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ソード・コンプレックス(1)

「お母さん……死んじゃうの?」


 その日、わたしはとても久しぶりにお母さんの夢をみました。そこはお母さんの病室で、お母さんはベッドの上に座ったままわたしを見つめていました。

 お母さんが家から居なくなり、わたしは毎日のように病院に通いました。他に行く場所も、居場所もなかったのです。お母さんが日に日にやつれていくのがわかり、わたしは子供心に絶望を抱きました。お母さんがもしも死んでしまったら――わたしはどうなってしまうのだろうと。

 しかし、お母さんはわたしの頭を撫で、優しく微笑むのです。何も、言ってはくれませんでした。今思えば彼女は既に死を受け入れていたのでしょう。その彼女がわたしに伝えたかった物……それは一体なんなのか。


「マキナ……。貴方にはこれから、沢山沢山つらい事が待っているの。その悲しみと苦痛は貴方を壊してしまうかもしれない。けれど忘れないで。いつかきっと、思い出してね。貴方の事を愛している人が居る事。貴方は、一人ぼっちなんかじゃないって事」


「……お母さん」


「だから、泣かないの。泣かないで、笑いなさい。笑って、笑って、最後に泣くの。涙を流す時は、全てが終わる時……。貴方の魂が、大いなる世界に還り、全てが始まるその時だけ」


 その言葉の意味は正直全くわかりませんでした。でも、母はきっととても大事な事をわたしに伝えようとしていたのでしょう。その言葉の意味を知りたくて、わたしは母の言葉に一生懸命に耳を澄ませました。

 何度も頷きながらポロポロ涙を零し、腕の中にアポロをぎゅうっと抱きしめて。母は沢山のことを教えてくれました。沢山のことを語ってくれました。そして――母は逝ってしまいました。わたしはその死に目に立ち会う事も出来ませんでした。

 母の亡骸を前にわたしは泣きじゃくりました。この人がもう動かないだなんて、そんな事は信じたくもありませんでした。母の身体は冷たく、自分の手は暖かい。まだ生きているのだと――。まだ、死んでいないのだと。彼女はわたしに生きろといっているように思えたのです。泣きながら、母の事を思いました。そうして全てが終わり――全てが始まったのです。

 目が覚めて、わたしは暗いベッドの上に座っていました。あの時の母の言葉、わたしはすっかり忘れていたのです。隣ではまだニアが眠っています。わたしは額に手を当て立ち上がりました。わたしが起きたのに気づいたのか、アポロも身体を起こして丸まっていた状態から立ち上がります。

 二人で洗面所へ向かい、わたしは鏡の中をじっと覗き込みました。そこには寝不足で少し疲れた自分の顔が在ります。母は――。あの時わたしに何を伝えようとしていたのでしょうか。どうして今、母の夢をまた見たのでしょうか。もう寂しくなんかないのに。もう悲しくなんかないのに。

 それはきっとわたしの心の中で何かがまだ母との別れを終わりに出来ていないのだと叫んでいるからなのでしょう。鏡に映った姿を見つめます。鏡面に触れ、吐息を漏らして。そうしてわたしは見たのです。鏡の向こうに映る、母の姿を――。

 母は、真っ青な輝く髪をしていました。優しい手……。白い肌。柔らかかった身体。暖かくて、いつまでもくっついていたかった事。思い出すのに。何故でしょう。母の顔だけが――思い出せないのです。

 それどころか、わたしは母の名前さえ知りませんでした。お母さん、お母さん。そう何度も呼んだのに――名前さえ、知らないのです。彼女が微笑んでいた表情が思い出せず、記憶の中で母はのっぺらぼうのようでした。気持ちの悪い感触……。冷水で顔を洗い、目を開きます。鏡の中に映る自分の姿……。わたしは、母のことをどれだけ知っていたのでしょうか。

 母は、アンセムさんの知り合いでした。そして、母はとってもお金持ちだった。その二つだけがわたしに残されている母の手がかり……。アポロを抱きかかえ、頬を寄せます。わたしに残っているこの記憶が、偽りでない証拠などどこにもありません。でも、アポロだけは本物だよね……?

 こんな事を考えてしまうのは、アンセムさんが言っていた言葉が原因なのかもしれません。わたしと母が似ているという事――。その言葉の意味は、やっぱりわからないままでした。


「母親の名前がわからない――ですか?」


 翌日、ギルドルームの中、わたしはリンレイとテーブルを挟んで向き合ってました。今日はギルドルームにはわたしとリンレイしか居ません。厳密にはリンレイも色々とギルドのお仕事で忙しそうだったのですが、わたしが相談を持ちかけると話を聞いてくれました。


「それどころか、顔も覚えてないんだ……。わたし、アルティールに来るちょっと前――大体七、八ヶ月くらい前まで生きてたお母さんのこと覚えてないなんて、なんか変じゃない?」


「それは……変というか、ちょっと薄情ですね……。うーん、記憶ですか……。余程母親の死がショックで、忘れてしまったとか」


「確かに凄くショックだったけど……それで忘れちゃうのかなあ。大好きな人のことなのに」


「…………。まあ、ここ数ヶ月間の間は色々ありましたからね。もしかしたら疲れているのかもしれませんよ。少しゆっくり休んで見てはどうですか? マキナ、ここ最近トレーニングにも熱が入りすぎです」


 言われてみると、確かにここの所はずっと訓練漬けだったかもしれません。休んでいる暇もなかったし……。テーブルの上でクッキーをもぐもぐしているアポロをじっと見つめます。そういえば最近、なんだか妙に眠いような……うーん、やっぱり疲れているのかもしれません。そんなことを考えていたときでした。


「おはよう――っと、二人だけか。最近、それぞれ忙しいのかギルドルームも寂しくなってきたな」


「ヴィレッタ先輩、おはようございます」


 先輩は紙袋を片手に担いで頷きました。中身は食材のようです。ギルドルームの中には小さなキッチンがついていて、先輩はたまにここでお料理とかお菓子作りとかをしているのです。


「まあ、クラスアップした今が一番忙しい時期だからな。そんな時期に――どうしたマキナ? 浮かない顔して」


「ちょっと考え事です。先輩、お菓子作るんですか?」


「ん? ああ、ケーキでも焼こうかと思って。良かったら食べる?」


「食べます! ヴィレッタ先輩料理上手なので大好きなのですよ〜」


「そ、そうか? て、てれるなあ……ははは。っと、そうだった。マキナ、リンレイ、とりあえず居合わせた君たちにだけ話しておくが……。今度三校による交換学生がウチのギルドにやってくる事になった」


「交換学生……ですか?」


 アルティール、ベガ、デネヴはそれぞれが提携した行事を時々行っています。その中の一つに学園内の優秀な生徒を一定期間エクスチェンジするという、交換学生という行事があるのです。

 これには色々な理由があり、表向きはそれぞれの学園交流、裏では優秀な生徒による力と権力の誇示、そして他の学園の偵察と色々とあるんだそうです。兎も角恒例行事で、その交換学生がウチにも来ることになったんだとか。


「とは言え、交換学生が直接関与してくるのは紅服――つまりAクラスのみだ。だからお前たちには直接は関係ないはずだったんだが、向こうの学生が熱烈にこのギルドを志望しているらしい」


「そうなんですか? このギルド物凄く地味で趣味でやってるみたいなギルドなのに凄いですね」


「……。まあ兎に角そういう事で、暫く他の学生を預かる事になった。その報告だけしておこうと思ってな。本当は全員居る場でしたかったんだが、顔が揃わないだろう?」


「それもそうですね……。ところで、その交換学生はいつ頃来るんでしょうか?」


「ああ。それが、もう来ているんだ。外に」


「「 え? 」」


「だから、先に説明しておこうと思って……。歓迎の為にケーキ作るんだしさ」


 わたしとリンレイは同時に顔を見合わせました。それからあわててギルドルームの中を片付けはじめます。流石に他校の生徒にまで普段のユルユルした活動を見られるわけには行きません。少しでも綺麗なギルドルームを見てもらわなければならないでしょう。そうして大急ぎで片づけを終え、何とか出迎えの準備が終了したのです。

 ヴィレッタ先輩が紙袋をテーブルに下ろし、扉を開きます。わたしたちは緊張してお客さんを待っていたのですが――。光の中、飛び込んできた小さな影はぴょーんとわたしの腕の中に納まりました。


「久しぶりだぞぉ、マキにゃ〜!」


「――あれ!? えと、ナナルゥ?」


「僕も一緒だよ、マキナ」


「ラグナ君……? あれ?」


 扉の向こうに立っていたのは、白い制服に身を包んだナナルゥとラグナ君の姿でした。事情がよく飲み込めず目を真ん丸くするわたしたちを前に、ナナルゥがびしりと敬礼をします。


「今日から一週間お世話になります! ナナルゥは、カラーオブホワイト――。“歌う白月シンフォニームーン”、ナナルゥだぞおー♪」


「その護衛、“ソードキーパー”のラグナ・レクイエムだよ。どうぞよろしく」


 二人の自己紹介にわたしはポカーンと口をあけたまま何も言えませんでした。ナナルゥが、カラーオブホワイト……。なんでしょう、この状況は。そんな、交換学生生活初日の幕開けでした――。

 マキナ・レンブラント、再会の日の日記より――――。




ソード・コンプレックス(1)




「でも、ビックリしたよ……。まさかナナルゥがカラーズだったなんて」


 ギルドルーム内、ヴィレッタお手製のケーキをほおばるナナルゥにマキナはそう話しかけた。カラーオブホワイトと言えば、六名のカラーズの中では非常に存在が不明瞭なカラーズとして有名である。

 愛機、“タンホイザー”は純白の機体であるという事以外、その素性は明らかになっていないし、ホワイトに関しては性別、年齢何もかもが不明であった。たった一つ判っている事があるとすれば、それはホワイトがデネヴのカラーズであるという事だけである。

 その謎のカラーズ、ホワイトの正体はまさかの髪の毛ピンク、ナナルゥだったのだから驚かずには居られない。何より驚異的なのは彼女の年齢である。若干十四歳であるナナルゥであったが、カラーズの座に着いたのはなんと二年前である。つまり十二歳の時点でカラーオブホワイトであったという事になるのだ。勿論、フェイスの入隊にもカラーズ選出にも年齢、性別の制限はないのだから、違法というわけでもない。


「ん? 言ってなかったか?」


「言ってないよぉ……。ラグナ君も知ってたんでしょ? 意地悪いなあ」


「僕は別にカラーズではないし、彼女がカラーズであるからどうというわけでもないでしょう? それにどちらにせよ、交換学生でこっちに来るのは前もって決まっていたんだ。この間君と病室であったのは、その下見もあってこっちを見に来ていたからだね」


 マキナたちは知らないが、ムーンシティ襲撃事件より以前からファントムは姿を現しており、表立った交流としては存在しなかった三学園の提携も、裏では既に話が進んでいたのである。状況を報告する人員として実際にファントムと数度相対した事があるラグナが呼び出されたのはそうおかしな話ではない。更に言えば、今回の交換学生とファントム事件は裏で繋がっているのだが――ラグナがそれを説明する事はなかった。


「前もって決まっていた……ということは、月で会う前から蒼穹旅団に来る予定があったのですか?」


 リンレイの言葉にラグナは頷いた。最早ナナルゥは質問に答えるつもりもなく、ひたすらにケーキをほおばっている。その度に頭の上の耳がぴょこぴょこと上下しているのだが、誰もそれにはツッコまなかった。


「旅団は色々と興味のあるギルドだからね。ファントム事件に関しては特に――ね」


 ラグナは微笑ながらヴィレッタへと視線を向けた。当人は何も答えず、ただ目を瞑ったまま腕を組んでいる。マキナとリンレイが首をかしげていると、ラグナはそのまま話を続けた。


「それに、ここはブルー所縁のギルドでもある。興味を持っていてもおかしな事はないでしょう?」


「え? 所縁のギルドって……。ここ、ただのファンクラブじゃないんですか?」


「あー……。そういえば、なんだかゴタゴタしていて話す機会が無かったかもしれないな」


 その言葉にヴィレッタが反応する。そうして少しだけ申し訳なさそうに彼女は旅団の成り立ちについて語り始めた。勿論、かいつまんで、であったが。

 かつて最強の名を欲しいままにした蒼き騎士、カラーオブブルー。ザ・スラッシュエッジの異名を誇る彼女は学園というくくりが存在するより前から人類の為に剣を取り、世界の平和の為に戦い続けてきた。

 そんな彼女に賛同し、オペレーションメテオストライク後の混乱を収めようと立ち上がったFAライダーの一団があった。それこそがかつての蒼穹騎士団――後の蒼穹旅団である。

 ブルーは多くの優秀なライダーと共に世界中を駆け巡り、混乱を収めようとした。アルティールの居住区化、更にはフェイスの設立さえも彼女の力であったとされている。長い長い年月を生き、そして彼女は何人もの伝説のエースを弟子として育んだのだ。

 そのエースたちが結束し、フェイスの教員となった。フェイスは元来傭兵組織などではなく、世界の混乱を鎮圧する為に旗揚げされた義勇軍なのである。その蒼き旗は、今でもアルティールの旗のデザインに一部継承されているほどである。


「だが、旅団は事実上解散となった。理由は当然、スラッシュエッジが失踪したからだ。蒼が居なくなり、混乱が起きた。その時の混乱でフェイスの体制は今の状態へと変化し、学園は三すくみになる事でこの世界に力を持ちすぎる組織があらぬようにと互いを見張る関係になった。そうして消滅した旅団をこっそり継承した人間たちがいて、それを細々と護っているのがこの蒼穹旅団なのだ」


「……なんというか、スケールの大きいお話ですね」


「じゃ、じゃあもしかして蒼穹旅団って結構歴史あるギルド……?」


「そういう事になるな。まあ、今はただのファンクラブに成り下がっているんだが……」


 それどころか、別にブルーを敬うような事は特に何もしていないではないか。旅団メンバー三人は冷や汗を流した。そんな三人の間、ナナルゥは口の周りにクリームをつけたまま顔を上げた。


「今のカラーズは、皆ブルーの弟子みたいなもんなんだぞ〜。ナナルゥも、ブルーにちっちゃい頃あった事があるぞう」


「え!? ブルーって、ザ・スラッシュエッジに!?」


 驚くマキナに対し、ナナルゥは別に普通といった様子である。ナナルゥのぶっちゃけた話に対し、ラグナはそれを阻止しようとしたが……思いとどまった。別に止めるような話でもない。知っているのは確かにカラーズより上の人間だけだが、そこにいつかたどり着くかもしれないマキナならば話しても構わないだろう。それに別段、秘密というわけでもない。


「グリーンのおじちゃんは、ブルーの戦友だって言ってたし〜。ブラックのじいちゃんも、戦友だっていってた。イエローも、子供の頃会った事があるっていってたぞう。レッドは、ブルーの娘だしぃ」


「え……ッ!? い、今なんて!?」


「う? だから、今のレッドはブルーの娘だぞう〜。アテナ・ニルギース……一緒に居たのに知らなかったのか?」


 あっけらかんと語るナナルゥを前にマキナは何故か信じられないほどの衝撃を受けていた。あのアテナが、ブルーの娘……。動揺するマキナを前にヴィレッタは苦笑を浮かべていた。


「いや……まあ、それは本人があまり言いたがらない事でな。出来れば秘密にしてくれといわれていたんだが」


「じゃ、じゃあ知ってたんですか……? 先輩も」


「ああ。それに――私も子供の頃、ブルーには会った事がある。何故だか――あまり顔はハッキリ覚えていないんだがな。蒼い髪の綺麗な人だったよ」


 思い出すようにヴィレッタは語る。ザ・スラッシュエッジ――。それはオペレーションメテオストライクから名を歴史に残し、更につい最近まで若く美しい姿を保っていたという。それが果たして本物のブルーなのか……あるいは偽者なのか。ブルーに纏わる逸話はどれも破天荒で矛盾している。故に錯綜する噂の中、その存在が虚像でしかないブルーに魅力を感じる人間は多いという。


「そういう蒼の力に魅了されてしまったマニアックなファンの事を、巷では“ソード・コンプレックス”と呼ぶそうだ」


「ソード……コンプレックス――?」


「このギルドはブルーが作ったものだから、前々から興味があったんだぞう〜! はむはむ!」


「――そんな理由でね。僕らもブルーには興味があって……。マキナ? 大丈夫かい?」


 全員の視線がマキナに集中した。マキナの顔色は豹変し、今にも倒れてしまいそうだった。そうして両手で右目を押さえ、冷や汗を流しながら苦悶に顔をゆがめている。


「い、いた……っ!?」


「ど、どうした? 大丈夫か!?」


「せ、先輩……目が急にいた――――――あ」


「「「 !? 」」」


 その場に居た全員が驚嘆した。突然、目を押さえたマキナの指の隙間からドロリと大量の血が噴出してきたのである。マキナは手を離し、瞳から血を流しながら震えていた。すぐさまリンレイが反応し、医務室に連絡する。ラグナがマキナに駆け寄ってその瞳を覗き込んだ。眼球の表面、角膜から血が絶えず溢れ続けている。今まで誰も見たことのない症状だった。


「…………。医務室へ運ぼう。マキナ、立てるかい?」


「う、うん……。な、何これ……えっ? え……っ!? な、何、どうしちゃったのわたし……」


「今は兎に角治療を受けよう。多分、これは――」


 次の瞬間であった。まるでラグナの言葉をさえぎるかのように、マキナの瞳から血と一緒に何かが零れ落ちた。床に落ちたそれを見て、全員が同じ物を連想した。“コンタクトレンズ”――。しかし、マキナはそんなものをつけていない。つまり落ちたのは――。

 リンレイが布でマキナの片目を抑え、優しく縛った。同時にラグナがマキナを背負い、走り出す。誰もが動き出すよりラグナが走り出すのは早かった。そして入り組んだ学園の中を迷う事無く真っ直ぐに、迅速に駆け抜けていく。そのスピードにヴィレッタたちは追いつけず、どんどん距離が離されていく。


「わ、わ、わ、わ……っ!? わたしの角膜、さっき落ちてなかった……? ねえ、落ちてたよね!?」


「うん。でも大丈夫。今は医務室に行こう」


「わたし……何……? 何が起きてるの……? 痛いよ、ニア……。お母さん――ッ」


「大丈夫だから――」


 ラグナの声は優しく囁くように、しかしとても力強くマキナの胸に響いた。少年は少しだけ振り返り、にっこりと微笑む。その笑顔を見ていると痛みもなくなってしまうかのようだ。


「君は大丈夫。だから、今は僕を信じて」


「……う、うん」


 ラグナの背中は思っていたよりも広く、逞しかった。ぎゅっとその身体に腕を回し、マキナは血まみれの顔で頷いた。少しだけ顔を赤らめ、片目で校舎を見上げる。医務室までは、もう直ぐ目と鼻の先だった。


〜ねっけつ! アルティール劇場〜


*アンケート投票ありがとうございます*


マキナ「目から血が……」


ニア「それにしても、唐突な展開しか存在しないよね。いつも」


マキナ「そしてアテナさんはブルーさんの娘さんでした!!!!」


ニア「マキナがブルーの娘だと思っていた人! 残念でした!!」


マキナ「それは兎も角、二部も残す所半分くらいなのでそろそろアンケートのレスでもしてみようかと」


ニア「中間発表〜〜! といっても誰でも見られるんだけどにゃ」



【第一位】 アテナ・ニルギース/10票



マキナ「ぶっちぎりすぎる――」


ニア「出番微妙じゃない……? とまあ、色々ありますが本人のコメントを頂きましょう」


アテナ「え? コメントって言われても……。別にカラーズなんだから普通じゃない?」


二人「「 こ、こやつ……いいおるわ…… 」」


アテナ「ま、別に人気なんて無くてもいいんだけど」


マキナ「………………」


ニア「ああっ!? 主人公が死んだ魚のような目を……!?」


マキナ「ここからはアテナさんによりコメントに対する返答です……」



【クールな一匹狼だと思ってたけど、意外な可愛さなどがたまりません(>_<)】


アテナ「……。思ってたけど……? 思ってた“けど”?」


【もっと素直な感じで、お願いします。】


アテナ「素直に生きてるわよ」


【ツンデレっぽくなっていきそう。期待してます!】


アテナ「ツン…………? な、何?」


【神宮寺さんのツンデレ系にはずれはない】


アテナ「紅いからかしら」


【主人公みたいなかっこよさがある】


アテナ「二期では主人公よ。な、なんちゃって……」


【もっとデレろ〜】


アテナ「べ、別にデレたりなんかしないんだからっ!」



マキナ「読者に媚を売るのはそのへんにしませんか」


アテナ「こ……ッ!?」


ニア「そして二位がリリアって所に誰かツッコまない?」


マキナ「作品違うじゃん!! だーかーらーっ! リリアに入れるならわたしに入れるべきでしょーっ!!」


アテナ「……。ていうか、誰?」


ニア「ちなみにアテナさんに投票した人の多くは狂気更新にチェック入れてるドSさんでもあります」


マキナ「にゃーん!」


アテナ「…………ていうか、これはなに?」


マキナ「三部までには巻き返していけばいいんだよっ!!」


ニア「んー。でも最終的に50票くらい行けばいい方だと思ってるからねえ。なんとも」


マキナ「投票よろしくおねがいします!!」

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