第5章16 居場所
「私は、ここにいていいのかな?」
「——え?」
フリンには、ユニの問い掛けの意味が理解できなかった。ユニが続ける。
「私、この艦でフリンみたいにパイロットやってる訳じゃないし。雑用とかはやるけど、いつも自分勝手に動いて、こうやってみんなに迷惑かけちゃう。フリンも本当は私の事迷惑に思ってるでしょ?」
ユニは大きな瞳に今にも溢れそうなほどの涙を浮かべてフリンのことを見つめている。フリンはその目を真っ直ぐに見られず、ユニの鎖骨のあたりに視線を泳がせながら答えた。
「……そんな、ことない。俺…、俺はお前に救われたんだ。俺が…あのギアを見つけたせいで村が襲われて……。村を追い出されて、家も両親も失って……。全部失った俺に、お前だけは傍にいてくれた」
「————」
「だから、俺は……。お前に、ユニに傍にいて欲しい……」
フリンも真っ直ぐにユニのことを見つめている。しかし、ユニは視線を落としてしまう。
「でも、だめだよ」
「だめだなんて言うなよ」
「でも、ここに私の居場所はないよ」
ユニの声が涙で震えている。気づけばフリンの手はユニの手を取っていた。
「——ヴィーグリーズに戻るか?」
「——うん」
「そっか。なら、俺も——」
——フリン、あんたには残ってもらうよ。ヤオフーの言葉が脳裏をよぎる。しかし、フリンは。
「俺も一緒に艦を降りる」
「でも、フリンは……」
「ユニを傷つけたのは俺のせいだよ。ユニにはもらってばっかりで何も返せてない。確かに俺は村を追い出されたけど、でも傍にいさせてほしい」
「……嬉しい。けど、フォックスハウンドのことはいいの?」
「いいんだ。ヤオフーもきっとわかってくれるさ」
言葉とは裏腹にフリンの頭では脱走の計画を考え始めていた。フリンはユニの手を両手で優しく包み込んでいた。やがて、ユニの涙が引き、落ち着いてきたのを確認すると、フリンは手を離し右手を軽く上げ——
「じゃあ、ヤオフーに話してくるよ。明日、補給が済み次第エミル山に向けて出発するらしい。到着には五日程度かかるらしい。ずっと砂の中に潜っていくらしいから景色が見られないのは残念だけど、この朝夜の寒暖差の激しい生活はしばらくは落ち着きそうだな」
ハハッとフリンはユニに笑いかける。ユニもこれ以上心配させまいと一生懸命笑顔を作り、じゃあ、五日間は退屈だね。また、話に来てね。とフリンに言った。
——六日後。フリン達はエミル山の麓に立っていた。
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