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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第4章 海賊フリン!
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第4章33 ミズガルズ攻防戦8

 コカヴィエールは足の裏とふくらはぎに設置されたスラスターから粒子を吹き出す。さらに両肩から伸びている白いビームの翼の出力を上げ、色濃く密度の増した両翼と脚部のスラスターの出力で素早く飛び上がった。コカヴィエールのいた場所は一塊の砂塵を巻き上げたと思うとその中心部に居るはずの機影は既にそこになく、一瞬のうちに赤橙のギアと同じ高さで目の前に現れると、両腕を向けビームを乱射すした。しかし、コールの操る赤橙のギアは、空を飛ぶために展開している四枚の翼のうち一番左の一翼を機体の前に折り畳み、コカヴィエールからの分厚いビームの弾幕を防いだ。

 初撃が失敗に終わり、コカヴィエールは重力によって自由落下し始めると、再び各スラスターに充填した燃料を瞬間的に放出し、瞬間的に爆発的に増した推進力により空中で再び飛び上がった。先程は赤橙のギアの正面に飛び上がったが、このジャンプでは方向を変え赤橙のギアの翼をシールドとして使っていない右腕側に飛び上がり、さらにスラスターをふかして一気に距離を詰める。コカヴィエールが左腕でビームを撃ちながら右腕のノズルからビームをブレード状に放出し振りかぶる。対する赤橙のギアは横に素早く回転し背中の四翼で迫るビームの嵐を弾き飛ばすと、迫るコカヴィエールに対し、右腕からビームをブレード状に放出する。二機が交錯する。お互いの右腕から放出されたビームブレードがぶつかり合い、二機の間でビームの粒子が弾け、激しい鍔迫り合いが起こる。しかし、コカヴィエールの機体重量を乗せた突撃は赤橙のギアの右腕一本で弾き返され、スラスターの推進力を失ったコカヴィエールは数十メートル落下し砂漠に着地する。


 「おやおや、随分派手にやりましたね。あの子、仲間じゃなかったんですか——」


 「違うっ!俺は何もしてない!俺は何も……」


 「——まぁいいです。どれだけ頑張ったところで、その機体では僕には勝てませんよ」


 赤橙のギアは再び着地したコカヴィエールに向けて両腕からビームの嵐を降らせる。すかさずコカヴィエールもビームシールドを張り防御するが、シールドの上面、ビームの嵐に晒されている箇所の粒子が弾けていき、シールドの密度がみるみるうちに薄くなる。コカヴィエールは右腕を赤橙のギアに向けて構えるとシールドに穴が空いたタイミングで、赤橙のギアを丸ごと飲み込み大出力のビームを再び放つ。そのビームの威力は先程フリンが発射したものよりも数倍も高密度のビーム砲であった。コカヴィエールの右腕から放たれた白いビームの柱に赤橙のギアが飲み込まれる。数秒の間、放射され続けたビームは、飛行遺跡を焼き、都市を焼いた煙で生まれた暗雲を切り裂き、見渡す限り炎の赤で染まっていた景色を晴れ渡らせた。天気を変えるほどのコカヴィエールの高出力のビーム砲に、なすすべなくコックピットで成り行きを見守るパイロットのフリン自身も驚愕し震え上がる。そして頭上を見上げたフリンはその光景を見てさらに驚愕したのだった。


 「——。そんな……。あのビームの直撃を喰らって、何ともないなんて……」


 「言ったでしょう?そのギアでは僕には勝てない、と」


 白いビームの柱が晴れた先に、青い空の下には緑色の球体が浮かび上がっていた。球体が、羽化したての蝶が羽を開くようにほつれていくと、中から無傷のギアが現れた。


 「そのギアの実力はよく分かりました。数百年振りに発見されたときは驚きもしましたけど、やはりもはや時代遅れの骨董品ですね」


 コールからそう通信が入る。フリンは度重なる驚異的な光景に理解が及ばず、口をパクパクさせるだけで声も出ない。先程から様子のおかしいユニもコールの、赤橙のギアの言動に身動きとれずにいるかのように微動だにせず佇んでいる。フリンの頭上にいる赤橙のギアがゆっくりと体制を変え、背面のスラスターを天上に向けて放出する。赤橙のギアはゆっくりとコカヴィエールに近づきながら両腕にビームブレードを構えた。コカヴィエールもこれに反応し腕を上げビームブレードを展開しようとしたが、コカヴィエールが腕を上げる前に、フリンの見る全天周型のモニターの前面を赤橙色が覆い隠したかと思うと、緑色の帯が二閃、フリンの目の前を横切った。その直後、凄まじい衝撃と共にコカヴィエールが後方に吹き飛んだ。砂面を転がる衝撃と勢いでフリンはようやく気付いた。決して赤橙のギアもコカヴィエールもゆっくり動いていたのではなかったと、そう見えていたのは強化されたフリンの目が更に意識を目に集中してようやく見ることのできた生物が死を覚悟した時にみせる超感覚による現実時間との錯覚であった。


 砂面を転がったコカヴィエールが体制を立て直そうとうつ伏せになり立ち上がろうとするが、なぜかうまくいかずに前のめりに倒れ込む。ようやく転がされた衝撃から立ち直ったフリンがすかさず状況を確認するとそこには信じられない光景が広がっていた。


 「——腕が、ない!?」


 胸部スラスターを使って立ち上がったコカヴィエール。フリンが全天周型モニターから見る光景で本来左右に見えるはずの腕が見当たらず、正面モニターにはアラートが表示されていた。

ご高覧いただきありがとうございました。

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