第五話 ユウとアルフィーの出会い4
「アルフィーさんとは、どこかで会ったような気がしましたけど、気のせいでしょうか・・?」
考えながらユウはウッドデッキから周りを見た。
薄桃色の花で満開の木々。
小さな畑があり、井戸もある。
庭の彼方此方には小さな花がいっぱい咲いている。
部屋の中に何となく目線をやると、気になるものを見つけた。
ユウは椅子から立ち、部屋の中に入る。
「・・・・・・きらきらしてて綺麗・・」
棚の上にあるそれはランプだった。
鳥籠の形をしていて、ステンドグラスのようなものがはめ込まれている。
ガラス部分は揺らめいているように見えた。
ユウはその揺らめきが何なのか気になって指先で少し触った。
パリィイイイイン!!!
指先が触れた瞬間、それは光の粒のように細かく砕け散った。
「え・・・・」
跡形もなく、粉々になったそれは床にぱらぱらと落ちた。
「え、え?!」
「おや・・・・・・・」
「!あ、アルフィーさん・・!」
焦るユウが振り向くと、新しく紅茶を入れ直して戻ってきたアルフィーがいた。
床に散らばった欠片を見て、アルフィーは何があったのかを悟る。
「もしかして、ここにあったランプ、触った・・?」
「っす、すみません!!!」
ユウは何度も頭を下げて謝罪した。
アルフィーは欠片の一つを取り、困ったような顔をした。
「これは特別なランプでね・・オーロラの光を閉じ込めた石をガラスのようにはめ込んだ魔道具なんだ。扱い方がとても難しいし、持ち主以外が触れると簡単に砕けてしまう。・・手に入れるのに苦労したんだけど・・」
「そ、そんな大事な物を・・私・・・!」
「いや、ここに置いておいた僕もいけないんだ・・」
「わ、私弁償します!!おいくらですか!?」
「・・・・金額で表すなら・・・金貨、一億枚、かなぁ?」
金貨、一億枚。
そんな大金、ユウは今まで見た事もなかった。
「わ、私・・そんな高価なものを壊して・・・」
「本当に特別なものだからね・・・・」
「弁償したいですけど・・私・・どうしたら・・・」
ふむ、とアルフィーは顎に指を当て一つの提案を出した。
「じゃあ、ここで僕のメイドとして働く・・というのはどうだい?」
「へ・・・?」
アルフィーの手がユウの腰に回り、ぐいっと彼女を引きよせた。
「金貨一億枚分、ここで働いて返す。どうだい?」
「で、でも働くっていっても・・・」
「何、難しい事はない。ただ家事とかやってくれればいいよ。それと・・」
アルフィーの細く長い指が、ユウの唇を撫でる。
「僕のする事、僕のお願い事は絶対に拒まない・・難しくないだろう?」
「あ、アルフィーさ・・・」
「どうする?ユウ・・・・」
ランプを壊したのはユウ。
お世話になった恩もある。
ユウは、断わる事ができなかった。
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アルフィーが用意した服は、ユウが見た事のないデザインの服だった。
「これは和華という国のメイドさんが着ている服なんだよ。着方はこう・・・」
「あ、あのっ!私自分で!!」
「僕のする事には絶対拒まない。そう約束したよね?」
「は・・はい・・・・(下着・・見られた・・・)」
こうしてユウは彼のメイドとして働く事となった。
これがユウとアルフィーの出会いである。
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アルフィーはガラスの欠片を天井にかざしてくすりと笑った。
「まさか、こんなにうまく行くなんてね・・・。ユウ、もう離さないよ・・・」
いわゆる和風メイドさんスタイルです
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