表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第4章 海賊フリン!
71/327

第4章31 ミズガルズ攻防戦6

 ヴィーはいまだ正常に機能していない。

 フリンは初めてヴィーのサポートなしにコカヴィエールの操縦を行うが泣き言は言ってられない。エリナもグレイブ・クラーケの六本腕をすべてにライフルや機関銃を装備し、六本すべての照準をコールの赤橙のギアにロックオンする。


 「フリンさん、相手に合わせる必要はありません。先手必勝できめましょう」


 「わかった。タイミングはまかせるぞ」


 エリナとフリンの中で手短な作戦会議が行われた。傭兵として約二週間の訓練を共にした二人の間では意思疎通に多くの言葉は必要なかった。エリナはグレイブ・クラーケの照準を見上げるように空中に浮遊する赤橙のギアにあわせると、装備した機関銃で戦闘開始の火蓋を切った。


 「——なっ!?あれはビームシールド!?」


 「おやっ?フリンさんから聞いてなかったんですか?」


 グレイブ・クラーケの六本の腕に装備されたライフルや機関銃から発射された大量の弾丸は、赤橙の機体周囲を球状に囲むように現れた薄緑色のビームの膜に阻まれ、機体に到達する前に蒸発した。その姿もコカヴィエールのシールド展開時の姿に酷似していた。フリンは極力ビーム兵装は隠していたのでエリナはもちろん、アクラとヤオフー以外の兵士達は、コカヴィエールの機体全体を覆うビームシールドの存在は知らないはずであった。しかし、コールはそれを知っていたとも取れる発言をした。フリンはその二人の会話を無視すると、グレイブの発砲に合わせて移動していた赤橙のギアの背後から、赤橙のギアを丸ごと飲み込むような直径をした大口径のビームを発射した。しかし、このビームもビームシールドに弾かれ、シールドの表面を滑って霧散する。


 「くそっ——!!」


 「人が話しているというのに、行儀の悪い方ですね」


 赤橙のギアは空中から両腕をそれぞれコカヴィエールとグレイブに向けると、すべてを集めると、先ほどコカヴィエールが発射したよな機体全体を覆い尽くすほどの直径を持ったビームに匹敵するようなビームを放射状に拡散させて発射した。


 「うわっ!!」


 「きゃっ!!」


 フリンは運半分、根性半分で、エリナは持ち前の熟練した操縦技術で間一髪のところで回避した。しかし、ビームは一発では終わらない。空中からビームが嵐のように乱射される。


 「これでっ!」


 フリンのコックピット内でのカーソル操作がなんとか間に合いコカヴィエールは辛うじてビームシールドを展開してこれを回避する。今まで、言葉一つでヴィーに指示をして展開していたコカヴィエールの各武装だが、その武装を使用する際のセーフティロックの解除や出力調整をすべて一人で行うことの大変さにフリンはこの戦闘でいまさらながら気付かされた。グレイブは遺跡の瓦礫群のなかを器用に走り続け、地の利を生かしてビームの嵐を回避し続けている。


 「エリナ!こっちに来い!!」


 フリンがコカヴィエールの元にグレイブを呼ぶ。グレイブがやってくるとビームシールドを先のスコル小隊長との戦闘の時に見せた二本の翼状に変形させると、その翼を機体上部に傘のように展開して降り注ぐビームを防ぐ。コールの赤橙のギアの放つビームが着弾点の地面を抉りとり、周辺の地形がみるみるうちに変わっていく。


 「へえ、村の時はそのギアを暴走させていましたけど、少しはマシに使えるようになったんですね」


 「お前がなんでヴィーグリーズのことを知ってるんだ!」


 フリンとユニの出身地である西のアストラン地方のヴィーグリーズ村の事件は他地方まで知れてはいるものの、その内容は砂漠の狐のような海賊集団に襲われただの、はたまは地底に溜まったガスの爆発だのと噂されていて、空から降りてきた兵の虐殺行為やギア同士の戦闘があったことなどは知れていないし、フリンが傭兵志願後の訓練中に小隊の仲間に真実を話しても、皆んな鼻で笑って頭から信じようとしなかった。それをフリンは不思議に、そして不審に思ってもいたが、何故コールは知っているのか。しかも見てきたかのように詳細に……。


 「フリンさん、もしかして以前話していた話って——!?」


 「誰も信じなかったけど真実だ!だが、村にはあんなギアいなかったはずだ!」


 「ええ、私もあんなギア見たことないわ!」


 フリンの言葉にユニも同意する。あの時村にいたのは墜落した遺跡周辺を飛び回っている飛行機のような羽のついたバックパックを装備しているあの量産型のギアだけだったはずだった。そしてあの時ヴィーグリーズに降りてきた舞台はコカヴィエールの暴走に巻き込まれて全滅したはずだ。では何故、コールはこのことを知っているのか?


 「やつを倒して吐かせるまでだ!」


 フリンはそういうとコカヴィエールの上で傘状に展開した翼のうちの一方を頭上の赤橙のギアに向かって伸ばし、避けるギアを追いかけて上下左右に振られる。コカヴィエールの背中の棘状のスラスターから断続的に照射されるビームは姿は、あたかも身の丈の何倍もある巨大な大剣を振り回しているかのようだった。


 「援護します!」


 また、エリナもその様子をコカヴィエールのビームの翼の下でただ見ているだけではなく、赤橙のギアの逃げる先に所持した六つの銃を撃ちまくる。


 「さすがに二体一では厳しいですね」


 コールのぼやきとも取れる声がスピーカーから聴こえたかと思ったその時、赤橙のギアは左手をグレイブに向けてまっすぐ伸ばす。しかしビームを撃つわけではない。


 「何をする気だ…。——っぐわぁぁああ!?」


 「——きゃあぁぁああ!!」


 フリンが頭上のギアの行動に不審を覚えた直後、コカヴィエールの背面に銃撃が浴びせられた。シールドの無い箇所への攻撃にコックピットに衝撃が走った。

 フリンとユニが背後を確認すると、全天周型のモニターにはコカヴィエールに銃を向けるグレイブが映っていた。

ご高覧いただきありがとうございました。

ブックマーク、評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ