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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第5章 神か悪魔か
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第5章10 方針決定

 「その件だけど、私と兄さんの共通点ってなんだろうね」


 ヤオフーが言った。カインは顎を摘み考えるそぶりを見せている。沈黙を破ってリーが言った。


 「王族、っすか?」


 「それが血の話だとするなら俺は違うな。俺はダキニと結婚して王家に入っただけで俺自身はただのごろつきだ。それよりも俺とヤオフーの共通点と言えば——」


 「聖痕、ですか」


 リーの言葉をアクラが否定し、アクラの口にしかけた結論を、カインが引き取って言葉にした。アクラとカインはお互いに目を合わせ頷き合った。リーはハッと顔を上げ、ハクも納得の表情をしている。そしてヤオフーは——。


 「やっぱりそうなるよね。私も考えてたんだけど、結論は同じだったよ」


 「聖痕機ギア・スティグマータの事、グリトニル王国でも調べていたが、改めて詳しく知る必要があるな」


 「聖痕のことが分かれば、亜人達を操られたような先のアレを対策することもできるでしょうか?」


 「なんとも言えないな。スティグマータは一人しかパイロットになれないし、機体を放棄した時にはパイロットから聖痕は消えてしまうからな」


 アクラとカインが考察を進める。他の三人は黙ってその言葉に耳を傾けている。アクラはコーヒーを一口啜るとまた話し始めた。


 「これから何をするか、何を知らなければいけないか整理する必要があるな。一つ目は空の奴らの事をもっと知る必要がある。二つ目にスティグマータの事。そして三つ目に俺たち亜人の事だ。そして、一つ目と二つ目の鍵は恐らくコカヴィエールだと俺は思っている」


 「コールの事だね?」


 ヤオフーが口を挟む。アクラが頷いたのを見てさらに続ける。


 「カイン達は知らないだろうけど、私達が傭兵としてミズガルズに侵入していたとき、同じ傭兵としてコールって男がいたんだ。コールは空の奴らの一員だったんだけど、コカヴィエールとよく似たギアに乗っていて、しかもコカヴィエールと何か因縁があるようだったんだ。あのギアを調べれば、空の奴らに近づけるかもしれない。それにフリンの村はあのギアを見つけた直後に襲われたらしいしね」


 カイン、リー、ハクの顔に驚きの表情が浮かぶ。アクラが言った。


 「なるほど…。フリンの村も襲われていたか。これは俺の印象だがコールは幹部クラスかもしれない。他に空から降りてきた汎用ギア共とは明らかに一線を画していた。それにコカヴィエールも俺のスティンガーやヤオフーのパードレと比べても特異なギアだ。調べる価値はあると思う」


 「しかし、そういうことなら危険はないですか?」


 ヤオフーとアクラの出しかけた結論にカインが口を挟む。


 「コカヴィエールのあのやられようは異常でした。ただでさえスティグマータには専用のパーツが少なく破損したパーツを回収して復元しなくちゃならないのに、あそこまでやられると元通り直るかわかりません。それに私達にしても、下手なことをしてもしまたあんな総攻撃を受けたらひとたまりもありませんよ。今後、空の奴らのとの戦闘は避けられないとしても、少なくともまずは亜人が暴走した原因をはっきりさせておく必要があるんじゃないですか」


 カインの言葉にヤオフーとアクラは口を噤み、お互いの顔を見合う。——と、その時。


 「どうした?」


 ブリーフィングルームの内線電話が鳴り、ヤオフーが受話器を取り上げ応じた。何度か相槌を打つと最後にわかったと言って受話器を置いた。


 「どうやら次の行先は決まったようだよ」


 「先ほどの電話はどこからですか?」


 内線電話を終えたヤオフーが告げた。カインが電話の内容を尋ねるとヤオフーは、ああっと言って答えた。


 「ボウからだ。噂をすればなんとやらだな。コカヴィエールの事だが、オペレーションシステムのヴィーが起動しないらしい。コカヴィエール自体はフリンの操縦で動くようだが、ヴィーを探してブラックボックスを探してもただ一言“バルムンク“という言葉が出てくるだけだそうだ」


 「バルムンク?」


 カインが疑問符を打つ。


 「どうやらフリンがあのギアを見つけた場所らしい。嬢ちゃんの身体の事もあるし一度あの子達の故郷に行ってみるのも良いだろう?」


 ヤオフーが真っ直ぐにカインを見つめる。カインは机に両肘をつき悩むように額を支えながら机の一点を見つめていたが、やがて顔を上げると残ったコーヒーを一息でぐいっと飲み干し言った。


 「わかりましたよ。行きましょう」


 「悪いな。カイン」


 「いいですよ。いつもの事です」


 「じゃ、準備ができたら出発だ。フリンに案内させよう。後で艦橋に呼び出してくれ」

ご高覧いただきありがとうございました。

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