爆
「ウオオーーーーーッッッ!!!」
「ああっ!!」
「ぶえッ!?」
五反田と元女神の隙を突き、変態透明人間は拘束を逃れたようだ。ぺたぺたと素足で走り出す音が聞こえた後、再びヤツの気配を見失ってしまう。
「クソ...どこいった変態全裸透明人間!」
「ちょっと!なんで急に離れ...全裸??」
「所長、一応コレ...持ってきたんですが...」
「いいですネ、それ。あそこの角に投げてみて下さい」
「え、あっ、はい」
いつの間にか何かボールの様なものを持ってきていたカイが、所長の言うがままにその球体を支持された方向に投げつけた。煙玉だかなんだか分からないが、ヤツの居場所が分からない以上、適当に投げたところで無駄だろう、などと考えていると...
「いだっ」
「えっ」
投擲されたボールは見えない何かに当たり、中に入っていた緑色の液体を炸裂させる。色のついた液体を被った透明人間は、その体のラインがはっきりと見えるようになった。
「今度こそ捕まえたでござるーッ!!」
「アアーーーーーッッ!!??」
幸い上半身のみが可視化された透明人間に五反田が飛びかかり、地面に組み伏せた。
「所長...どうしてアイツの位置が?」
「ワタシは光ダけを見ている訳ではありませんので。あの程度の擬態はどうとデもなりますよ」
「最初からやって下さいよ...アタシ尻揉まれ損じゃないですか...」
カイが至極真っ当な事を所長にぼやく最中、未だ透明人間は無意味な抵抗を続けている様だった。床に組み伏せられながらも、手足をじたばたさせながら全力でもがいている。
「は...離せーーーッ!!オレが何をしたんだーーーッ!!」
「それ本気で言ってるんだったら先に医者に連れってってやるでござるよ!」
「クソーーーッ!!」
その時、苦し紛れに振り払われた透明人間の足が、大量のポーションやら何やらが置かれた机の脚を蹴った。卓上の物はグラグラと揺れ、端の方に置かれていた小さな瓶が衝撃で落下する。
「不味イ...皆様隠れて!!」
所長がカイの白衣を掴んで引き寄せながら叫ぶ。小瓶が床に落ちて割れると同時に、部屋が白い光に一瞬で包まれ、真夏の熱波とは比べ物にならない程の熱が肌を襲う。目の前が真っ黒な物に覆われると同時に全身に衝撃を受け、一瞬にして意識を奪われてしまった。