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やらかし女神のあとしまつ!  作者: 沖傘
Like water, beautiful and transparent, sparkling
31/42

雑食

「ほう...ホう、ほう!大変興味深い!!」

 俺のスケッチブックとペンをまじまじと見つめ、大興奮している様子の所長。元女神の機嫌はマシになった気がするが、黙って菓子を喰らい続けているので本心は分からない。

「それで...どのように物質の現実化を?」

「どうって...普通に描くだけだぞ。例えば...何を描くか...」

「お菓子!!甘いの!!」

「ああ、はいはい...」

 机を叩いて催促する元女神を傍目に、何を描くか考える。お菓子で甘いの...小枝でいいか。みんなでつまめるし。

「えーと...確かこんな風に...よし」

 ポンポンポンと音を立てて小枝がスケッチブックから実体化し、空になった皿の上に積み上がっていく。黒くて、鋭い棘があって、金属質で...あれ?

「これまきび...」

「こレが貴方の世界の食べ物ですか。では一つ頂きマす」

 俺と元女神が声を上げる間もなく、所長が重たそうな撒菱を皿の上から一つ取り、裂け目のように現れた口に放り込んでしまった。

「ちょっとま」

 俺の制止の声を掻き消すように、ボリボリバキバキと激しく金属を破壊する音が響き渡る。平然と撒菱を噛み砕く所長に呆然と見ていると、そのうちに呑み込む音が聞こえた。

「鉄分は豊富に含まれてイますが...食物としての栄養素は皆無ですね。普段からこのような物をお食べに?」

「い、いや...そういう訳では...」

「緊急通信〜!緊急通信です〜!!」

 突如として、何者かの叫び声が響き渡る。その場にいた全員が声のした方を向くと、積み上がった書類の山や散らかった実験器具しか目に入らない。

「......ばぁっ!」

 と、書類の山が内側から弾け飛び、中から小汚い連絡天使が姿を現す。

「おヤ隊長さん。最近見ないと思ったらソんな所にいらっしゃったのですか」

 汚れたベルを擦る連絡天使の頭を撫でる所長。満足そうに頭を委ねていた連絡天使は、そのうちにハッと思い出したように、再び叫び始める。

「はっ...ち、違うのです!緊急通信です!城内に何者かが侵入、各所で多数の盗難や迷惑行為に及んでいる模様です!」

「侵入者でござるかっ!?この魔王城内に!?」

「フむ...侵入者の特徴は?」

「それが...」

 その時、連絡天使の言葉を遮るようにして、部屋の扉が勢いよく開き、大きな音を立てて閉まった。扉には誰も触れず、風も吹いていないのに、だ。

「なに今の...わッ!?」

 静まり返る部屋に、元女神が持つネックレスのアラーム音がけたたましく鳴り響いた。

「侵入者は...()()()()です!」

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