青天の屋根
村の外れに馬車を停めると、確かに何やら騒がしい。四人で顔を見合わせ、喧騒の聞こえる方に走り出した。
「あれ、そう言えば副メイド長って...?」
「ああ、現地で合流すると聞いたでござる!まあ彼女も忙しいでござろうし、今は我らで向かうのが得策でござる!」
「っしゃー!パッパと回収してパッパと帰るぐわァあああああああああッッ!!?」
息巻いて飛び出した元女神が、突然空から降ってきた民家の屋根に押し潰された。
「女神殿ーッ!?」
「めめめめ女神様っ」
急いで目の前の瓦礫の山を退かそうと、五反田と伊香保が駆け寄った。
「は...早く助けろーー!!我が死んだらこの世界の重大な損失だぞーーッ!!」
瓦礫の奥底から、くぐもった怒鳴り声が聞こえてくる。えっさほいさと瓦礫を動かす二人の肩を叩き、一旦ストップのジェスチャーで救助作業を止めさせる。
「遅いぞーーっ!!早くしろバカ者共ーーーーー!!」
......
「天罰!早くしないと天罰落とすぞーーーっ!!」
......
「あ痛って!痛ってこれ絶対曲がっちゃいけない方に曲がってる!!」
......
「ちょ...あの、早く助けて....!」
......
「ご...ごべんなさい...助けてくださーーーいっ!!」
二人は俺の顔をチラリと見たあと、各々の判断で救出作業は再開された。瓦礫のサイズからして人間の俺ではどうしようもなさそうなので、のんびりと側から見守らせてもらう。
「女神殿ーッ!今助けるで...ござるッ!!」
「よい....しょっ、よい....しょっと....!」
「あのぉ...なるべく早くお願いじばずっ...」
「...あーッ!伊香保殿!反重力魔法は!?」
「あっ、わ...忘れてました!んん...えいっ!!」
伊香保が両手を翳すと、いとも簡単に瓦礫の山は宙に浮かぶ。その下では、潰れた蛙ならぬ潰れた元女神が半ベソで倒れていた。
「に...要救助者発見でござるーッ!!」
「すんっ...あの...ありがとうございばす...」
「お...おお!無事そうで何よりでござる!女神殿、お怪我は?」
「ないです...」
「そうでござるか!でもすぐには動けなさそうでござるな...では!」
元女神を引き上げた五反田が、ビシッとこちらを指差した。
「...え、俺?」