3、情報収集です。
サナリンからこの世界について色々聞き出すことができた。バカだと思っていたが知識は豊富みたいだ。
まずこの世界は聞いていた特徴通り争いが耐えないらしい。昔は国や集落がいくつもあったが、ひとつの国が領土拡大のために戦争を仕掛けたことをきっかけに各地で戦争が頻発した。
そして、今はたった3カ国しか存在しない。
他は全滅させられたか、傘下になり吸収された。
その3カ国のうちひとつがどちらかの国に戦争を仕掛けると残ったひとつの国が有利になってしまうため、今はどの国も睨み合い均衡が保っているらしい。
ただ、どの国もこの状況をよく思っておらず戦略を立てている最中だろう、とサナリンは予想していた。
「そんな状況なのにサナリンはなぜこんな場所に?」
心配になり尋ねた。
「それは…その……」
珍しく言い淀んでいる。
「いや、言いたくないならいいんだ。すまない、無神経だった。忘れてくれ。」
誰にだって言いたくないことや思い出したくないことはある。ましてやさっき会ったばかりの俺になんか話したくないだろう。サナリンは「すみません」と言い、そのまま黙り込んでしまった。
「クリエイト」
俺は目の前にシチューを創造する。
「飯にしようぜ」
「え!?……今目の前に急に現れました!」
サナリンが目を丸くしてびっくりしている。
「俺はマジシャンだからな。これくらい朝飯前だよ」
「日も沈んできたし、もう夕ご飯だけどな!」
………………………………。
「…………すまない。」
少しの静寂の間、彼女は体をぷるぷる振るわせた後に口を開く。
「す……凄いです!カンザキさん!」
「マジシャン…っていうのはよく分からないんですが、凄いです!!しかもこれとっっても良い匂いがします!」
「美味しそうです!!食べてもよろしいのでしょうか!!」
彼女を元気づけたくてやったのだが、結果的に成功したようでよかった。
俺は少し、いやかなりネガティブ思考の持ち主なので彼女のような無邪気な笑顔を見ると元気がもらえる。
会ってまもない俺が言うのもなんだがサナリンにはずっとこのままでいて欲しいと願う。
異世界に転生して最初のご飯はとても賑やかなものとなった。