第2章2 燃える日
フリンが気がつくと部屋はすっかり暗くなっていた。どうやら眠ってしまっていたようだ。すっかり腹も減っていた。
「なんか食い物…」
そう思って台所に向かおうと立ち上がったところで異変に気づく。
カーテンの隙間から見えた外の景色は、夜の帳の落ちた闇空とは裏腹に、地上ではオレンジ色の光が激しく踊っている。
「なっ!?何が起きてるんだ!?」
火事か?
いや、そんな規模じゃない。もっと大きな…。まさか…。
村が燃えている…?
闇夜を照らす炎の光で、夜にもかかわらずヴィーグリーズは夕暮れさながらの明るさを保っている。
そこに人々の悲鳴や銃声、ギアの放つブーストの燃焼音が騒々しく響きわたる。俺はこの異常事態にも気づかないほど熟睡していたらしい。
「父さんと母さんは?」
この事態に息子を放っておくような人達ではない。フリンは何が起きたのか考えたくないほどの不安に駆られた。
家の中には誰もいなかった。フリンは周囲を警戒しながら外に出る。
「ユニ…?」
フリンの自宅入口脇の一角。塀に沿うようにして作られた花壇の影にユニが立っていた。母さんが大切に育てていた色とりどりの花は頭上を飛び交うギアによって巻き起こる強風により半分程が無残に散っている。
「フリン…。ダリルさんが…。ダリルさんが!」
ダリルはフリンの父親の名前だ。
「一体何があったんだ?」
ユニが震える声で話す。
「あいつら、急に村にやってきて、ここにエミル山の遺跡を持ち出したやつがいるはずだ。今すぐそいつを連れてこい。って言って、いきなり村の人たちに向かって銃を撃ってきたの。私怖くて、足がすくんで、あいつらに捕まりそうになったわ。そしたらダリルさんが私を守って逃してくれたの。でもかわりにダリルさんが捕まって…」
その時の状況を思い出して、ユニが震えている。
「ダリルさんや捕まった人たちは広場に集められて。そこであいつら、遺跡を持ち出した人を連れてくるまで人質を一人ずつ殺していくって…。私を庇ったせいで、あいつらに目をつけられて…。ダリルさんが、まず見せしめに…」
そこまで話してユニは声が出なくなっていた。大粒の涙をボロボロとこぼしている。
「私のせいで…。ごめんなさい…。ごめんなさい…」
「とりあえず家に入ろう」
言いながらユニを家に入れ、落ち着くまで背中をさすってやる。
ユニが話した事がフリンの頭の中を駆けめぐる。
(父さんが死んだ?ユニは何を言ってるんだ?)
フリンの頭は言葉の意味を理解する事を拒絶している。
「あいつら何を言ってるの?私たち子供の頃からエミル山で遊んでいるけど、あそこに遺跡なんてないよね?」
いくらか落ち着いてきたユニが話す。しかしフリンはそれに返事ができない。
(ユニの話した事が本当なら、こうなった原因は俺なのか…?)
エミル山の戦艦遺跡には、回収し忘れたフリンのワーカーや、他にどんな痕跡を残してきたのかわからない。
「俺は行かなきゃ行けないところがある。ユニはここに隠れてろ。必ず迎えにくるから!」
フリンは家を飛び出し、エミル山に向かった。
ご高覧いただきありがとうございました。
ブックマーク、評価よろしくお願いします。




