女神降臨
「魔王様、今季の農作物の件ですが...」
「把握しておる。各農家への支援を急げ。貯水の喚起も忘れるな」
「魔王様、今月の野良魔族についての報告書です」
「うむ.........よく出来ている。北東の地区は警戒を続けるように、南東の地区は人員の補強を急げ。あと、ここ単位間違えてるので気をつけるように」
「魔王様、朝方に確認された流星群と思しき物体ですが...」
ずらりと並ぶ部下たちの書類を次々と捌いていく、バケツ頭の魔王様。机を並べて書類の作成と整理、業務報告に勤しむ多種多様な種族の魔物達も忙しなく動いている。
「魔王様、まもなく正午の休憩時間です」
「...む、もうそのような時刻か。隊長1号、昼休憩の連絡を」
「かしこまりましたっ!」
魔王の声を聞き、机の片隅で今か今かと出番を待ち侘びていた連絡天使が勢いよく立ち上がった。
「お昼休憩〜!お昼休憩で〜す!!」
両手で持った鐘を鳴らしながら飛び回る連絡天使の声を聞き、魔物達は次々と席を立ち、各々好きな場所に向かい始める。
「午前の業務お疲れ様でした、魔王様」
「うむ」
「流星群の件、何かお分かりになりましたか?」
「情報不足といった所だ。今の所は被害も確認されていない。午後には情報も増えるであろう」
魔王とメイド長が些細な会話を繰り広げている丁度その頃、魔王城直上の空が微かに煌めいた。
「シィル、お前も昼休憩に......む」
魔王が何かに気付き、部屋の天井を見やる。次の瞬間、巨大な光の柱が天井を貫き、轟音と共に床に深々と突き刺さった。
「な...何事ですか!?」
あまりにも巨大な衝撃に解散しかけていた魔物達も総じて部屋に戻り、光の柱を取り囲んで騒ぎ始める。
「なんだこりゃ...」
「敵襲か!?」
「魔王様ー!お怪我はありませんかー!!」
怒号が飛び交う最中、部屋の真ん中に鎮座していた巨大な光の柱は音も無く消え去る。そして、その中心には少女が浮かんでいた。
「ひれ伏せ民よ。我は世界神、ルヴィルフィールである」