうする?」


Chi Xiaoはうなずきき、ボクシンググローブをり出して包帯ほうたいはじめた:「いいよ。ウォーミングアップがわったらく。」包帯ほうたいきながら、余光よこみつ館内かんないをスキャン(スキャン)した——メキシコのアミューズメントパークから東海連邦とうかいれんぽうもどって以来いらいかれはこのボクシングコーチの仕事しごとつけた。ウイルス(ウイルス)や変異体へんいたいといったいやなことをかんがえる必要ひつようがなく、毎日まいにちけんあせち込むことで、むしろこころくとかんじていた。


そのとき館外かんがいからくるまのクラクションおとひびき、くろいセダン(セダン)が入りいりぐちまった。まどしたりて、Zhong Meimei(鐘美美)の精巧せいこうかおあらわれた。彼女かのじょはシルエットのうつくしいスーツをて、かみ一筋ひとすじみだれもなくセットし、ブリーフケース(ブリーフケース)をち、ハイヒール(ハイヒール)をんでこしらしながらはいってきて、たかこえった:「あらChi Xiao、いそがしいの?」館内かんない生徒せいとたちをながら、最後さいごにChi Xiaoの身上しんしょう視線しせん固定こていした,「時間じかんある?最近さいきんのことではなしたいの~」


Chi Xiaoの包帯ほうたい一時いちじまり、うえげて平然へいぜん口調こうちょうった:「Zhong指導者しどうしゃわたしいまボクシングをおしえるだけで、政治せいじはなしはしません。」かれはこれまで権力けんりょく立場りっちょう理由りゆうこった紛争ふんそう太多たた経験けいけんしてきたため、いまはこうしたことからはなれ、おだやかに生活せいこうしたいだけだ。


Zhong Meimeiは誇張こちょうにまばたきをし、突然とつぜんポカンとわらって、蘭指らんしてた:「わかったわかった!じゃあ仕事しごと邪魔じゃましないね~時間じかんがあったら、ごはんをおごってくれるよね!」そうってり返り、ハイヒール(ハイヒール)が地面じめんたたおときよらかにひびいた——彼女かのじょはChi Xiaoの配慮はいりょ理解りかいしているし、うらむわけでもなかった。ただ時折ときどき国家大事こっかだいじはなしたいだけだ。毕竟ありゅう東海連邦とうかいれんぽういま安穏あんおんたのには、Chi Xiaoも当時とうじおおきく貢献こうけんしたからだ。



同時どうじに、猟犬島副島りょうけんとうふくとう海岸沿い(かいがんぞい)の通り(とおり)のもう一方いっぽうで、Yang Yue(阳跃)の雑貨店ざっかてんはにぎやかだった。みせの入りいりぐちにはカラフルなプラスチックのテーブルと椅子いすを数セット(すうセット)いており、ビーチであそ観光客かんこうきゃくたちがそこにすわって飲料いんりょうみ、スナックをべていた。Yang YueはシンプルなTシャツとショートパンツ(ショートパンツ)をて、きゃくにコーラ(コーラ)をわたやすまないが、かおにはめん笑顔えがおだった。


「Ling Yi(凌翼)、冷蔵れいぞうしたミネラルウォーターを数本すうほんってきて!」Yang Yueはみせなかけてさけんだ。すぐにLing Yiがミネラルウォーターをたしたバスケット(バスケット)をっててきたが、そのうしろにはあにのJacobとSamuelもついてきていた。


「ボクシングジムの仕事しごとわったから、手伝てつだいにた。」Jacobは笑顔えがおでバスケット(バスケット)をテーブルのうえき、ミネラルウォーターを一本いっぽんり出してんだ,「今日きょうひとおおいね。もうすこしテーブルと椅子いす追加ついかする?」


Yang Yueはうなずきき、ひたいあせいた:「いいよ。あと倉庫そうこからはこぶ。」まえのにぎやかな光景こうけいながら、こころ満足感まんぞくかんあふれた——東海連邦海軍とうかいれんぽうかいぐん退隊たいたいして以来いらいかれ貯金ちょきんでこの雑貨店ざっかてんひらいた。毎日まいにち観光客かんこうきゃくせっし、各地かくち面白おもしろはなし日子ひごは、気楽きらく心地良ここちよかった。


そのとき、Yang Yueの携帯電話けいたいでんわ突然とつぜんはじめた。画面がめんには「Happy Cat(快楽猫)」という名前なまえ表示ひょうじされた。かれ愣然ろうぜんとしてすぐに受話器じゅわきをつけ、みせすみった:「もしもし、Happy Cat?やっと返事へんじしてくれたね!」


電話でんわの向こうむかいがわからはHappy Catのれたこえこえたが、すこしぼやけていて、まるでとお距離きょりにいるようだった:「ごめんね、Yang Yue。まえメッセージをなかったんだ。メキシコのアミューズメントパークのときおと?それおれじゃないよ。おれもどうしたのからない。」


Yang Yueはまゆしわめた:「それだと、まえどこにいたの?電話でんわないし、メッセージもかえさない。」


「もう一つの平行世界へいこうせかいあそびにってたんだ。こっちの信号しんごうわるくて、メッセージがとどくのがおそかった。」Happy Catのこえには几分いくぶん興奮こうふんざっていた,「もどったらくわしくはなすから、こっちはまだ用事ようじがあるので、さきるね!」


電話でんわれると、Yang Yueは携帯電話けいたいでんわってしばらく愣然ろうぜんとしていたが、やっとHappy Catのはなし本当ほんとうだと理解りかいした——毕竟ありゅうアイスランド、ルーマニア、メキシコでは、かれたちも超自然現象ちょうしぜんげんしょうをたくさん目撃もくげきしてきたから、平行世界へいこうせかいなんてものもありる。


あたまりながらみせもどると、ちょうどChi Yun(赤云)がAntonアントンいてやってきた。Antonは自動車教習所講師免許証(じどうしゃきょうしゅうじょうこうしめんきょしょう)をって、かおいっぱいうれしそうな表情ひょうじょうだ:「Yang Yue、おれ教習所きょうしゅうじょう講師免許こうしめんきょったよ!これからひと運転うんてんおしえられるんだ!」


Yang Yueは笑顔えがおかれかたたたいた:「すごいね、Anton!おれ今後こんご免許めんきょときは、かならきみおしえてもらう!」


Chi Yunもわらい、Antonのいてテーブルのそばすわった:「おれたちは教習所きょうしゅうじょうからかえ途中とちゅうで、こっちをとおるからた。今日きょうひとおおいね、手伝てつだいをしようか?」


Yang Yueはうなずきき、二人ふたり冷蔵れいぞうしたジュース(ジュース)を二杯にはいわたした:「いいよ。ちょうどりないんだ。」

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