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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第5章 神か悪魔か
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第5章8 トリガーハッピー

 「リー!!」


 ハクが叫ぶ。スープーのギア・ワーカーが二人に向けてガトリングガンを構える。


 「——くそっ!」


 リーが叫んで急停止した。持っていた鉄板をギア・ワーカーの前に構えて踏ん張る。ハクは三メートル程後方からリーの構えた鉄板の影を目指す。ガトリングガンの引き金が引かれ、ゆっくりと四つある銃身が回り始める。


 「うおっ!?あっぶねぇぇぇえええ!!??」


 瞬間、四つ銃身が火を吹いた。ハクは間一髪のところでリーの鉄板の後ろに隠れることができた。轟音と激しい火花と共に鉄板が変形していく。鉄板のリー達の隠れている側がボコボコと隆起していき、今にも弾が貫通してきそうだった。全ての弾が鉄板に命中したわけではなく、鉄板を逸れた弾が後方の作業員達のそばに着弾する。

 ——きゃあっ。ボウの悲鳴を始めとし、作業員達のたくさんの悲鳴がハンガー内でこだまする。幸い、誰にも命中しなかったようだが、中には腰を抜かしたように臀部を床に擦り付けたまま後ずさる者もいた。


 「ボウ達は、向こうに隠れてろ!ここは俺たちに任せてくれ!」


 ハクは一瞬後ろを振り返り、作業員達の無事を確認して安堵すると、すぐさまスープーに向き直った。背中を向けたままボウ達に指示をすると、隣のリーに目で合図を送る。リーも理解したというように、コクリとうなずくと二人は鉄板を構えたままスープーの前に走り出した。——すかさず、スープーがガトリングガンを乱射する。しかし、今度は弾は逸れることなく全て鉄板に着弾する。ギア・ワーカー用のガトリングガンはその連射力や貫通力と引き換えに激しい反動があり、ギア・ワーカー用に調整された小口径のものでもブレが激しい。二人はそのブレによって生じる弾の拡散、それによって起こる流れ弾の作業員達への命中を阻止するため、スープーとの距離を縮めることによって、弾を全て受け止めることを決断し成功した。しかし——。


 「だめだ、ハク……。もう、もたねぇ」


 一気に被弾率が増えた鉄板を数箇所を弾が貫通し、貫通した弾が鉄板を持つリーのギア・ワーカーの腕や肩の装甲を傷つけ、吹き飛ばしていた。鉄板も既に蜂の巣となり、穴と穴が繋がり両断される寸前のところまで来ていた。


 「大丈夫、ギア・ワーカーへの負担や銃身焼けがあるから、長くは撃てないはずだ!」


 既に後ろからついていく事をやめ、ハクもリーのギア・ワーカーを後ろから支えている。二人は必ず訪れるはずのチャンスを待って、ジリジリとスープーとの距離を詰めていく。


 ——バギンッ!


 乾いた轟音と激しい火花と共についに鉄板が真っ二つに折れてしまった。しかし、続く銃弾は飛んでこない。二人は耐え切ることに成功した。


 「リー!」


 「ああ!」


 ここぞとばかりに二人は声を掛け合った。ハクは折れ落ちた鉄板の半分を素早く拾うと右腕に構え、二機のギア・ワーカーは一気に距離を詰める。その左横から——。


 「うおっ!?」


 ハクの左側を走っていたリーが悲鳴と共に見えなくなる。——何が起きた?ハクはリーの状況を案じたが、いつ発射が再開されるかわからないガトリングガンを前にリーに構っている余裕がない。そのまま突っ走っていく。ハクの二メートル前方で再びガトリングガンの銃身が回り始めた。


 「うおおおおおおおおっっっっ!!!」


 ハクが雄叫びを上げながら、右腕に構えた鉄板を前に突き出す。突き出された鉄板は今まさに弾が発射されようとしている銃口に蓋をした。外に出られないまま凄まじい勢いで発射されていく弾丸が銃身内に溢れガトリングガンが爆発する。ハクとスープーのギア・ワーカーが二台とも右腕が肩から吹き飛び、スクラップになる。爆発の衝撃で二台のギア・ワーカーはそれぞれが後ろに弾けた。スープーは、ぐえぇっと潰れたカエルのような悲鳴を上げるとそのまま気絶した。そして、後ろに倒れたハクの視線の先では、亜人の作業員二人に乗っ取られた残る二台のギア・ワーカーと対峙するリーのギア・ワーカーの姿が見える。しかし、視界はだんだん狭く暗くなっていき、ハクもまた意識を失っていった…。

ご高覧いただきありがとうございました。

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