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男装令嬢の恋と受胎 ~国一番の顔面偏差値を持つ隠れ天敵な超絶美形銃騎士に溺愛されて幸せです~  作者: 鈴田在可
恋編

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12/33

12 初遠征での初目撃

R15注意


注1)主人公が男と勘違いされた上で軽く狙われてます

注2)下ネタあり

 ノエルにもらった「魔法のドリンク(マジックエナドリ)」のおかげもあり、その後のフィオナは、他の訓練生たちに遅れを取ることなく訓練をこなすことができた。


 訓練学校は二年間あり、徐々に戦闘技術や肉体の成長を――胸以外で――感じていたフィオナは、「貴族だけは学校を一年修めれば銃騎士になれる特例制度」を使わずに、他の隊員と同じように二年頑張ろうと思っていた。


 ところが、その考えを覆す出来事が、訓練学校に入校して初めての遠征先で起こってしまった。






 銃騎士養成学校は人里離れた自然豊かな場所に、銃騎士たちの訓練や合宿に使う大きな施設を持っている。その一つで「九番隊砦」と呼ばれる施設に泊まりで遠征に来たフィオナは、夜、集団で男風呂に入らなければならない場面に遭遇していた。


 普段はキャンベル伯爵家のタウンハウスでしか入浴していないが、遠征ともなればそうはいかない。しかも九番隊砦の遠征では、「夜は皆で風呂に入って裸で親睦を深め合う」というのが一つの伝統らしい。


「遠征時の風呂対応」については、ジュリアスが秘密裏にフィリップ姿になって代わりに風呂に行き、フィオナは浄化魔法で入浴したのと同じ状態にする――という手はずだったのに、その肝心要のジュリアスが、いつまで経っても現れなかった。


 後から知るが、ジュリアスはその時、駆り出された獣人との戦闘において何度も魔法を乱発するという無茶をし、危機的な状況は回避したものの魔力切れを起こして気絶していたらしい。


 フィオナは風呂を取り止め(キャンセルし)たい気持ちと、昼間の訓練で汗を掻いて単純に入りたい気持ちの中で葛藤したが、考えている間に「時間内に入らないと先輩に怒られるから」と言う同期に手を引かれ、風呂場の前室である脱衣場まで強制的に連れて来られてしまった。


 脱衣場(禁断)の扉が開くと、むわっと湿った空気と共に、鍛えられた肉体を余すところなく披露している訓練生たちが視界に入り、フィオナは自然と茂みの中の鎮座物をいくつも目撃する羽目になった。


 通常ならばここで悲鳴を上げて逃げ帰るか、赤面して手で顔を覆うかするだろうが、そんなことをすれば女と怪しまれると思ったフィオナは平静を装った。しかし、心の中では『ギャァァーッ!』と盛大なる叫び声を上げていた。


 フィオナは複数の鎮座物を同時に見るなどという経験は初めてだった。昔、生前の長兄フレデリクと婚約者アリアが戦っている場面を、次兄フィリップと共に見てしまったことはあるが、あれは兄だったので、フィオナの中では「目撃事案」に含まれていなかった。


 フィオナはジュリアスから婚約の指輪とは別に、フィリップに成り代わるための魔法の指輪を贈られている。

 その指輪をはめている間は、裸であっても見た目が男性になるので、女とバレずに共同風呂での入浴が可能なはずだ。


 ただ、フィオナの目から見ても自分の下半身にプラプラ揺れるものが見えてしまうが、兄のプラプラだと思えばフィオナの中では無問題だった。ちなみに魔法で「見た目」を変えているだけで、本当に身体が男性になるわけではない。


 最初は指輪をしたまま、ささっとお風呂を済ませてしまえと思っていたが、フィオナが同期と共に脱衣場内へ入っていくと、こちらに気付いた先輩や同期のうち、なぜかギラギラと獲物を見るような鋭い視線を寄越す者が数名いた。


 養成学校は教官もほぼ男ばかりの男所帯だ。先輩風を吹かせてそっち系の趣味を隠そうともしない者もいる。男装したフィオナはショタ美少年と化していたため、狙われていると感じることもこれまで何度かあった。

 しかしフィオナが貴族なので手を出しあぐねている様子でもあり、若干油断していたが、フィオナはこちらをじっとりと見つめてくる男たちの視線に、ものすごく、切実に、貞操の危機を感じた。


「あ、忘れ物しちゃった」


 フィオナはしてもいない忘れ物を口実に危険地帯からの逃走を図った。肌にまとわりつくような視線を背に受けながら何食わぬ風で脱衣場から出たフィオナは、扉を閉めるなり脱兎のごとく走り出し、貴族待遇として与えられた広めの一人用宿泊部屋まで急いだ。

 

(絶対に今日は誰かが夜這いを仕掛けてくる気がする!)


 本日は入校してから初めての宿泊訓練である。よからぬことを考えている輩が行動を起こすなら今夜だろう。

 

(今夜は部屋のカギを厳重に掛けよう! 扉とか窓の前に家具を置くくらいはした方がいいかも!)


 身の安全を確保する算段を立てながら宿泊部屋の扉を開けたフィオナは、部屋の中に立つ、とある人物の姿を認めて、瞬時に動きを止め(フリーズし)た。


 部屋の中にいたのはジュリアスだった。約束の時間よりも遅れてやって来た彼は、今日も今日とて持ち前の輝かしい美貌で周囲の空気を浄化しているような佇まいだが、なぜか、これから風呂に入りに行く直前のような姿(スタイル)――つまり、素肌で腰にタオルを巻いただけのセクシー姿――だった。


 ジュリアスの色気ダダ漏れ半裸姿を初めて見たフィオナの、思考のすべてが吹き飛んだ。


「フィー、遅れてごめん。俺が遅れたせいで、見なくてもいいものを見てしまったね。婚約者として不甲斐ない。お詫びに、俺のものも見てくれ」


 目の前の男がタオルを留めていた部分を緩めると、ファサッ…… とタオルが床に落ちた。


 ジュリアスの鎮座物は、先ほど見たどのものよりも、圧倒的に美しかった。


 ジュリアスの場合は、まさか「美しい」という形容詞が最も似合っているとは思わなかった。


 奇跡のような光景を目にすると共に、大好きな人の()()()を見たフィオナは、扉を開けてジュリアスの半裸姿を視界に入れた時から既に、準備万端(発射OK)となっていた鼻から鼻血を噴き出し、そのまま気絶した。


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