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やらかし女神のあとしまつ!  作者: 沖傘
The melancholy of the alchemist
38/42

来店、退店

「...暇だな」

 せっかく魔王に店を作るスペースを作って貰ったというのに、あまりに暇だ。というかここ立地が悪すぎる。かなり人員がいる魔王城のくせに、ここじゃ人が通る事すら稀である。まあ、今日は珍しく二人も客があったが...

 頭の中で愚痴っていると、廊下の奥から足音が聞こえてきた。

「いらっしゃ...なんだ五反田か」

「ご...ござ」

 見慣れた顔を前に、少し落胆する。だが、先日の爆発でまたバラバラになった体が治ったようで安心だ。

「...まだ本調子じゃないんじゃないか?歩き方...変だし」

「そ、そんな事ないでござる!それよりその...アレ、あるでござるか?」

「...アレ?」

「えーと...あのー.........え、ああ、頭に使う...」

「頭に使う...?」

 ...いや、そもそも五反田がここに来るのは初めての筈だ。ここの商品を知ってる訳が無い、という前提が、どんどん答えを分からなくさせていく。

「......え?き、気持ちいい??」

「...ああ、アレか!」

 正直俺も名前を知らない、頭に使うなんかよく分からない壊れた泡立て器みたいなヤツ。どこから噂を聞きつけたのだろうか...

「すまん、アレさっきちょうど売れちゃったんだよな」

「やや、それはそれ...」

 そう言いかけていた五反田の首が、上を見上げるようにもげた。

「わーーーーーーーーーーッッッ!!!!」

「失ッ敬ッッ!!!!」

 自分の頭を引っ掴み、ガッションと首元に戻す五反田。

「おおお前そんなに取れやすかったっけ!?」

「き...今日は天気が悪いでござるから...」

「偏頭痛かよ...しかも具が出てなかったか!?お前中身空っぽの筈だろ!?なんか、こう...死んだ魚みたいな顔があった気がするんだけど!」

「き...気分でいたりいなかったりするんでござるぅ!」

「お前...まあいいや...なんか怖かったし...」

 そんな気分屋なおぞましいものに呪われたりするのも御免だしな。

「ともかく...お前その鎧の頭じゃアレだって使えないだろ?」

「そうなんでござるか?......いや、それはあまりにも...」

「...五反田?」

「あの...い、伊香保殿が...欲しがってたらしい...で、ござる...」

「へー、伊香保が...」

「フグッ」

「えっ」

 突然五反田の首が九十度、捻じ曲がる様に回転する。壊れた玩具の様な挙動に若干ビビる。

「えっと...し、失礼したでござる!また後ほどにござる〜ッ!」

 余程ショックだったのか、ぎこちなく歩き去っていく五反田を見送る。再び客の来ない静寂に辺りが包まれ始めると、どこからともなくザンセツが目の前に姿を現した。

「うわびっくりしたぁ!!」

「いい加減慣れてよ...それより、気付かなかったの?」

「...え?」

「はあ...じゃあ余計な事言うのはやめておこうかな...」

 ザンセツが何を言っているのかよく分からなかったが、ともかくスケッチの練習を続ける。またアレが作れたら、伊香保に持っていってやるか...










「そういえばお前、透明人間騒ぎの時は手伝ってくれなかったよな?」

「え、あ...いや...流石に全裸の男を相手にするのは...」

「お前そのカッコで何言ってグボァ!!??」

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