幼馴染みの全てを知った。
“今日、俺はシングルベッドの狭さを知った。”
そして幼馴染みの全てを知った。
幼馴染みの優香のことは全て知っているつもりだった。生まれたときから家が隣で、まるで兄弟のような存在だった。
幼稚園、小学校、中学校が全て同じだった。
薄暗い部屋、午前4時、俺は寝ている遥香の背中を見つめ、優香との記憶を巡らせる。
幼稚園時代、優香は泣き虫な俺といつも一緒にいてくれた。
同い年だけど、強がりでお姉さん気質のあった優香は、俺のお姉さん的存在だった。
二人で遊んで、二人でお風呂に入って、二人で寝る。
これが当たり前で本当に姉弟のような関係だった。
親同士もとても仲が良く、両方の家族でよく一緒に出掛けたりもしてた。
その頃は“好き”という恋愛感情はなかったが、俺は優香のことが友達として大好きだった。
小学校に入学してもその関係は変わらなかった。
入学式では伊波優香とこの俺、内屋翔真は出席番号が近いので、手を繋いで入場した。今でも優香の少し強引な手引きは覚えている。
低学年のころは男女関係なく友達を連れてきてみんなで遊んでいた。
ある日、鬼ごっこをしているときに俺がコンクリートの上で転び、膝が血だらけになったことがあった。そのとき俺は大泣きし、優香は急いで保健室から先生を呼んできてくれた。そのとき優香は俺が大泣きしてるのを見て耐えられなくなり、優香も泣いてしまった。優香は俺に弱みを見せたくなかったのか、俺の前ではあまり泣かなかったが、ここでは優香も泣いてしまったのだ。
俺は優香の泣く姿を見てさらに大きな声を出して泣いた、
それを見た優香が「しょうまなかないでよぉぉ~」と言って更に泣いてしまった。
今考えると、優香は俺のこと自分も小さいながら、をずっと気にかけてくれてたと思う。
中学年になっても俺と優香は仲が良かった。
ここまでくると俺の泣き虫もなくなり、優香に世話されることも流石に無くなった。
俺は自分が好きなアニメやゲームの話ばっか優香にしていた。
今になって思うと、自分勝手で迷惑だと思うが、優香は嫌な顔一つせず聞いてくれた。
今でもたまにそのアニメやゲームの話を持ち出してくることもあり、そんなことを話していた自分が恥ずかしくなる。
その度に優香は「翔真のあーゆー話大好きだったなぁ…」と言う。
そう言ってくれるのは嬉しいがやっぱり恥ずかしい。
高学年になると思春期というものが壁となり、少し優香との関係は減ってしまった。
学校ではあまり遊ばなくなり、少し話すぐらいになった。
正直な話、俺が恥ずかしくなり、優香のことを突き放していたことが多かった。
その度に優香は哀しそうな顔をしていた。
でも登下校は一緒にいつもしていた。
男友達にバレるとからかわれて、恥ずかしいので、見つからないようにしていた。
でもお互いに会話は減っていた。
ある日、優香が俺に悩みを相談してきたことがあった。
その悩みというのが「生理」についてだ。
俺は正直そのときは理解できていなかったが、優香は悩みを聞いてくれて、とても嬉しそうだった。
優香は「お母さんと翔真にしか話してないんだよ、秘密だよ。」と言っていた。
今、思うととてつもなく優香から信用されていたと思う。普通、同年代の男友達に生理の悩みなんて打ち明けない。
卒業式では俺は仲間と別れるのが辛くて、泣いていた。
そのときに優香は「翔真ないてるじゃんw小さいときから変わってなーいw!」とからかってきた。
俺は優香を泣きながらはたいた、そのとき優香は「いったーい」と言って笑っていた。
中学校の入学式には一緒に登校した、二人で中学でやりたいことなどを沢山話した。少し大きめな制服を着た優香はいつもより大人っぽく見えて、少し意識してしまった。
そのとき俺は思った“まさか優香のことが好きなのかと”
俺は自分にそんなわけないと言い聞かせた。
中学になると俺は優香のことを突き放すことは無くなった。
なので優香含めた何人かで出掛けて遊んだり、優香と二人で遊びに行ったりもした。
もうそのときには明らかに優香が好きになっていただろう。
でも優香はそうじゃないと、勝手に解釈していた。
部活は優香がテニス部で俺がバスケ部で違う部活だったが帰る時間が同じなので、部活のある日はいつも一緒に帰っていた。
もう恥ずかしくないはずなのに、何故か気まずく、会話が少なかった。そんな日々が続いた。
中三になるとお互い受験勉強で忙しくなり、ゆっくり話すこともあまりなくなった。
でも週に一度俺の部屋に優香がきて、ゆっくり話す時間があった。やはり受験の話が多かった。
中三の11月のある日、塾の帰りに中学一年生の優香の妹、遥香に会った。遥香は1人でいたので話しかけた。
俺は遥香に「優香のことが好きになっちゃったかもしれない」と相談してみた。
遥香は驚いた顔をして「えっ!?二人とも付き合ってるんじゃないの!?」と言った。
俺は驚いて「なんで?」と言うと
遥香は「だってお姉ちゃんも、翔真のこと昔っから大好きだもん!」と言った。
俺はその言葉を聞いた瞬間、硬直し身体中真っ赤になった。
遥香は「じゃあ卒業式に告白しちゃいなよw!」と言った。
俺は遥香の言葉を聞き「考えとく」と答えた。
受験前日には志望校が同じだったのでお互いが合格するようにと話した。
無事二人とも合格できた。合格を知った瞬間二人で泣いて喜んだ
そしていよいよ卒業式
俺は告白することを決心していた。
俺は式の間心臓がバクバクだった。
そして最後のHRが終わり、門出し、校庭で話しているとき、
俺は優香に「話がある」と話しかけた
優香は「?」って感じの顔をしていた。
俺は思いきってすごい大きな声で言った
「優香のことずっと好きだった!付き合ってください!」
生徒たちの視線が一気に向けられたのがわかった。
優香は顔を真っ赤にして言った。
「ずっと待ってたんだよ。」
俺はその瞬間涙が溢れた。
優香も泣いて、俺に抱きついてきた。
校庭中から拍手が巻き起こった。
俺と優香はその中心で抱き合った。
この時間がずっと続いて欲しかった。
そして今日
8月20日
俺は幼馴染みの全てを知った。
軋むシングルベッドの上で二人とも、包み込むような優しさを持ち寄った。
裸で抱き合うこの時間は俺の知らなかった優香がいた。
俺は裸で寝ている優香を見て思う。
“今日、俺は軋むベッドの上で優香の全てを知った。”
“シングルベッドの狭さを知ってしまった。”
読んでくださりありがとうございます。
作者の綿埃うどんと申します。
エロいことを文学的に書くのってめっちゃエロいですよね。