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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第4章 海賊フリン!
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第4章28 ミズガルズ攻防戦3

 一方、その頃ヤオフーは——。


 「ちぃっ、兄さんやフリンとはぐれちまった…。兄さんはともかくあの坊やは大丈夫なのか…?」


 一向に数の減らない敵機との戦闘を続けながらヤオフーははぐれてしまった二機を探していた。そのモニターの映す視界の端——。


 「——あんた達!?」


 砕けた遺跡の瓦礫の影に見知った集団が見えた。そこにはギア一機が中に入って身を隠せるほどの空間が広がっており、ヤオフーはパードレをその中に滑り込ませるとコックピットハッチを開けて集団に呼びかけた。


 「ボスっ!?良かった、無事だったんですね」


 「そりゃこっちのセリフだよ。でも、無事っていうのはまだ早いかな…」


 「——」


 「あんた達は私が守るよ。合図したら出てきな」


 ヤオフーはコックピットハッチを閉めると隠れていた空間から外に出た。パードレのレーダーには右前方百五十メートルほどのところに二機の機影を示した。相手もパードレに気づいたようで二機はまっすぐこちらに向かってくる。


 「ここで戦うわけにはいかないな」


 ヤオフーは砂漠の狐の仲間達を守るため、あえてジャンプして、姿を晒して応戦する。右前方からヤオフーや砂漠の狐の仲間達の隠れる場所へまっすぐ向かってくる敵機に対し、パードレは瓦礫が散乱し地形を活かして戦えそうな左前方へジャンプした。そのジャンプと同時、パードレは右手からビームをレーザーメスのように照射する。パードレの機体を捉え、右に九十度方向転換して追いかけようとしてきた敵機は、パードレから突如放たれた光速に匹敵する速度で迫るビームの熱線を交わすことができず、二機のうちの一機が左肩から袈裟斬りに切断される。切断された機体はコックピットを真っ二つにされ、腰部背面側に内蔵されているジェネレーターをも真っ二つにされた。燃料に引火し爆散する。


 「——ちっ、しくじった。無事でいてくれよ」


 爆発したギアの爆風が広がる。ギアの破片や周囲の瓦礫が爆心地から弾丸のように四方八方に飛び散っている。ヤオフーはジェネレーターを傷付けずコックピットだけを焼き切るつもりだったが失敗してギアを爆発させたことに、付近に残してきた仲間達の安否を心配した。しかし、ギアはもう一機残っているので、今は仲間のもとへ戻るわけにはいかない。


 周囲を瓦礫の森に囲まれた空間。パードレの着地先であり、撃ち漏らした一機が迫ってきている決戦の場。しかし、先ほどの爆発に反応し、広域表示したレーダーにはさらに一個小隊、四機のギアが迫ってきているのが見えていた。


 「ここで全機仕留めるよ」


 ヤオフーは今までセーフティロックをかけていたパードレの武装を解放する。ヤオフーがロックを解除するとパードレの背中に装備された大きな翼の羽のようなパーツひとつひとつの接続が外れ、パードレの周囲で浮遊をはじめた。浮遊した羽状のパーツは片翼につき十六基、合計で三十二基に及ぶ。その羽一つ一つがビームの発射ノズルが内蔵された兵器であり、またその羽一つ一つが相手の攻撃から身を守る盾であった。


 「フェザービット…展開!!」


 拡張されたパードレのレーダーが周囲の瓦礫や建物、ギアの位置などを三次元にモデリングして、ヤオフーの首に接続されたケーブルを通じてヤオフーの脳神経に直接映像を送り込む。機械的にヤオフーの認識能力が拡大され、ヤオフーは周囲の状況を俯瞰視点であったり、瓦礫の向こうの相手を透かして見たりと、パードレのフェザービット展開時のレーダー有効半径二キロメートルほどの空間を完全に掌握した。


 「ぐうぅ…。さっさとかたをつけるよ」


 急激に増えたパードレからの情報量に、それを処理するヤオフーの脳が悲鳴を上げる。激しい頭痛にヤオフーの顔が苦悶に歪んだ。フェザービットを使うとビットの操作に意識の大部分を持っていかれ機体の操縦が疎かになる。当初ヤオフーはフェザービットを使うつもりはなく、瓦礫の森は身を隠しながら敵機に不意打ちを仕掛けるために選んだ戦場だが、フェザービットを使用するため身を隠すにもうってつけの場所だった。


 ヤオフーはフェザービット四基をパードレの元に残し、残り二十八基を迫る敵機の周囲に散開させる。まず先行して迫りくる先ほど撃ち漏らした一機に、周囲の瓦礫の影から三基のビットが飛び出した。不意を突かれた敵機が急停止し瓦礫の影に隠れようとしたのを、二基のビットがレーザーメスのように照射したビームで両足を切り落とした。突如支えを失いバランスを崩して急旋回した勢いそのままに地面に落ちて転がる敵機の胴体部、そのコックピットを正確に最後のビットが焼き切った。コックピットが焼失し、パイロットを失ったギアが沈黙する。今度はギアを爆発させることなく静かに敵機を撃墜した。


 「残り四機…」


 ヤオフーの戦いは続く——。

ご高覧いただきありがとうございました。

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