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マキナ、地球へ行く!(3)

「むきゅ! むっきゅう!」


「も……もが……っ」


「むきゅう〜っ!! むきゅきゅきゅっ!!」


「…………ぷはあっ!! な、何!? なんで殺そうとするの、アポロ!?」


 せっかく気持ちよく眠っていたのに、アポロが顔の上に圧し掛かって呼吸を止めてきました。そんな辛く悲しい朝の始まりの景色の中、わたしは周囲を見渡します。

 ここはどこ? わたしはだれ――? 一瞬そんな素敵なフレーズが浮かびました。そう、見覚えの無い天井も、さらさらのシーツも、窓から見渡す都会の景色も、全てはつい昨日から始まった日常の一部……。フェイスの学生寮で眠り、目を覚ましたわたしは身体を大きく伸ばします。まだ頭がぼーとしていて、座ったまま寝るのも難しくはないでしょう。

 しかしわたしのそんな気持ちを無視してアポロは膝の上でなにやら一生懸命に跳ねて見せます。アポロの両足はとても柔らかいので若干気持ちいいのですが、アポロが一生懸命わたしに何か伝えようとしている事に気づき、わたしはふと時計に目をやります。途端、アポロが何故わたしを殺そうとしていたのかが判明しました。


「ににににっ!! ニア〜〜〜〜ッ!! 起きて起きて起きてっ!! 遅刻遅刻!! 完全に遅刻してるよううううっ!!」


「う、うーん……。かまぼこ……っ」


 何を言っているんでしょうかこの人は。かまぼこは昨日の夜さんざん食べたじゃないですか――。しょうがないので最後の手段。アポロを持ち上げて顔に押し付けます。暫くすると苦しくなってきたのか、ニアはじたばたし始めました。


「ニア、起きて〜〜!」


「んんんん――――ッ!? んんんんん――――ッ!!!!」


 暫くもがいていたニアでしたが、何故か急にぱったりと動かなくなってしまいました。また寝るつもりなんでしょうか? しょうがなくアポロを引っ張り上げると、何故かニアは口元から涎を垂らしてぐったりしていました。な、何が起きたのでしょうか……。


「アポロ、どうしてニアはぐったりしてるのかな」


「……むきゅー」


 アポロは何も言わずにわたしの手の中から逃れ、床に飛び降ります。なんかちょっと怒ってる……? 二度寝してしまったニアの肩を強めに揺さぶり、思い切り壁に突き飛ばします。すると彼女は跳ね起きて口元の涎を拭いながら据わった目で、


「し、死ぬかと思った……っ!」


「そんな事よりニア、遅刻だよう!」


「そ、そんな事っ!? そ、そんな事なんだ……じゃなくて早く制服に着替えないと!! マキナ、服脱いで!!」


「う、うんっ」


 壁にハンガーで吊るしてある制服に手を伸ばし、パジャマを一気に脱ぎ去ります。いっつも朝寝坊していたお陰で全部の服を二秒で脱ぐというスゴ技を身に着けているマキナにとってこれくらいは朝飯前でした。

 ただ、なんだかフェイスの制服はごちゃごちゃしていてどこをどうやって着るのかが判りません。一人でばたばたしていると、素早く着替えたニアが着替えを手伝ってくれました。

 二人で鞄を持って同時に部屋を飛び出します。その際、躓いてわたしが転んでいる間、ニアは素早くカードキーで部屋の戸締りを済ませ、倒れているわたしの首根っ子を掴んだままエレベーターに滑り込みました。

 同時にエレベータから飛び出し、一生懸命走ります。わたしがぜえはあ呼吸を乱して走っているのに対し、ニアは物凄く綺麗なフォームで息切れもなしに走って生きます。あんまりにも速くて見る見る距離を離されていくのですが、途中でニアが手を握って引っ張ってくれました。でもそんなに早く走れないので、わたしはもう息が出来ません。


「急いで急いでっ! 入学式から遅刻じゃ笑えないよ〜!!」


「に、あ……っ! はや……っ!?」


「しょうがないなあ! しっかり捕まっててよね……! よいしょおっ!!」


 ニアは一瞬立ち止まります。しかしわたしは勢いがついているので停止出来ずニアを追い越してしまいました。そんなわたしの手を引っ張り、ニアはわたしを抱きかかえます。そうして一気に加速し、バイクも車も追い抜いて朝の通勤通学ラッシュの中を猛然と駆け抜けて行きました。

 壁を走り、外灯から外灯へと飛び移りながら空を舞い、一気にフェイスの校舎までひとっとびです。わたしはもう、何も見ては居ませんでした。ただ青ざめた表情で死んだお母さんの事を考え続けていました。わたしも今、そこにいきます――。


「スーパースライディングゥウウウウ!! ブッレェエエエエエキッ! にゃす!」


 校門を飛び越え、大声で叫びながら着地します。叫んだのが幸いだったのか、周りの人たちは慌てて逃げていってくれたようです。ニアは数メートルを制動距離として要し、それから何食わぬ顔でわたしを地面に降ろしてくれました。


「バッチリ間に合ったね!」


「………………うん」


 わたしは物凄いねぼすけさんなので、いっつもお母さんに起こしてもらっていました。お母さんに起こしてもらうのが当たり前になっていて、どれだけ自分が甘えていたのかを今になって実感します。

 アポロはそんなわたしを見かねて起こしてくれたのでしょう。でも、次からは自分ひとりでちゃんと起きられるようになろうと思いました。じゃないと、次からは本当にビックリしすぎて心臓が停止しかねません……。

 アナザーの人は普通の人よりスゴい力を持っているというのは聞いていましたが、まさか壁を走るとは思ってもみませんでした。運動オンチなわたしとしては、ニアがとても羨ましくあり、同時に恐ろしくもあり……複雑です。


「マキナ、ネクタイ曲がってるよ」


「あ、ありがと……」


 でも、やっぱりニアはいい人です。いっつもにこにこしていて明るくて元気で、一晩一緒に居たけど全然わたしをいじめるような事もなくて、なんかフェイスそのものはあんまり好きじゃないけど、来て良かったなあとか速くも思っていたり……。

 周囲には沢山の生徒たちが歩いて行きます。皆わたしたちと同じ制服に身を包み、緊張や、希望や、決意……それぞれがそれぞれの想いを秘めて門を潜り、そしてこの学校の中でこれから起こる沢山の出来事がそれを待ち受けているのでしょう。

 二人で一緒にビルを見上げます。傭兵養成学校なんて、全然興味なんてなかったけど……。目の前にやるべき事があるというのは少しだけ気持ちが楽です。何もしていないと、辛い事ばかり考えてしまうから。でも、ニアが一緒なら何となく大丈夫な気がしました。アンセムさんとも、上手くやっていければいいと思います。


「――それじゃ、行こっか! FA用のアリーナで入学式だってさ。テレビも来るって!」


「そ、そうなんだ……。な、なんか……わたし場違いじゃないかな?」


「あはー。そんなことはないよー。マキナはかわいいよー」


「う、うぅ……」


 どうしてこの人はこうなんでしょうか。かわいいわけないでしょうに。かわいかったらいじめられたりするわけないんですよーう。


「もしかしたら、“カラーズ”に会えるかもよ〜」


「カラーズ……?」


「あ、そかそか。マキナはFAの事もフェイスの事もからっきしなんだったね。後で教えてあげるよ。きっと――見ればわかるからさっ」


 ニアはそうしてわたしの手を握り締め、元気よく歩いていきます。ニアは可愛くて明るくて、ちょっと変だけどすごくいい人です。早くもマキナは、ニアの事が大好きになってしまいそうでした。

 マキナ・レンブラント、入学式の日記より――――。




マキナ、地球へ行く!(3)




「――校門を初めて潜る新入生のあの表情……。初々しくて実にいいと思わないかい? アテナ」


 窓の向こう、眼下に広がる校庭を見下ろしながら少年は微笑む。紅い制服に身を包んだ彼等はフェイスのAランク生である。フェイスは三色の制服によりその実力と発言力、校内での処遇が決定されており、それは蒼、黄、紅の順番で上がっていく。新入生たちが皆蒼い制服に袖を通しているのも毎年恒例の事である。

 アテナ・ニルギースは窓辺に立ち、ぼんやりと空を眺めていた。人工の青空をモノレールが行き交い、窓の向こうからは風が吹き込んでくる。リングコロニー内には内部の気温、環境の調整により四季が設定されている。現在の季節は“春”であり、暖かい日差しと柔らかい風が心地よかった。

 アテナの隣に立つ少年、キリュウ・オウセンは上の空なアテナの肩を叩く。自分の肩に他人の指が触れているという事実にアテナは眉を潜め、その手を振り払った。


「――馴れ馴れしくしないでくれる? キリュウ・オウセン」


「君が何を考えているのか気になっただけさ。君はいつも地面ではなく空を見ているな。気にならないのか? 新入生が」


 真紅の髪を風に靡かせ、アテナはうんざりした様子で目を瞑り溜息を漏らした。腕を組み、大地を見下ろす。初々しい表情の新入生たちはアリーナへと急いで行く。自分たちもまた、もうじきそこに向かわねばならない。


「興味はないわ。“下”を見ないのはより高みに辿り着く為よ。私が戦う相手は、あんな素人じゃないわ」


「流石はカラーズの一人だ。“紅き猟犬クリムゾンハウンド”――アテナ・ニルギース」


「……その言い回し、何とかしたら?」


 不機嫌そうに肩を竦め、アテナは窓辺を離れた。フェイス校舎最上階、街を一望出来るその場所にフェイスアルティール校の生徒会室は存在する。ワンフロア丸々を生徒会関連の部屋で埋め尽くし、教師に成り代わり生徒を管理する役割に就いている生徒でありながら生徒ではない生徒たち――。アテナもまた、そんな生徒会メンバーの一人であった。

 生徒会に所属する生徒には幾つかの特別な措置と例外的な自由など、様々な特権が許されている。生徒会というブランドを有していれば、仕事も得やすいだろう。アテナが生徒会に所属しているのは決して学校を良くしよう等と言う気持ちからではなく、自分にとって有利なステータスとなるからという非常に現実的な目的からだった。逆に言えばアテナはフェイスの為に身を粉にして努力しようという人間であるキリュウの事が正直理解出来ずに居た。

 新入生を迎え入れてアリーナで行われる入学式でを取り仕切るのもまた、生徒会の役割である。FAの操縦に関して素人である新入生に挨拶するのは愚か、わざわざFAまで狩り出してセレモニーで演技など、あまりのも馬鹿げていてやる気は全くしなかった。だが彼女が“カラーズ”である以上、そうしないわけには行かないのだ。カラーズである以上発生する義務……アテナもそれくらいの事は理解している。


「アテナ先輩、そろそろお時間です! ドックで“ブリュンヒルデ”が待ってますよ!」


「……そう。面倒だけど仕方ない、行ってくるわ」


「新入生に夢を与えるのもカラーズの大事な仕事だ。精々派手にやってくることだ、アテナ」


「夢なんて持ってFAに乗るのは間違ってるのよ。でもま、教えてあげるのもいいかもね。この世には“どんなに努力しても覆せない才能”があるって事――」




「う、うわー……!? すごい人……っ」


 アリーナに入ったマキナとニアを待ち受けていたのは観客席にずらりと座った新入生たちの姿であった。FA運用を前提とした巨大アリーナこそ、フェイス入学式が行われる会場である。

 通常時はFA同士の決闘が行われるその場所は時々イベント時にこうして学校や生徒たちに利用されるフェイスの所有施設の一つでもある。マキナたち新入生は入った順番に奥から客席に押し込まれ、今は入学式の始まりを大人しく待っていた。


「あれが、FA……?」


「そうだよ。フェイスの汎用型FA、“ヴォータン”――。その式典用S型装備だね。現行機の中ではかなり高性能な機体だよ」


 ドーム状の天井がゆっくりと開き、人工太陽の光が空から降り注ぐ。光を浴び、ステージに美しく整列したヴォータンたちが次々に衆目の中に姿を晒した。紫色のカラーリングの装甲を白いマントで覆い、美しい装飾が施されたランスを片手に整列している。マキナとてテレビなどでFAを見たことはあったが、実物を見るのは初めてであった。

 20メートルを超える全長のヴォータンがずらりと並ぶその光景はFAに興味がないマキナでも美しいと感じる事が出来た。ニアはわくわくした様子で耳を上下させ、マキナの手を握り締めた。


「どう? かっこいいよね、FA!」


「えっと……う、うん」


「ありゃ、あんまり興味なし?」


「そんな事ないよ! きれいだなって思う。でも……」


 その美しい物が人を殺し、争いを広める力に他ならない。その矛盾にマキナは思わず黙り込んでしまう。

 マキナがそうして俯いていると、ステージの上に一人の男性が上がり、アリーナ中に展開される大型のフォゾンモニターに男性の姿がアップで映し出された。丸々太った優しい顔の男性で、かなり背が小さいのと相まってボールのような体型が目立っていた。

 男性はマイクを片手に周囲を見渡し一礼する。すると自然と生徒達のざわめきが消え、アリーナに静寂が訪れた。五千人を超える人数が一斉に黙り込み、報道陣のシャッターを押す音だけがかすかに響いていた。


『えー。あー……。フェイス、アルティール校へようこそ! 新入生の皆さんを心から歓迎しますよ。私はアルティール校の学園長、カーネル・マクイーンと申します。えー、長く挨拶をすると、皆さんも眠くなってしまうと思いますので、とりあえずこれで学園長からの挨拶とさせていただきます』


 ぺこりと頭を下げるカーネルに誰もが“挨拶短っ!”と心の中でツッコんだ。次の瞬間、カーネルはマイクを置いて空に手を伸ばし、指を弾いた。乾いた音が静寂のアリーナに響き渡り、隊列を組んだ三十二機のヴォータンが一斉に瞳に光を宿す。

 槍を天に掲げ、同時に振り下ろす。空を無数のFAが隊列を組んで飛翔し、次々にミサイルを発射する。空中ではじけたそれらは美しく虹色に花開く花火となり、轟音と共に新入生たちの頭上に降り注いだ。

 眩く輝く空の下、ヴォータンたちが槍を掲げ、アーチを作る。美しく統率された動きでずらりと並び、アリーナに勇壮なBGMが流れ始めた。すると一斉に盛り上がった新入生たちが歓声を上げ、頭上から降り注ぐ花吹雪のグラフィックの中校長は再びマイクに語りかける。


『それではこれより、新入生歓迎のセレモニーを執り行います! それでは皆さん、心行くまでアルティール校を楽しんでくださいね〜! えーでは、残りの事は生徒会長であるAランク生、キリュウ・オウセン君にお任せして、私も観客席の方に移らせていただきますね〜』


 そうして背後で待機していたキリュウがマイクを受け取りステージの上に立つ。片手をポケットに突っ込んだままキリュウはマイクを片手に空を眺めた。


『ご紹介に預かったキリュウ・オウセンだ。諸君らはまだ、FAがどのようなものなのか、この学園がどのような場所なのか、それをまだ理解していない事だろう! だがそれを教える前に、厳しい入学試験と受験戦争を勝ち上がった諸君らを労いたい! 今日は心行くまで楽しんで行ってくれ!!』


 良く通る声が空に響き渡り、頭上から飛行用のF型装備を装着したヴォータンが数機落下してくる。ヴォータンたちは並び、それぞれが一枚ずつの巨大な放熱板を持ち、“WELCOME”を一文字ずつペイントされた放熱板を掲げる。槍を構えて隊列を成していたヴォータンたちが同時に動き出し、きびきびとした動作で槍を振り回す。見事な演舞が続く中、新入生たちはきらきらと輝くその景色に完全に目を奪われていた。声援の中、マキナはじっとFAたちを見詰める。コミカルな動作で踊るFA。勇壮な音楽に合わせて演舞を行うFA――。FAは怖いものだとばかり考えていた。しかし、そこにあったのはとても楽しい、胸がわくわくするようなFAたちの姿であった。


「すごい……」


 感動したマキナが呆けたように呟いた言葉をニアは聞き逃さなかった。傍らでにっこりと微笑み、マキナの手を強く握る。

 そうして二人がセレモニーを眺めている最中、異変が起こった。空より突然、真紅のカラーリングを施された機体が落下してきたのである。あまりに唐突であった為、踊っていたFAたちが慌てて退避する。落ちてきたFAはゆっくりと顔を挙げ紅い翼を折りたたんで瞳を輝かせた。


「――うわっ、出た!? カラーオブレッド、ブリュンヒルデだっ!」


「ブリュンヒルデ?」


 興奮した様子で叫んだニアに聞き返すマキナ。しかしそれを訊くよりも実際にブリュンヒルデを見る方が速いと判断し、マキナもしっかりと前を向く。

 全ての中心で真紅の機体は佇んでいた。コックピットの中、アテナは小さく息を漏らす。こんな事にブリュンヒルデを使いたくはないのだ。だが――。

 空を飛行するFAから放たれた無数のミサイルがブリュンヒルデへ接近してくる。真紅の機体は低く身体を屈め、翼を広げると同時に空に飛び上がった。空中に跳躍し、左右の腰に内蔵されていた二丁の拳銃を取り出し、指先でくるりと回しながらそれを構える。

 大空を舞うように身体を回転させながら両腕を左右に伸ばし、飛来する三十以上のミサイル目掛けて引き金を引いていく。撃ち抜かれたミサイルは爆発し、花火となって空を照らす。一瞬で次々と飛来するミサイルの雨を撃ち落し、ブリュンヒルデは落ちてくる。マキナはただそれを見詰め、口をぽかんと開けたまま見惚れることしか出来なかった。

 落ちてきたブリュンヒルデが見事に着地を決め、左右の拳銃を指先で回しながらホルスターへと格納する。すると一斉に歓声があがり、マキナも身を乗り出してその中できらきらと瞳を輝かせていた。


「すごい……! ニア、すごいねっ!!」


「うんっ! すごいにゃー!!」


「すごい、すごいよっ!! “ブリュンヒルデ”……! すごくきれいで、かっこよくて……っ!」


「…………憧れちゃうでしょ?」


 ニアが照れくさそうに笑う。マキナは少しだけ戸惑いながらにっこりと微笑み、それから力強く頷いた。

 真昼のアリーナに鳴り止まぬ完成が響き続ける。その歓声を浴びる張本人、アテナはブリュンヒルデのコックピットの中で不機嫌そうに目を瞑った。

 真紅の機体を狩るアテナ・ニルギースとその愛機ブリュンヒルデ。マキナ・レンブラントとその機体との出会いが、この学園に大きな渦を巻き起こすとはその時誰一人理解してはいなかった。

 そう、ただ一人――。アンセム・クラークその人を除いて。アンセムは会場の隅、ブリュンヒルデの演技を脇目に空を見上げていた。セレモニーは続いていく。沢山の笑顔に包まれて――。


〜ねっけつ! アルティール劇場〜


*キャラやロボが多くなりそうな予感*


ニア「じゃーん! そんなわけで、後書きスペースでちまちまキャラクターとかロボットとか世界観の説明をしていく予定だよ!」


マキナ「うん……。正直ごちゃごちゃしててすごくわかりづらいよね」


ニア「それにまだキャラが安定してないから、ここでやるネタも思いつかないにゃす」


アポロ「むっきゅう」


マキナ「……うん、そだね……」


ニア「そんなわけで、今回はキャラ紹介で軽くお茶を濁してまた来週!」


マキナ「これからもよろしくおねがいします」



〜ねっけつ! キャラクター紹介〜


マキナ・レンブラント


年齢:15 性別:女 身長:155 ランク:C 所属:アルティール


本編主人公。黒髪ショートカットの女の子。身体つきは意外と女性的である。

五番コロニーアリオト出身であり、地球から遠く離れて暮らしていた田舎者。また、すっとろい性格の為スクールではいじめられていた過去を持つ。

大のお母さん子であったが、母を失い身寄りがなくなってアルティールにやってきた。父親は物心ついた頃には死去していた。

何をするにも遠慮がちで怯えたような目をしている。母親にべったりで何でも真似をしたがり、家事は大体こなす事が出来るが料理に関しては母から封印を言い渡されており、それを守っている。

内向的で友達もいない為、唯一宇宙うさぎという謎の生き物、アポロを心の友、家族としている。アルティールで様々な出会いを通じ、少しずつ成長していく予定。

女性的な格好は苦手で、特にスカートが大の苦手。昔からよく転ぶので長袖の服装を母がよく着せていたのが原因である。

何をやっても駄目で周りの足を引っ張りまくる主人公だが、歴代主人公と比べてどうなるのかは今後の展開次第である。



ニア・テッペルス


年齢:15 性別:女 身長:160 ランク:C 所属:アルティール


マキナのルームメイトであり人生初の友達(うさぎ除く)。金髪元気少女。

ネコミミがついているアナザーヒューマンであり、エーテル環境下でもある程度活動が可能であり、高いFA適正を持っている。

大家族の長女であり、下に弟三人妹四人と凄まじい家族の中で育った。家族を養う為に高収入である一流のライダーを目指し、フェイスに入学する。

自身がアナザーであることに関しては様々な思いを抱いているが、それを悟られないように常に明るく振舞うムードメイカーである。

マキナにとっては初の友達であり、一緒の部屋で暮らして行く家族となる。生まれて初めて出来た母以外の大切な人である。

近接格闘戦闘に高い適正を持ち、見た目通り華麗な身体能力を操縦技術に活かし、ライダーとして素質を開花させていく。



アンセム・クラーク


年齢:27 性別:男 身長:185 ランク:A 所属:アルティール


銀髪銀目、銀縁眼鏡の男。マキナの保護者であり、マキナの母の旧友。

フェイスの教師の一人であり、自身も高い作戦成功率を誇る傭兵である。教師を本業とする以前は各国を転々としていた筋金入りのバウンサー。

非常に無口で淡々としており無表情だが、その一言は時々ズレていて周囲に混乱を招く。見た目はおっかなく、言動もやはりおっかないが、生徒には強い愛情を持っている。

マキナの母の死を知り、自らマキナをアルティールに招いた。マキナにとっては新しい家族であり、教師であり、非常に複雑な気持ちを抱く人物である。



アテナ・ニルギース


年齢:17 性別:女 身長:155 ランク:A 所属:アルティール


“カラーズ”と呼ばれるフェイスを代表する傭兵の一人。“カラーオブレッド”、“紅き猟犬クリムゾンハウンド等、様々な呼び名を持つ赤髪の少女。

通常、学園使用の量産機を配備されるフェイスの傭兵たちの中では珍しく、カラーオブレッド専用機“ブリュンヒルデ”を与えられている。

圧倒的な操縦センスと頭脳の持ち主で、入学したその年にはランクを一つ飛ばしてAランクに昇進。その後、当時のカラーオブレッドを決闘で下して“紅”の座に着いた。

自分より弱い人間に興味はなく、簡単すぎる依頼にも興味はない。最強であり続ける事を求め、もっぱら今の目標は六人存在するカラーズの中で最強になる事である。

専用機であるブリュンヒルデは最新鋭の技術でたった一機のみ作られたオリジナル機体であり、アテナの為にあらゆる調整が施されている。クロスレンジで本領を発揮する二丁拳銃が主武装。



アポロ


年齢:不明(マキナより上らしい) 性別:不明(そもそもあるのか不明) 身長:60(全長である) 所属:マキナの頭の上


宇宙うさぎと呼ばれる謎の生き物。弾力があり、ふかふかもちもちしている。よく伸びる。

よくマキナに耳を引っ張られている。その気になればかなり伸びると本人は誇らしげに語る。かなり乱暴に扱われてもボールのように弾む。

意思を持っているような描写があるが、実際にあるのかどうかはわからない。本人はかなり知能が高いと思っている。マキナの面倒は自分が見なければならないと考えている。

基本的に自分では動きたがらない。好物は人参だが、実は雑食で肉も食えない事はない。基本的にマキナと同じものを食べている。『マキナ、地球へ行く!(2)』で登場したホットドックは中々おいしかったらしい。

通常、うさぎは滅多な事では鳴き声を出さないが『もきゅう』という謎の鳴き声を発する。基本は四本足で活動するが、時々二本足で立ち前足を手のように使っている描写がある。

ニアの事は苦手である。ニアいわく、『おいしそうだにゃす』だからである。ニアとはよく追いかけっこをしている関係である。本人曰く、野生の本能を押し殺せないアナザーは二流らしい。

お風呂に入る時も寝る時もマキナと一緒であり、マキナの身体が女性的に成長しているのかどうか毎日チェックしている。本人はあくまでも性別不明を言い張っており、その真意は不明。

直、他作品などにも出てくるうさぎと類似する点があるが、あくまでも類似しているだけで自分がオリジナルだと思っている。そもそも自分の方が先だと思っている。名前はある。

最初はアームストロングという名前にするつもりだったが、あんまりにもゴツかったのでアポロになった。別にアームストロングでもいいとアポロは思っている。自分は中々ワイルドなうさぎだと思っている。

直、宇宙うさぎという種類のうさぎは存在しない為、実際のところうさぎなのかどうかは誰にも判らない。もしかしたら一種のアナザーなのかもしれない。それはこの小説における永遠のテーマである。

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