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やらかし女神のあとしまつ!  作者: 沖傘
Sword, Sword, Sword, Drop the sky
25/42

ちん

「う...」

「あ、起きた」

 魔王城の個室で目を覚ました、黒髪の少年を座って見守る。

「...ここは」

「魔王城。医務室からはお前が怖いからって追い出された」

「...なんで殺さなかった」

 天井を見上げたまま、ザンセツが問う。

 あの後、ゼルベルも意識を失い、駆けつけた防衛隊の隊員達に運ばれていった。【剣術SS+】のチートも大したもので、バッサリ斬られたように見えたが、咄嗟の身のこなしと受け流しで、何とか致命傷は免れたようだった。しかし意識は失ったようで、残った隊員達が殺すだ何だのと激昂し、気絶したザンセツを取り囲んでいた。

 ただ、俺は異世界からの召喚者、元女神はアレでも元女神だ。多少の発言権はある。

「俺の住んでた所はめちゃくちゃ平和だったんだ。私刑だの処刑だのは、あんまり見たくない」

「はは...じゃあ、僕は君に救われたのか」

「救ったって程じゃない。けど、ちゃんと償いはして貰うからな」

 ゼルベルを庇って斬られた二人も医務室に運ばれて行ったが、あの出血では助かってはいないだろう。

「ううん。あの二人は生きてるよ」

「...え?」

「凄い技術だった。ギリギリで避けて斬られるフリも、その後に赤い液体を垂らしながら死んだフリするのも。君達、いつもあんな訓練をしてるの?」

「あー...ああ」

 確か俺と元女神もそんな訓練をさせられた気がする。ゼルベルの事を踏まえてあの訓練が組まれているとしたら、何か魔王軍の闇を感じてしまうが...

「...あ。それに、お前のチート...過剰能力もちゃんと取り出させて貰ったからな」

「......うん、もちろん。もう、あの力はいらないからね」

「...そうか」

 少し物憂げなザンセツの表情に、コイツも訳アリかと勘繰ってしまう。だが、所詮俺にはどうしようもない、関係のない事だ。

「とりあえず、誰か呼んでくるからな」

「あ、ちょっと待...痛っ..!」

 立ちあがろうとする俺の腕を掴んだザンセツが、突然苦しみ出す。急に動こうとしたから傷でも開いたのだろうか。

 薄い布団を捲ってみると、ザンセツの全身に巻かれた包帯には特に異常はない。大方、固まった血が剥げたり擦れたりして痛むのだろう。

「しょうがねーな...包帯変えてやるから、体起こせ」

「はっ?い、いや大丈夫!」

「何でだよ?動くとホントに傷が開くからなー」

「おいっ、やめろって...!」

「男同士だろ?何も恥ずかしがる事ねーって!」

「おいっ、おぉーーーいッ!!」

 やたら抵抗するザンセツを抑え、全身ぐるぐる巻きにされた包帯を外していく。全く、思春期の子供は変に恥ずかしがるから困る。それとも何か、アソコのサイズでも気にしてい...る......

「...ない」

「ふんッッッ!!!!!」

「ぶっヘァ!!??」

 顔面をぶん殴られ、俺の体が宙を舞う。いや、舞うどころか吹き飛ぶ。そのまま扉をぶち破り、石造りの廊下の壁に背中から激突した。

「うおあびっくりしたぁ!?あ、あのニンジャに何かやられたかッ!?」

「も...元女神...」

「な...何!?」

「付いてなかった...」

「...何がッッッ!!!???」

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