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やらかし女神のあとしまつ!  作者: 沖傘
The force cries in alone
12/42

超弩級鉄人形

「エ...エンチャントトレーサーの魔法で作られた壁まで...オレ、壊しちまった...」

 破壊された土の山が起こした土埃が晴れた頃、残骸の中で青年は再び自らの手をまじまじと見つめ、戦慄していた。しかし、何やら様子がおかしい。

「もしかしてオレ...最強なのか?」

 はい、最強です。だってチートだもの。

「そうだ...アーマーガイストだって、エンチャントトレーサーの魔法にだって勝てたんだ...やれる!オレは最強だ!」

 崩れ落ちた土の山の上で叫ぶ青年は段々とヒートアップし始めた。よくない方向に、だ。

「おい...アレはマズいんじゃないか...?」

「よっし!世界征服だ!まずは軍の使いであるお前達をぶっ飛ばしてやるッ!!!」

 元女神の予感も的中。青年はこちらにビシッと指を差し、素人丸出しの戦闘体勢を取った。

「あー...俺もそう思う」

「うらああああーーーーーーッ!!!!」

「伊香保助けてェーッ!!!」

「は、はいっ!」

 伊香保が大きく腕を振ると、先ほどより遥かに大きな地響きと轟音が鳴り響き、所々割れた大地を砕きながら、巨大な何かがせり出してきた。

「し...召喚魔法!メタルゴーレムですっ!」

 伊香保の影から顔を出すと、ビルのように巨大な影が、日光を金属の体に反射させながら聳え立っていた。武装といった武装はなさそうだが、純粋な力比べではどう足掻いても勝てなさそうなその雰囲気に、勢いづいていた青年も流石にたじろぐ。

「な...何ィーッ!デカすぎんだろ!!」

「は、反乱分子ですので、少し大人しくしてもらいます!」

 伊香保の言葉に応じ、巨大な人形の金属の塊が、巨大な右腕を振り上げる。

「ご...ごめんなさい調子乗ってました!!嘘ですっ!!世界征服とかぶっ飛ばすとか嘘ですからァ!!」

「ぶはは馬鹿め!雑魚め!やったれ伊香保ーっ!!」

 同じく伊香保の影から顔を出していた元女神が、騒がしく煽り立てる。そういうとこだぞ。

「大丈夫です殺さないので!....多分!!」

「今多分って言った!!う...うわあああああああああああ!!!!!」

 青年が泣き喚きながら、振り下ろされる巨大な拳に向かって腕を伸ばす。しかし、その腕は止まることなく、無慈悲にも青年に向かって叩きつけられ、とてつもない衝撃が周囲を襲った。

「いや...これ絶対死ん」

「し、死んでません!て、手加減した...ので...あれ?」

 ムキになって自らの罪を否定する伊香保の表情が固まる。彼女の視線を追うと、振り下ろされたメタルゴーレムの拳に小さなヒビが入っていた。

「嘘...!?」

 小さな日々はみるみるうちに広がって行き、遂には巨大なメタルゴーレムの頭部や脚部に至る全体に広がり、無数の鉄塊となって散り散りに吹き飛んだ。

「まあ...チートだしなぁ」

「全く...主神様はとんでもないモンを作り出してくれたな...」

 誰が舞いた種だと思っているのか、このクソ女神は...

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