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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第4章 海賊フリン!
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第4章3 中央都市ミズガルズ

 ミズガルズの正門をくぐると、そこには市場通りが続いている。

 市場通りは、正門からまっすぐ伸びる通路で、その両脇には一定の広さに区分けされたスペースにミズガルズ内外の商人達が露天を広げ、思い思いの品々を持ち寄って鎬を削っている。


 フリンとユニは、今、正門に入ってすぐの場所、市場通りの入り口にいる。すぐ右を見れば馬とも牛ともラクダとも判断のつかない陶器の置き物が並び、左側を見れば、人とも妖怪ともみれるうす気味の悪いお面を並べた店がある。入口からこんな怪しい店に囲まれてスタートするなんて大丈夫か?と、フリンは不安に駆られてしまうが、しばらく歩くとかわいい雑貨や服や靴などの店も並んでいた。この正門近辺の区画は一番人や車などの往来が激しいことから食品は扱わず、この場所では主に雑貨や調度品の類が並ぶ区画となっているようだ。


 さっそくユニが服屋につかまり、何か買わされている。


 「ねえフリン、似合ってるかなぁ?」


 ユニは胸元から膝下までの長さがあるパレオを巻いてフリンの前に現れた。

 パレオは白地の生地に大きめにピンクやクリーム色の花が描かれたシンプルながらも優しい色合いのもので、ユニの筋の通った綺麗な顔立ちや透き通るような白い肌にもよく馴染みとても似合っていた。


 「お、おう…。いいんじゃないか」


 フリンは一瞬見惚れてしまい、それをユニに悟られるのが恥ずかしく、素っ気なく返事した。するとユニが——。


 「なによー。もっと、『かわいいよ』とか言ってくれてもいいじゃない」


 と唇をタコのようにして、ブーたれる。

 それを見ていた服屋の店主が——。


 「お客さん可愛いから、照れちゃってるんじゃないのー?」


 と、余計な事を言った。それを聞いてユニが調子に乗る。


 「何よ何よ。フリン、あんた照れちゃってるのー?」


 「うるさい!さっさと先行くぞ!」


 「あ!ちょっと待ってよー」


 服屋の店主を心の中で睨みつけながらフリンはさっさと退散する。慌てて歩き、横に並んだユニは相変わらずブーたれていたが、いい買い物ができて嬉しそうだった。


 ある程度進んで行くと、今度は果物や野菜などの青果、肉、魚などが並ぶ区画になった。さらに進むとその先には色々な料理や軽食などを振る舞う屋台の区画に入った。

 その先は王城前広場となっていて、ここでは人々は屋台で買ったものを食べたり、大道芸などで賑わっていたり、憩いの場として、年中賑わっているようだった。

 さっきの雑貨の区画もそうだったが、ここミズガルズは人間も亜人も関係なく沢山の住人や観光客、商人で溢れ、差別もなく友好的に交流している。また、ここには東西南北すべての地方の人や亜人達の郷土料理、調度品が集まってくる。世界を旅しなくても、ここに来れば世界中のなにもかもが揃うこの世界屈指の一大マーケットだった。


 広場には王城入口に門がつけられていて、そこにはやはり警備兵配置されていた。フリンは門の先を覗き込んでみたが、すぐに王城があるわけではなく、王城内にはミズガルズ王の住む居城のほか、議会や裁判場などの政治や司法機能の中枢が配置されていて、王城は国家運営に関わる機関が配置される地域となっているようだった。この城門で必要な手続きをすれば、一般人も中にも入れるようだ。


 ひとまずフリンとユニは屋台で食べ物を買い、王城前広場で休憩がてら腹ごしらえをすることにした。


 「おいし〜い。薄いのにしっとりとして丈夫な生地に甘いチョコレートと生クリームが少し酸味のあるイチゴと絶妙に絡み合って口の中に言葉では表現しきれない天国が広がってる…。これが本物のクレープなのね!」


 ユニがまた変なことを言っていると、フリンが呆れながらユニに話しかける。


 「おまえ大袈裟じゃないか?クレープなら村でもジルおじさんのところでよく食べてただろ」


 「そうだけど。でもジルおじさんの本業はパン屋でしょ。それにここは世界中からいろんな食材が集まるから、やっぱりこの味は格別なのよ。フリンのも一口頂戴」


 そういうなりユニは、フリンがつまんでいた唐揚げをひとつ素早く奪い自分の口に運んだ。


 「おい!おまえなぁ。クレープ食ってるんじゃねぇのかよ」


 「だって甘いの食べたら、しょっぱいのも食べたくなるじゃない」


 「駄目だこいつ…。何言ってんのかわかんねぇ…」


 フリンは呆れながらも、ユニが楽しんでるんならそれでいいと思い、ユニの話も半分に広場の様子に目を向けていた。すると——。


 「やったなー、ハク!今夜はパーティだぜ!」


 「くぅー!今から期待で胸とアソコが高鳴るぜっ!」


 フリンとユニの二人がはじめての都会を楽しんでいる気分をぶち壊す聴き慣れた声が、白昼の広場にこだまするのだった。

ご高覧いただきありがとうございました。

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