第5章4 ブレイクタイム
「なるほど。そこで私の連絡があった訳か」
話はいったん現在の船長室に戻る。ヤオフーは腰掛けている椅子の上で、これで何度目になるのかわからない足を組み直した。机を挟んだ向こう側ではカインたち四人が背筋よく立っている。ずっと話し続けていたカインは一息つき、一気に話して渇いた喉を潤せもせず、軽く咳き込む。他の三人にも若干の疲れが見て取れ、スープーは兵士の端くれではあるため身体は直立不動を貫いているが、尻尾は軽くふらつき始めていた。
「だから、私に大丈夫かと聞いたんだね?」
ヤオフーは腕を組み、顔を伏せて思案顔をしている。上目遣いに目だけでカインを見て問いかけた。
「そういうことです。正直目の前のことでいっぱいいっぱいで船長に連絡することも忘れていたんですが、船長から通信が入ったときに、安心もしたんですけど、違和感も覚えまして——」
カインはヤオフーのことを直視せず、目の前の机に視線を泳がせながら、か細い声で答えた。グリトニル王国は亜人と共存した国だったとはいえ、世界には未だに根強く亜人差別が残っている。その亜人を特別視するような発言をヤオフーにすることはやはり憚られていた。しかし、ヤオフーは
「構わない。ミズガルズでも同じことが起こっていた」
そう言って、ヤオフーはカインに静かに微笑んだ。ヤオフーは腕組みを解き、立ち上がると
「続けて話を聞きたいところだけど少し長くなったな。それに兄さんにも話を聞いてもらったほうが良さそうだ。いったん休憩しようか」
そう言って、腰に手を当て身体を伸ばした。四人も「気をつけ」の姿勢を解き身体を楽にする。
「それじゃあ、十分後にブリーフィングルームに集合で。リー、兄さんに声をかけといてくれ。スープーには人数分のコーヒーを頼んだよ」
「了解っす」「りょうかい」
「それじゃ、また後でね」
カインたち四人が出て行った船長室で、ヤオフーは窓際に立ち、見るでもなく、太陽が天頂に近づきつつある外の風景を眺めながら、顎先を摘み思案している。外はすっかり昼の太陽の熱射にさらされ、砂漠の砂は、一粒一粒が焼け石のように熱くなっていた。
「あの時、兄さんも平気だった。私と兄さんの共通点……」
ヤオフーは一人呟いていた……。
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