表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

122/142

【コミカライズ開始記念小話】最恐お父さん

お久しぶりです。

お陰様で書籍化&コミカライズでございます…!

応援下さった皆様、本当にありがとうございました。


そして本日よりコミカライズがパルシィ様にて連載開始です。是非お読みくださいませ。


この小話はシェリー編の前日譚です。

どうかお楽しみ頂けますように。

「カーティスさんは、シェリーが結婚するならどんな人がいいですか」


 それは結婚した後、買い物からの帰り道。喧騒の絶えない街角を歩きながら、ネージュは思いつきを口にして隣を見上げた。

 何のことはない会話。特別な話題だとも思わなかったし、事実カーティスも面白そうに笑い、短い思案の末に言った。


「そうだな。シェリーが幸せならそれでいいよ」


 父親として理解のある完璧な答えだ。従兄弟と結婚して家を継ぐなら心配なし、もし愛する人を見つけてきたとしても、シェリーの選んだ相手なら信頼できるということなのだろう。

 確かな信頼関係で結ばれた親子に胸を温かくしていると、カーティスからも質問が返ってきた。


「ネージュはどんな人がいいと思う?」

「私ですか? うーん……そうですねえ……」


 ネージュ自身はそこまで割り切れそうにない。シェリーには絶対に幸せになってほしいから、素晴らしい相手でなければ駄目だ。


「優しくて誠実でかっこよくて、騎士の仕事に理解があって、シェリーに負けないくらい仕事ができて、シェリーを愛している人……が大前提ですね」

「はは、ずいぶん要求するなあ」

「そんなことはないですよ。シェリーほどの女の子なら、お相手だって立派な人じゃないと!」


 ネージュが拳を握って力説すると、身贔屓が過ぎると笑われてしまった。

 とは言ってもシェリーの選んできた人なら文句なんてないし、本人が幸せであることが一番なのだけれど。カーティスがおおらか過ぎるのだと反論しようとしたところで、彼はふと空色の瞳を細めて見せた。


「ああでも、私にも条件は一つだけあるよ」


 ネージュはやっぱりと言って笑った。友人の立場ですら思うところがあるのだから、親としてはあれこれ条件をつけたくなるものだろう。幾つになっても子供は子供、いつまでも心配したいのが親心なのだ。

 カーティスはどんな条件を掲げるのだろうか。身分……は自身がネージュを選んだくらいだから気にしていなさそうだが、となるとやはり仕事だろうか。きちんと働いていること……は流石に最低限すぎるか。性格? シェリーの無鉄砲をうまく制御してくれる人とか。うん、これは良い気がする。

 色々と想像を巡らせてわくわくしていると、カーティスはニッコリと笑ってこう言った。


「私より強い男だと安心だね」


 ——無理ですよね!?


 反射的に突っ込まなかったことを誰か褒めてほしい。

 カーティスが単騎で魔獣を撃退した顛末は、ハンネスから詳しく聞かされている。その内容を真実と受け取るならば、彼はもはや歩く最終兵器と言っても過言ではない。


 要するにカーティスより強い男となると、普通に考えてネージュの出した条件よりも遥か上どころか、遥か上空をマッハで駆け抜けるレベルの無理ゲーである。そんな人はこの国にはいない。いや、世界中を探しても見つかるかどうか怪しい。

 ああいや、冗談だろうか。この笑顔は……駄目だ、わからない!


 ネージュは口元を引きつらせて「いるといいですね……」と答えることしかできなかった。そしてまだ見ぬシェリーが選んでくるかもしれない相手へ、降りかかるであろう受難を察して心中で祈りを捧げたのだった。


シェリー編に続く→→→

しばしの間お待ちくださいませ…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ