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ソード・コンプレックス(3)


「ミザールが――謎の武装組織に占拠された?」


 その話を聞いた時、一番に思ったのは“在り得ない”という事でした。続けて“どうして?” そもそも、コロニーを占拠する理由は? 何故未完成のミザールなのか……。疑念はつきませんでした。

 そもそも、宇宙での戦争なんて本当に珍しいことです。先日のムーンシティ襲撃の一件もかなりのレアケースであり、基本的に今の状況、宇宙で争っていられるような余裕など人類にはないのです。戦場は常に地上――つまりそれは生きるために必要だから戦っているという事。しかし、ミザールの占拠という作戦行動には明確なるそれ以外の悪意を感じるのです。それが何よりもわたしにはショックでした。

 わたしたち以外にも生徒たちは校内に集められ、情報と同時に戦闘区域への出撃割り振りが行われていました。ミザール占拠を発端とする一連の謎の武装組織による各施設の占拠および襲撃は現在も進攻中であり、フェイスは救援要請を受け各地に兵力を派遣する事が決定しました。正にフェイスの総力を挙げた殲滅作戦の幕開けでした。フェイスが今回の事件にそこまで拘るのには、勿論理由があります。

 ミザールという人類共通の幸福を奪い、そして彼らはとある目標を掲げたのです。それは――ノーマルと呼ばれる人々に対する宣戦布告。弾圧されるアナザーたちの権利を主張し、武力行使を持ってこれを成立させるという趣旨の内容の犯行予告が各地に送られてきたのです。いえ、それはもう事実上の宣戦布告でした。

 フェイス三校は提携してこの謎の組織に対する攻撃を決定。Bクラス以上の傭兵の六割を運用するという超大規模殲滅作戦が始まろうとしていました。そして当然、それにはBクラスになりたてのわたしたちも参戦しなければなりません。これは仕事の依頼ではなく、フェイスからの直接任務でした。


「我々蒼穹旅団にも出撃命令が下った。今回は交換学生でカラーオブホワイト――ナナルゥもこっちにいるからな。ナナルゥは独自に行動、我々はその護衛につく事が決定した。いちいちカラーズをデネヴまで戻している余裕はないということだな」


 忙しく生徒たちが走り回っている中、わたしたちはヴィレッタ先輩の話に耳を傾けていました。右目に触ると、眼帯の冷たい感触があります。こんな状態で、いきなり出撃……。うまくやれるのでしょうか。何より、敵勢力はノーマルの殲滅を目標としているわけで、つまり彼らはアナザーは殺さないという事。そういう面で見れば、ニアやナナルゥにとっては複雑な心境のはずです。


「歩きながら説明しよう。現在の戦況は、あまり芳しくない」


 敵勢力はミザール占拠終了後、即座にミザールを拠点として行動を開始。近隣のコロニーへ侵略の手を伸ばし、建造途中のベネトナシュを制圧。ミザールから一つ手前にあるコロニー、メグレズで現在コロニー防衛部隊が戦力を集結して防戦中。しかし地球側からの予期せぬ援軍により孤立した状態。さらに敵勢力は手を伸ばし、最果てのコロニーであるアリオトまで侵略中。こちらも戦闘の結果はまだ出ていませんが、アリオトが落ちるのは時間の問題です。そうなれば数千万の人の命が奪われる事にもなりかねません。

 ミザールとベネトナシュには現在工事に関わる人間しか住んでいなかった為、驚異的な死者数にはなっていない物の、既に随分と人が殺されています。各地での戦闘は立て続けに発生し、更に増援である地球からの勢力と各宙域にてフェイス戦力が戦闘中との事でした。

 問題は彼らは一体どこからやってきているのか、という事でした。その答えは直ぐに判明。彼らは地球最大規模を誇る超巨大なプレートシティ、通称“樂羅ラクラ”より増援を送られている模様でした。樂羅は地上に存在する最大規模のシティであると同時に、アナザー自治区の一つでもあります。圧倒的な戦闘力を持つ戦闘空母に改造を重ね、巨大化した戦闘要塞都市――それが樂羅の正体。同時に樂羅以外のアナザー自治区からも次々に増援が送り込まれ、地球でもフェイス勢力への襲撃やFA工場への襲撃が相次いでいるそうです。


「正直、状況は芳しくない。樂羅はアナザー自治区としてはかなり過激な所だ。ノーマルに対する侵略態度は並ではない。元々あそこは強大な戦力を保有し、フェイスもうかつに手出しが出来ない危険な都市だった。各地の反ノーマル勢力と競合し動いているだけに、その全てを制圧する事は難しいな。正直どこから手をつければいいのかフェイスも困っているんだろう。が、兎に角私たちは私たちに命じられた任務をクリアしていくしかない」


 ヴィレッタ先輩の言葉にわたしたちは頷きました。そう、出来ることから一つずつやっていくしかないのです。


「我々に与えられた任務はカラーオブホワイトと共に宇宙へ上がり、メグレズ防衛戦力を援護する。同時に戦線を押し上げ、ミザールへと進行。連中の拠点を制圧し、ミザールを取り戻すのが仕事だ。それに伴い全機S型装備に換装、機体の輸送はリンレイの操作する小型宇宙艇により行う。準備が整い次第、作戦開始とする」


 いよいよ、本物の戦闘が始まろうとしていました。わたしたち旅団に命じられた最初の戦いがこんな形なのは正直少し複雑ですが……やらねばなりません。やると決めた以上は。やらねばならないのです。


「旅団の初仕事だ。しかも最前線での任務になる。全員、気を引き締めて取り掛かってくれ。頼むから――死んでくれるなよ」


「「「 了解! 」」」


 横目にちらりとニアの顔色を伺います。しかしニアは普段どおり――むしろなにか決意のようなものに満ちた眼差しを浮かべていました。その意味がわからず、わたしは首を傾げます。そんなわたしへ視線を向け、ニアは優しく微笑んでいました。

 わたしたちの始めての戦い、そして最後の戦いが始まろうとしていました――。

 マキナ・レンブラント、戦争の日の日記より――――。




ソード・コンプレックス(3)




「――全く、とんだ化け物ね……っ!! “樂羅”、か――!」


 空を走る巨大なカナルの上、愚痴を零すアテナの姿があった。闇夜の中を明るく照らすオレンジのカナルの上、突撃戦装備、W型装備に換装したブリュンヒルデは疾走していた。ここに到達するまでの戦いで僚機は全滅。絶望的な対空砲撃の雨の中、アテナは眼科に広がる巨大な要塞を見下ろしていた。

 光の飛沫を走らせながらアテナは舌打ちする。まるで近づけるような気がしない――。カナルの上を轟音を立てながら移動する巨大要塞樂羅、その攻撃には百機以上のFAが投入されている。しかし現状、戦況は芳しくない。半数以上のFAを撃墜され、アテナも何とか前線から逃れ上のカナルへと移動した所であった。

 段階状に折り重なっているカナルの構造的に真上に移動するには上のカナルに移動すればいい、というシンプルな作戦である。単騎になってしまった以上周りのことなど考える必要も無い。カラーズである自分に一般の僚機などつけたところで重荷にしかならないと彼女は言ったはずだった。それどころか、僚機は全て撃墜されてしまったではないか。

 最初から一人ならば、無駄に生徒たちを死なせる事もなかった。歯軋りするのは己の力不足のせいか、学園の判断ミスのせいか――。どちらにせよ、たった百機のFAでこの難攻不落の城砦を落とせというのが見込み違いだ。

 ブリュンヒルデはカナルを飛び出し、夜の闇を落ちていく。空中でバーニアを付加し、クイックに移動を繰り返しながら対空砲火の雨を潜り抜けていく。眼下に浮かぶ巨大な影は空が割れんばかりの数の対空砲を連射し、アテナを近づかせない。回避を繰り返しながらアテナはレールガンを降り注がせるが、樂羅相手ではレールガンさえも豆鉄砲に過ぎない。

 何より樂羅は全体にフォゾンを反射するエネルギーフィールドを構築している。フォゾンビームはおろか、フォゾンミサイルも無力化されてしまうのだ。莫大な出力は常に足元のカナルから汲み取っておりほぼ無尽蔵である。それだけに樂羅はエネルギーを求めて常に移動しなければならないのだが、逆にそれがフェイスにとって厄介でもあった。

 結局接近できず、空中でバーニアを付加して滑空する。ミサイルの雨をハンドガンで撃ち落しながら着光し、後退。周囲の九十九を屠りながら何とか打開の道を探っていた。


「こんな装備でどう落とせっていうのよ、全く!」


 その時であった。背後から巨大な電撃が迸り、樂羅のフォゾンシールドを弾く。ブリュンヒルデはどちらかといえば軽量機であり、火力には重きを置いていない。しかしその背後から姿を現した黄金の機体――ヴァルベリヒは高火力の重量級である。電撃は強固な城壁に亀裂を生じさせる。


「よお、苦戦してるなクリムゾン!」


「――カーネスト!?」


 背後から突き進みながら光背を展開。収束したフォゾンを雷に変換して周囲に放出する。一瞬で戦場は焼き尽くされ、一気に九十九の数が減っていく。ブリュンヒルデと肩を並べながらヴァルベリヒは移動し、コックピットでカーネストは笑う。


「避けるのは上手いが壊すのはへたっぴかい? んっ?」


「煩いわね……。助けに来るのが遅すぎるわよ。何人死んだと思ってるの」


「死んだヤツにゃあ興味はねえよ! それより、これが樂羅か……。こんだけバカスカ撃たれるとヴァルベリヒの機動力じゃ避けきれねえな」


「尻尾を巻いて逃げたら?」


「あいつは俺の得物だぜ血色銃ブラッドリィ! 臆せず恐れずついてきなッ!! テメエにもちっとはおこぼれがあるかも知れないぜぇええっ!!」


 ヴァルベリヒは光背の形状を変化させ、肩に二対の巨大なビーム砲を構築する。足元のカナルからエネルギーを汲み取り、圧縮して打ち出す最新技術によりその威力は高密度のカナルの上において衰える事もない。放たれた黄金の光は城砦の結界で弾かれてしまう。しかしヴァルベリヒは怯まず連射しながら突き進んでいく。

 それに群がる九十九たちをブリュンヒルデは二丁拳銃で素早く排除。二機は交互に左右に軸を移動させながらカナルの上を滑り、超巨大な戦艦に立ち向かっていく。


「ひゃあああっほおおぉぉううっ!! いいねいいね、ハイテンションだ!!!! 歌でも歌ってやろうかい!? クソアナザーどもよぉっ!! ハァ――――ッハアアアッ!!」


「貴方だってアナザーでしょう」


「アナザーがアナザーを殺して何が悪いってんだよ、ひゃっはははははははっ!!!!」


「全く……。ホント、組みたくない相手と組まされるなんて最悪だわ」


 そうして突き進む二人の眼前、突然城砦の上部に動きがあった。装甲の一部が開き、そこから巨大な砲門が姿を現したのである。二人のカラーズに衝撃が走った。収束していくフォゾンの光――。二人の背筋に悪寒が突き抜けた次の瞬間、ありとあらゆる全てのものを飲み込む津波のようなビームの光がカナルの上を焼き払っていた。

 超超大型のフォゾンビームランチャー……。二人のカラーズは逃れようとするが、その巨大な光の怒号に逃げ場は無い。咄嗟に二機のコックピットの中、二人のカラーズは同じ場所にあるレバーを引き、硝子で覆われたスイッチに拳をたたきつけた。次の瞬間、フォゾンビームの嵐の中で赤と金の光の柱が空に立ち上っていく……。




 宇宙空間、メグレズ周辺宙域――。迷彩柄の九十九を中心とした謎の襲撃勢力とコロニーガードの防衛戦力は既に長期に渡り戦闘を繰り返していた。

 メグレズではまだ完全に住民の避難が完了しておらず、そこに時間と手間をかけているだけに襲撃勢力へ反撃できない状況が続いていた。いわゆる防戦一方という状況であり、状況は芳しくない。メグレズ周辺ではビームの光が飛び交い、無数の爆発の光が闇を照らし出している。

 闇の中を突き進む無数のFA輸送用の宇宙艇の中、並んだFAの中でマキナはカナードの戦闘準備を進めていた。右目の眼帯は戦闘には支障ない。ERSで見る以上、外部の景色はカナードのメインカメラが壊れない限りは認識可能だ。深く息をつき、気を引き締める。宇宙用のヘルメットを被り、戦闘に備える。


「今は戦う事だけを考えなきゃ……。仲間を失うわけには行かない。それにミザールもベネトナシュも、メグレズも大切な物なんだから……。これ以上、好きにさせるわけにはいかない」


 自分に言い聞かせるように呟いた。戦いに対する迷いが全て吹っ切れたわけではない。だが今のマキナにとって戦いは恐ろしい物ではなく、悲しい物でもなかった。戦わねばならないのならば戦うしかない。それ以上も、以下もなく。


『全機、コンビネーションを乱さないようにな。あくまでも我々の任務はナナルゥのサポートだ。カラーオブホワイトを援護する。マキナとニアは前、オルドは中距離支援。私は後方から全員をサポートする。くれぐれも無理はするなよ』


「ナナルゥ」


 ヴィレッタの通信を聞きながらマキナはナナルゥへと通信を繋いだ。ナナルゥ専用の白いかわいらしいデザインのライダースーツに身を包み、少女は目をぱちくりさせていた。マキナはナナルゥをじっと見つめ、通信機越しに目を細める。


「どこまでやれるか判らないけど、ナナルゥの足を引っ張らないようにするよ。だから無理はしないでね」


『う? 無理ってなんだ?』


「えっと……。なんか、敵は反ノーマル勢力みたいだから……」


『ああ〜! そんなことなら心配はいらないぞぅ〜! ぜーんぜん、問題無し!』


「ほえ?」


 ニアが自分の故郷やアナザーに対してナイーブであったように、当然ナナルゥもそうであるとマキナは考えていた。しかしナナルゥはこの状況になってもけろりとしている。ナナルゥのヘルメットはバイザーのような形状をしており、表情をうかがい知ることは出来ない。しかしその様子が余裕である事だけはマキナにもわかった。


『マキナ、これはお仕事だぞう。お仕事にそういう考えは必要なんだぞう』


「え……? あ、うん、そうだね」


『じゃ、無断通信は怒られるからなっ! ばいばーい!』


 一方的に手を振りながら通信を切ってしまうナナルゥ。マキナはどこか腑に落ちない気持ちのまま溜息を漏らした。少し、感情的になりすぎているのは自分の方なのかもしれない。

 気持ちを引き締め、操縦桿に指を通す。もう迷っている場合ではない。ナナルゥの言う事は真理だ。仕事なのだから余計な事など考えない。何よりこれは戦争だ。迷っていたら、何も護れない。

 犠牲にしながらも前に進むことを決めたのだ。間違いでも愚かしくても、それでも生きて前に進む――。その決意は今でも揺らがない。己に言い聞かせよう。今こそただ一振りの剣であるように、と――。


『全機出撃用意!! これより蒼穹旅団はメグレズ防衛戦に参戦する!! 死なないでくれよ皆――! 発進ッ!!』


 宇宙艇のサイドの扉が開き、FAが外部へと迫り出していく。蒼穹旅団が出撃を開始すると同時に追従するいくつかの宇宙艇も次々に出撃を開始。宇宙艇からパージされたFAたちが次々にバーニアの炎を吹かしながら舞い上がっていく。マキナはフォゾンビームブレードを展開しながら振り返り、後続する専用の輸送機から出撃した白の座、“タンホイザー”へと視線を向けていた。

 タンホイザーは純白の装甲を持つ細身のFAである。多脚のその様子から、人々は時にケンタウロスを連想する。しかし、宇宙用のS型装備では脚部は変形し、一つに束ねられる。巨大な剣を腰から提げたような形状へと変化し、タンホイザーは脚部から白い光を放ちながら先行する。そのサイズは先日マキナが目撃したヴァルベリヒ同様、かなり巨大であると言えた。


『こちらカラーオブホワイト、タンホイザー! 前線に突撃して戦線をこじ開けるよ〜! いっつ・あ・しょうたいむっ♪』


 次の瞬間、マキナは驚きのあまり言葉を失っていた。タンホイザーの肩と胴体の装甲がズレ込み、そこから巨大なスピーカーのような装置が出現したのである。タンホイザーの瞳が輝き、周囲に白い光の波動が広がっていく――。そう、それは嗜好性のエーテル波長。メグレズ周囲にある機体の全てに受信され、通信のチャンネルを強制的に開いていく。

 そしてそこから流れてきたのはナナルゥの歌声だった。声はエーテル波長の中を跳ね回り、あたかも周囲全てから聞こえてくるかのようである。更に通信からは映像さえも映りこみ、コックピットの中、ナナルゥはマイクを手にして歌っていた。ヘルメットのバイザー部分が開き、桃色の髪が無重力の中に放り出される。ナナルゥはただ歌を歌っているだけだというのに勝手にタンホイザーはその場でくるりくるりと踊りだし、一気に加速して戦線へと突き抜けていく。


『遅れるなよ! 全機前進!!』


「あ、は、はいっ!!」


 マキナも戸惑いながら加速する。宇宙用に大幅に装備を変更したカナードは宇宙空間でさえスイスイと飛行していく。タンホイザーは全身から白い波動を垂れ流し、踊るように突き進む。その存在を感知した九十九たちがフォゾンビームを放出するのだが、その光の矢はタンホイザーの周辺で霧散してしまう。


『なんだこの歌は!? それにカメラ映像に勝手になんだかよくわからんがアイドルの映像が――ま、前がみえん――どわっ!?』


 あたふたし、隙だらけの九十九をマキナが両断する。戦場には完全に混乱が起きていた。タンホイザーのエーテルパルスはFAに遠隔ハッキングを仕掛け、映像と音声を強制的に叩きつける。敵軍には映像と音で邪魔をする強力なジャミングとなり――仲間にとってその歌声は戦意を向上させる導きとなる。

 ただ歌が流れているだけの戦場の中、マキナは心が高揚するのを感じていた。それは自分が怖いくらい、恐怖という感情を麻痺させていく。戦場は一気に反撃のムードになっていた。戦力的にはまだ九十九の軍勢のほうが有利である。だが歌が流れ始め、ナナルゥの幻影がそれぞれのコックピットに現れた途端、“そういう空気”になってしまうのだ。


「何、この感じ……? 胸が熱い……」


『マキナは初めてか? ナナルゥの歌で戦うのは』


 マキナの隣、そこにはドレス姿のナナルゥの幻影が浮かび上がっていた。エーテル波動はつまり、超広範囲に展開するERSにも似ている。直接ナナルゥの存在を感じ取り、マキナは驚きで目を丸くした。


『痛みも恐怖も全ては必要のない感情……。マキナ、戦線を切り開いて! 大丈夫、どうすればいいのかは全部ナナが教えてあげるぞう♪』


「ナナルゥ……。うん、わかった! 他の皆にもお願い!」


 宇宙空間にナナルゥの幻影が浮かび上がり、戦場を指差す。マキナはその幻に誘われるように一気に加速し戦場を駆け抜けていく。混乱する敵陣に雪崩れ込むフェイスの軍勢――。戦況は無慈悲なまでに覆ろうとしていた。

 マキナは視界にある全てを導きの光に誘われるように切り裂いていく。空中を踊るように剣を振るうその姿は美しささえ覚えてしまう。


「相変わらずだな、ホワイトの戦場支配は……! オルド! ニア! マキナに続いて突撃するぞ!! 一気に敵艦を撃墜するッ!! 私に続けッ!!」


「「 了解っ!! 」」


 ヴィレッタがロングレンジフォゾンビームライフルを担いだまま飛翔する。紫色のヴォータンが空中で制止し、折りたたんでいたライフルを展開する。放たれた光の一筋は後方に待機していた無数の九十九の母艦の一つを射抜いていた。炎が溢れ、母艦が轟沈する。オルドが左右に構えたガトリング砲を連射する中、その援護を受けてニアが前進する。橙色の鬣を持つ巨大な拳のカナードは母艦に接近し、そこに拳を叩きつけて圧し折ってしまう。ヴィレッタとニアが次々に母艦を破壊する中、逃走しようとする九十九をマキナが的確に処理していく。最早戦場は瓦解し、襲撃者の統率されていた行動は見る影もない。


「はあっ!!」


 九十九の頭部や脚部を切断し、殺さずを貫く事もこの状況ならば容易である。敵はナナルゥのエーテルジャミングでろくに身動きも取れないのだから。

 そんな最中、後方より迫る影があった。歌の流れる戦場の中、その矢は真っ直ぐに暗闇を切り裂いて直進する。全身に強力なフォゾンフィールドを展開させている神風である。神風はエーテル派の影響を受けず、混乱する事無く突き進んでくる。


「酷い有様だな……! 戦線をこじ開けているのは――ヤツか!?」


『マキナ、上!』


「――強い気配……!?」


 上を見つめるマキナへと真っ直ぐに神風が接近してくる。突っ込んできた神風を正面から両腕で受け止め、蒼いカナードは宇宙空間を疾走する。二つの機体は至近距離から互いを見つめ、視線を錯綜させた。


「この人――!?」


「こいつ……」


「「 エースか! 」」


 蒼いカナードが弾かれ、二機のシルエットが左右にばらける。マキナは宇宙空間内を回転しながら剣を抜き、太陽光を弾いて銀色に光るそれを片手に闇夜を走り出した。向かう先には音速で突き進む黒槍、風が待ち受けている――!

〜ねっけつ! アルティール劇場〜


*宇宙戦ってわけわかんないのでかなりテキトー*


マキナ「わっけわかんないよね」


ニア「だから宇宙とかやりたくなかったのに……」


マキナ「勢いで読んでください!!!!」


ニア「さて、二部もいよいよラストスパートですよ。カラーズも三機出てきたし、調子いいですね」


マキナ「なんだかんだいって戦闘は書いてて楽しいからね〜。全然戦わない小説だけに」


ニア「全然戦わないよね……」


マキナ「まあ、そんなわけで宇宙に詳しくなりたい今日この頃です」


ニア「そういえばマキナってホバリング駄目なのに宇宙戦闘は平気なの?」


マキナ「え? だってツインスタンドだもん」


ニア「え?」


マキナ「え?」


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