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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第5章 神か悪魔か
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第5章19 バルムンク潜入

 「すごい大穴ですね」


 ボウが圧倒され声を漏らした。その言葉を受けヤオフーが言った。


 「フリン、これ、あんたの仕業だろ?」


 「頼む。言わないでくれ」


 「あの日、エミル山に落ちた雷って、まさかこれ?」


 ヤオフーの言葉にフリンは赤面し、震える声音で答える。そこに追い討ちを掛けるようにユニが言葉を重ねた。フリンは後ろに座るユニにチラッと振り返り気まずそうに言った。


 「あんまり掘り返さないでくれ。警備ギアに襲われて反射的に撃ったビームがバカみたいな大出力だったんだよ……」


 「でもまあ、お陰でこうしてギアに乗って中に行けるんだからね」


 「この先はどこに通じてるんだ?」


 ヤオフー、アクラが続く。アクラの疑問を受けてフリンは答える。三機は大穴内をゆっくりと前進している。


 「この先はギアハンガーに繋がってる。大丈夫だとは思うけど警備ギアが残ってるかもしれないから気をつけてくれ」


 「ふん。戦闘になるようなら俺に任せとけばいい」


 「なに、私もいるからフリンは隠れてればいいさ」


 「ふん——」


 大穴の出口が見えてきた。三機はアクラが操るスティンガーを先頭にして、ヤオフーのパードレ、フリンのラブディの順番で警戒しながらバルムンクのハンガーへ侵入した。しかし、ハンガー内には高出力のビーム兵器で焼き切られた警備ギアの残骸が転がるのみで、三機に襲いかかるものはなにもなかった。


 「ふん。どうやらいきなり襲われることはなかったようだな」


 「多分、俺が出た時のままみたいだな」


 「ふうん。がらんどうとして何もないんだね」


 「コカヴィエールのパーツがあればよかったんですけど、この破片じゃ役には立たなそうです」


 ボウが残念そうな声音で言った。ユニを含め、事情を知らない者達がそれぞれに感想を口にする中でフリンは違和感を覚えていた。——あの時、村を襲った奴らはコカヴィエールとこの戦艦を探していたんじゃないのか?と。ラブディのレーダーに目を凝らし、モニターの映すハンガー内の状況に注視するが、結局何も見つけられない。フリンは違和感を気のせいだと抑え込んで、言った。


 「パーツは無かったけど、このあとはどうする?」


 「これだけの遺跡で内部を探せば何か出て来るかもしれないね」


 ヤオフーが言った。さらに——。


 「ボウ、どう思う?」


 「はい。ギアのパーツは見当たらないみたいですけど、遺跡からはいろんな技術が見つかるんで、できれば調べていきたいです。まずは動力室と管制室とかを見られれば、この遺跡の全容が捉えられると思うんですけど……」


 「なるほどね。フリン、どうだい?」


 「前に来た時、それらしい場所は見なかったな。そこの扉を抜けると通路に出て居住ブロックとかいろんなところに繋がってそうだったぞ」


 「ふん。あそこを行くにはギアを降りるしかなさそうだな」


 「仕方ない。ここからは歩いていくよ」


 ヤオフーがそう言うと、スティンガーとパードレは右膝を床に付き、背中をかがめ前傾姿勢になる。そのまま右腕が胸の前に床と平行に添えられると、胸部ハッチが開いて、中からパイロット達が出てきた。パイロットが右手の上に乗ると、手が床の上まで降りてきて、アクラ、ヤオフー、ボウの三人はギアを降りてバルムンクの床を踏み、改めて内部を自分の目で見渡していた。フリン達は——。


 「ユニ、ここからは歩きになるけど大丈夫か?」


 「うん、大丈夫。私ばっかり甘えてられないよ」


 フリンは後ろの席を振り返り、ユニの表情を確認した。表情は硬く、心配させまいと作った笑顔が逆に痛々しく思ったが、一言、——無理はするなよ。と伝えると、他の二機がしたようにラブディを跪かせコックピットハッチを開いた。


 「じゃ、行こうか。フリンは先頭に立ってわかるところまででいいから道案内を、兄さんはしんがりを任せられるかい」


 「わかった」「ああ」


  ヤオフーの指示にフリンとアクラの二人が同時に返事をした。女性陣を挟むような形でフリンとアクラが歩く。ユニは不安そうな顔でフリンのすぐ後ろにくっつき、ヤオフーとボウは内部の様子を興味深そうに見渡しながら進んだ。

ご高覧いただきありがとうございました。

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