表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第4章 海賊フリン!
60/327

第4章20 模擬戦最終戦、クリス対フリン

 フリンが模擬戦会場に入場する。

 展望席にいる者達がコカヴィエールの姿を見てざわつく。


 「改めて見ると、やっぱりコールのギアに似てるね。周りもざわついてるよ」


 ヤオフーが呟く。アクラは聞いているのかいないのかわからない表情で、一度ヤオフーに視線を向けると再び会場の方に目をやった。


 「それでは、四番クリス対十番フリン、はじめ!」


 模擬戦最終戦、クリス対フリンの試合が始まった。クリスのギアもヤオフーの対戦相手だったネイルと同じ機体、レピーダだった。


 「ヤオフーの話じゃナーストレンドの機体らしいな。クリスも女性だったけどムキムキで強そうだったし、やっぱ南の出身者なのかな」


 フリンが呟く。南方地方ナーストレンドは大陸内で一番治安の悪い地方だ。社会に馴染めなかった者、犯罪者、亜人など社会や世間から虐げられ、弾かれてきた者達が流れていく最終地点だった。アクラやヤオフーの故郷であったグリトニル王国が健在であったときは、長い戦乱の末にグリトニル王国が南方のほぼ全域を統治し平和になり民が適正な賃金を獲得し豊かな暮らしができるように改善されていったが、三年前に滅び人々の記憶から消えてしまってからは、以前以上に状況は混乱し、治安は悪化の一途を辿っていた。闘技場はそんな人々のストレスを発散し、力の有り余ったものには、腕ひとつで稼げる場を与える事で治安維持お行うことも一つの目的として建てられら施設であった。

 そのような土地柄からかナーストレンドには軍人流れの傭兵達も多いと聞いた覚えがあった。


 「さっきの試合は接近戦の力比べになったけど、こいつはどうなんだ?」


 コカヴィエールは腰に訓練用の剣を保持し、右手にペイントガンを構え、いつでも動けるように背中のスラスターには絶えず推進剤を送り続けている。

 対峙するレピーダは、装備する巨大な盾でコックピットを中心にこちらの射線を隠し、様子を伺っている。

 開始の合図以後、試合は、二機とも相手の出方を伺う静かな開幕となった。


 「とりあえず見える部分から狙ってみるか」


 コカヴィエールがレピーダの盾に隠れていない脚部、膝下に照準を定め発砲する。


 この銃撃をきっかけにして試合が動き出した——!!


 レピーダはコカヴィエールから向かって右側に回避すると左手に構えた盾を少しずらし、右手に構えたペイントガンをコカヴィエールに放つ。

 コカヴィエールはコックピットの高さに沿って前方左側から右側へスライドするように飛んでくる銃弾を飛び越えるように左側に側方宙返りで回避する。空中に飛び上がり上下反転した姿勢で上空からレピーダに追撃の銃弾を放った。

 しかしレピーダはこの動きに反応すると、先ほどの回避の勢いのまま、コカヴィエールを中心に時計回りにスライドしていく。また、構えた盾の位置を飛んでくる銃撃の向きに合わせて上向きにする。

 コカヴィエールの銃撃は、一発レピーダを捕らえたものの、盾に吸収される。残りの弾丸は砂面に落ち、幾つもの砂柱を立てるにとどまった。

 レピーダはコカヴィエールからの銃撃を躱すと、コカヴィエールの着地点に銃撃をばら撒く。しかし、着地の瞬間、コカヴィエールは背中のスラスターから一瞬大きく炎を噴くと落下の軌道を変え、レピーダから大きく距離をとって回避した。

 この間、わずか五秒の攻防。

 息をもつかせぬ一瞬の衝突のあと、二機は再び沈黙し、両者の間に相手の一挙手一投足に注視する緊張状態が訪れる。


 「はぁ…。危なかった。ネイルは近接メインだったけど、あいつはしっかり盾を使った遠距離戦がメインか?」


 「射撃が正確な分、敵機の動きが読めれば回避確率は高まります。戦闘データをもとに敵機行動パターンの分析を開始します」


 「早めに頼む。シールドもすぐに張れるように準備しておいてくれ」


 「了解しました」


 「…よくよく考えてみたら、俺の戦闘ってエミル山のときの大出力ビームぶっぱ以外はブレードでの接近戦しかしたことなかったな。盾持ちってのも初めてだ」


 思考がそのまま声に出る。フリンは頭をフル回転させて、どのように立ち回るか考えていた。その目の前で今度はレピーダの方から行動に出た。


 やはり、レピーダはしっかり盾を構え、身をかがめて的を小さくした上で、円形の縦の斜め上部より銃口を出し、左右に細かく動いて狙いを絞らせないようにしながら、しかし銃弾は寸分もずれずにコカヴィエールの中心目掛け飛んでくる。

 ヤオフーやアクラ、他の志願者達のように高速さと繊細さを両立した機体コントロールのできないフリンはレピーダの銃撃を高速さを優先して左に大きく移動し回避する。しかし、コカヴィエールの過剰なまでの動きにレピーダはその場で向きを変えるだけの最小限の動きで対応する。コカヴィエールを追い詰める銃弾にフリンは思わず斜め後方に大きくジャンプしこの銃撃を回避した。

 距離が離れたコカヴィエールに対して、無駄玉は使わないと言わんばかりにレピーダが銃口を向けたまま発砲を止める。しかし、フリンもきっかけが掴めず、大きく開いた距離を維持したまま動けずにいた。が、その時——。


 「十番、ペナルティ二ポイントだ。模擬戦の戦闘領域を超えている。次やったら無条件で失格にするぞ」


 マリーが告げる。だからクリスは発砲をやめたのかとフリンは納得した。一時休戦し再び開始線に戻るように告げられる。距離を詰められず困っていたフリンにとっては、都合のよい移動となったが、このあとどう攻めれなよいか考えあぐねていた。


 「分析完了」


 コカヴィエールのコックピット内にヴィーの言葉がこだました。

ご高覧いただきありがとうございました。

ブックマーク、評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ