第4章35 コカヴィエール
「ヤオフー!アクラ!」
「二機ともこっ酷くやられたみたいだねぇ。エリナは生きてるのかい?」
「——」
「まあいい。これまで戦ってきてわかったけど他はどれも量産機ばかりだった。奴が隊長クラスだろう。奴を倒してこの場を切り抜けるよ」
「フリン、動けるなら身を隠していろ。ここは俺たち二人にまかせるんだ」
アクラのスティンガーとヤオフーのパードレが傷ついたコカヴィエールを庇うようにコカヴィエールと真コカビエルの間に入って構えをとる。スティンガーは背中のロケットブースターを外し左腕に装備し、パードレは左右のフェザービットを六基ずつ切り離し、パードレの周囲に浮遊させていた。
「——ヤオフー、それは?」
「フェザービット、私の奥の手さ。機体も操作しながらだと、六基操るのが精一杯何だけどね」
「さっき砂漠の狐も全員無事に逃した。あとはお前だけだ」
スティンガーの八連ミサイルとヤオフーの六基のフェザービットが同時に真コカビエルに向かって飛んでいった。真コカビエルは四枚の翼を使い空に逃げる。しかし、ミサイルとフェザービットは軌道を変え、真コカビエルを追跡する。真コカビエルは空中を縦横無尽に飛び回るが、ミサイル、フェザービットは追跡し続けたため、真コカビエルは飛び回りながら巧みに翼を使いミサイルを迎撃していく。しかし、三発目のミサイルを迎撃したとき、フェザービットのレーザーメスが真コカビエルの翼を一枚斬り落とした。真コカビエルはバランスを崩し残り五発のミサイルと六基のビットのレーザーが直撃した。空中にミサイルの爆発した粉塵が漂う。その煙が残るなか、畳み掛けるようにスティンガーが更に八発のミサイルを撃ち込む。空中にミサイルの作る暗雲が立ち込める。
「——やったか!?」
三機の戦いを見守っていたフリンが言った。フリン、アクラ、ヤオフーが見つめるなか、空中の一角を黒く濁した暗雲が風に流され掻き消えていく。その暗雲の中心から緑色の球体が現れた。
「——さすがですね。一瞬、肝を冷やしたよ」
緑色の球体の繭が解け、中から赤橙のギアが現れた。真コカビエルは四枚の翼のうち、右内側の一枚の翼を失いはしたものの、その後のミサイルやフェザービットの追撃はすべてビームシールドで防ぎ、無傷でその姿を現した。
「そんな…。あれだけの攻撃を受けて、まだ…?」
「ふっ…。さすがにこれだけの手練れの操るギア・スティグマータ相手に二体一は厳しいですね。目的のユグドラシルの破壊も果たしたことですし、もういいか」
コールはそう言うと、スラスターにビームを集中させていく。圧縮された粒子がスラスターから漏れ、緑色に輝き出した。真コカビエルが三機に背中を向ける。
「待て…。どこに行くんだ?」
「——もう用は済みました。帰るんですよ」
「コール、逃げるのか?」
「両腕無くして何言ってるんですか?見逃してあげるんですよ」
フリンの言葉に、コールはあくまで穏やかに、しかしとても冷たい声音で返した。
「それから僕の名前はコールじゃありません。コカビエルです。以後お見知り置きを」
真コカビエルは空の彼方へ飛び去っていった。
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