第4章14 模擬戦第二部開始
「それでは模擬戦の組み合わせを行なう」
第一部の生身の模擬戦のときと同様に志願者の番号の書かれた紙が掲示され、抽選により組み合わせが決められていく。その結果三人の試合は次のように決まった。
第二試合 二番エリナ対九番アクラ
第三試合 一番ネイル対八番ヤオフー
第五試合 四番クリス対十番フリン
「では、第一試合の二人は準備するように!試合会場は街外の砂漠だ。ハンガーから外に出て係の誘導に従い会場まで行くように。他の者は展望室に移動するぞ」
早速、第一試合が開催される。模擬戦では訓練用の武器を使用し、刃のついた剣や実弾、ビームなどの兵装の使用は禁止されている。また、勝敗はポイント制が採用され、腕や脚、頭など各部にポイントが設定され被弾するたびにポイントが加算されていく。ポイントが十ポイントに達するとそこで試合終了となる。コックピットへの被弾は十ポイントで一発アウト。肩部や腰部の装甲など被弾しても駆動に支障のない箇所は一ポイント、腕は二ポイントなど場所によってポイントは様々だ。ただし、盾を装備している機体は盾で受けた攻撃は加点の対象とならない。
「六番は第四試合か…。誰もあいつとあたらずに済んだのは良かったと思うべきか?」
「——」
「誰が相手でも油断するな。そうじゃなくても俺たちは手の内を明かしすぎるわけにはいかないんだからな」
「アクラはいいかもしれないけど、俺は手抜いて勝てる自信なんかねえよ」
「そう言うな。わかってるとは思うがビームシールドも極力使うなよ。使っても、機体全面を覆うんじゃなく腕の前だけに留めておけ」
「シールドもなしって…」
「——泣き言言ってんじゃないよ」
ずっと思い詰めた表情で黙っていたヤオフーがようやく口を開いた。
「フリン。あんたの反射神経は本物だよ。自信を持ちな。私もいつまでも落ち込んでいるわけにはいかないな」
「もう大丈夫なのか?」
「兄さん、心配かけて悪かった。もう大丈夫だよ。この模擬戦であいつにリベンジできないのが残念だけどね」
「一番のやつなら俺でも勝てたんだ。ヤオフーなら勝てるさ」
「だといいね」
——それまで!
マリーが第一試合の終了を宣言した。試合していた二機はそれぞれ腕や脚にペイント弾が着弾している。最後は頭部に被弾しカメラがペイントで塞がれてしまった機体が続く射撃を避けきれず滅多撃ちにあい終了となった。
——すぐに第二試合を始める!二番と九番は準備しろ!
「ふんっ」
「頑張れよ」
「兄さん、しっかりね」
「…あぁ、行ってくる」
アクラがハンガーへ向かった。その背中を見送るとアクラが見えなくなったところでフリンがヤオフーに話しかける。
「アクラ、丸くなったよな。口数が少ないのは変わらないし、面と向かうとやっぱり威圧感があるのも変わらないけど…。初めて会ったときのような嫌な感じというか、話しかけづらいような、他人を寄せ付けない感じはなくなったよな」
「あれが本来の兄さんだよ。初対面じゃ誤解されることもあるけど、厳しくも仲間思いだし何にも屈しない芯の強さもあってね。騎士としても上官としても、尊敬され頼りにされていた」
「リー、ハク、スープーの三人組もアクラには頭が上がらないもんな」
「あいつらも兄さんの下で鍛えられたからねぇ。…あいつらの事、悪く思わないでくれよ。私の指示でやったことなんだ。態度には出さないけど、あいつらにも辛い思いをさせちまった」
「おまえらの事情はユニから聞いたよ。最初はそれでも許せないって気持ちもあったけど、今はもう仲間だ。ユニも世話になってるしな」
「あの子のこと、しっかり守ってやりなよ」
「ああ、わかってる…」
眼下の砂漠では、今、アクラのスティンガーと対戦相手のギアが入場してきた。いよいよ第二試合、アクラの試合がはじまる。
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