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『跡』

作者: 折原琴子

「跡」



 お気に入りだったサンダルを片手に、足に残る日焼けの跡を見つめた。

 白い砂粒が親指と人差し指の股に溜まっている。

 次の波で、足を洗う。

 ふふ。

 やっぱり、白い砂粒が残る足。


 日焼け止めをたっぷり塗って歩いたけれど。

 夏の思い出はくっきりと。

 海に向かって日に当てる。

 大きな麦わら、黒いワンピース。

 スカートの裾にも白い粒。

 流した思い出、波が寄せて戻してきたの。


 全部飲み込んでくれれば良いのにね。

 あの太陽みたいに、溶かしてしまえば。

 私を砂に沈めようとするくせに。

 片手は麦わら、転びそう。


 波の音に夕焼け。

 もう、無理かしら。

 沈んでしまった太陽を見つめる。


 甲に残ったサンダルの跡。

 纏わり付く、白い砂粒。

 海に落ち、滲み出た橙。

 

 ふふ。

 消えない色と

 波に揺れる肌色が冷たい。



お読みくださりありがとうございました。

この作者他にはどんなの書くの?と思われたら、広告を飛び越えて読み回りリンク集へどうぞ。

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↓楠木結衣さま作成(折原琴子の詩シリーズに飛びます)↓
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― 新着の感想 ―
[一言] 素敵な夏の思い出という感じでしょうか。 雰囲気が出ていてとっても好きです。 読み回りリンク集も可愛いですね〜。
2023/10/20 21:46 退会済み
管理
[良い点] 夏の終わりの砂浜で、夕陽に煌めく波とともに、足元に打ち寄せる白い砂粒、サンダルの跡が残る足の甲。詩の描写の一つひとつから、自分も波打ち際を歩いているような感覚になりました。 寄せては返す…
[良い点] 夏もそろそろ終わり。 こちらでは『異常気象』と言われるほどに暑い日が続きましてね、本日も残暑に見舞われております。 そのような最中に御作品に出会いまして、本当に海を訪れ、砂浜に『跡』を残し…
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