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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第5章 神か悪魔か
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第5章5 打ち合わせ再開

 「それじゃ、再開しようか」


 船長室で別れてから十分後、一同をアクラを加えて六人になり、ブリーフィングルームに集まっていた。ブリーフィングルームの中央には六人で使っても十分な広さの長方形のテーブルが置かれ、片側に三脚ずつ椅子が並べられていた。入り口から見て上座側には左からカイン、ヤオフー、アクラが座り、下座には左からハク、スープー、リーが座っている。六人の前にはコーヒーの入ったマグカップが並び、テーブルの中央には白い陶器のシュガーポットとミルクピッチャーが置かれていた。

 ヤオフーは自分のコーヒーにミルクだけをひと回し入れ、ティースプーンで軽くニ周程かき混ぜると、一口ほど啜り会議の再開を告げた。


 最初にヤオフーはこれまでカインが語った話をアクラに掻い摘んで伝えた。一通り話すとカインに補足を求めると、カインは特に補足はないと言った。アクラは「ふんっ」と一度鼻を鳴らすと、睨むような目つきのまま腕を組み、机の上を見つめている。

 ヤオフーはアクラの反応を見ると、コーヒーを一口啜る。アクラ以外の五人もそれに続いて、それぞれのコーヒーに手をつけた。


 「カインに続きを聴きたいところでもあるけど、ハンガーの方はどんな状況だったんだい?」


 ヤオフーが言った。リー、ハク、スープーの三人はお互いを見合うばかりで、誰が話し始めるか決めあぐねているようだ。そんな中、スープーが震えた声で話す。


 「お、俺は…、皆んなで観覧式の中継映像を眺めながら、ワーカーの中に待機してたまでは覚えてんだけど……。そ、その、何も…わからないんです」


 「というと?」


 スープーの要領を得ない話に、ヤオフーがもう少し詳しく話すように促す。アクラは机から椅子を話、筋骨隆々とした大きい足を右足を上にして組むと、目を瞑り、口をへの字に結んでスープーの言葉に耳を傾けていた。

 スープーが口を開く。


 「本当に何もわからないんだっ!観覧式が始まって、王様の長い挨拶を聞いてたくらいまでは覚えてるんだけど……。その後は…。何も——」


 「でも、お前。その後も俺らとしばらく普通に話してたぜ」


 リーが言った。しかし、スープーは肩を落として俯き、リーの言葉に反応を示さず、ただ、しゅんっと縮こまってしまっている。


 「あの飛行遺跡が出てきたあたりから、急に——」


 「リー、やめとけ」


 「あっ——」


 ヤオフーがリーのことを止める。リーも悪気があったり、スープーを責めようとしたりした訳ではない。ただ事実を確認しようとしただけであったが、それがスープーを傷つけていたことに気づき、口を噤んだ。


 「スープー、その後は、どこからなら覚えてる?」


 ヤオフーがスープーに聞く。リーのことは止めたが、何が起きたのか正しく把握するため、このメンバーで唯一あの異常事態の影響下に曝されたスープーの話はやはり貴重なのだった。


 「——気づいた時には、手足を縛られて懲罰房に寝かされていました。部屋の外で、皆んなが忙しなくしてるっぽかったのは感じました。部屋から出された時には全部終わってました」


 スープーがそこまで話すと、それまでずっと手足を組み、目を閉じって話を聞いていたアクラが、目を開きコーヒーを一口啜った。皆んなアクラに続きコーヒーに手を伸ばし一息つく。頃合いを見計らって、アクラがスープーに尋ねた。


 「懲罰房で目を覚ますまでの間は、何も覚えてないか?」


 「すみません——」


 コーヒーで一息つき、少し正気を取り戻したスープーの顔が、再び苦しそうに歪む。


 「——そうか」


 アクラはそれだけいうと再び腕を組み、目を瞑った。


 「辛い話をさせて悪かったな、スープー。お前はもう席を外していいぞ」


 ヤオフーにそう言われると、スープーは一言「すみません」と呟き、席を立った。出口の前まで来ると、皆んなの方を振り向き、すっかり萎縮し丸まってしまった背中で一礼して、ブリーフィングルームから出て行った。


 「ミズガルズでも、正気を失った亜人たちは、その間のことを何も覚えていなかった。フォックスハウンドでもそうだったんだろ?」


 ヤオフーから横目で問いかけられたカインは、すぐ左に座るヤオフーに膝からしっかり向き直り、「その通りです」と返した。ヤオフーはカインに顔を向け、コクリとうなずいた。そして——。


 「じゃあ、ハク。話を聞かせてくれ」


 話の続きを求めた。

ご高覧いただきありがとうございました。

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