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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第3章 新たなる仲間
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第3章21 時は戻り現在

 時は戻り、現代。


 バラストタンク内は、フォックスハウンドの浮上により、そのほとんどが排出されたためか、内包されていたはずの砂もほとんど残っていない、がらんどうの空間だった。

 そして、コカヴィエールとアクラのギアとは対面に配置されていたのだろうか。コカヴィエールの前方の壁面上部から天井にかけて大穴が開いている。コカヴィエールに乗ったフリンはその穴を通ってアクラを追いかけた。


 穴は牢を通り、さらに真っ直ぐ上に続く。

 フォックスハウンドの甲板に大穴を開け、外部へ抜けた。


 フリンが外に出ると、そこは砂漠の群生地で、サボテンや歯の太い植物群、大小の様々な木々が砂の大地から顔を出していた。

 中央都市ミズガルズは見えない。


 フリンから数百メートル先では、すでに二機のギアが向かいあい一触即発の状態だった。


 一機は暗い赤色をしており、高さは全高十五メートルのコカヴィエールよりも高く十八メートル程、腕や足も太く、見るからにパワータイプの機体だった。背中にはロケットの様な大きいブースターを背負っている。

 こちらはアクラの乗機スティンガーだ。フォックスハウンド内部を破壊したのは、こちらのギアだろう。


 向かい合う一機は、スティンガーとは対照的に手足の細い体躯をしている。白色を基調とした機体色に身を包んでいる。高さはコカヴィエールと同程度だが、その背中には鳥の翼のような装備がついており、広げると機体以上の大きさにもなりそうだった。左足を前に出し、左翼を盾のようにして機体前面を覆い構えている。

 ヤオフーの乗機パードレである。


 —アクラがオープン回線を開く。


 「俺はおまえたちの邪魔はしない。さっさとペンダントを返して道を開けろ」


 「また、そんな事を言って!もうすぐ、やつらの尻尾が掴めるかもしれないんだよ!いつまでも目を背けてばっかりで…それでいいのかよ!」


 「復讐がなんになる。そんな事をしてもダキニもコビも…、死んだやつらは戻って来ない。おまえたちももう馬鹿な真似はやめろ。目を覚ませ」


 「辛いのはわかるよ、私だって同じだ。でもそこにいるフリンたちも、やつらに襲われて住んでた村を追われてる。それだって、ついこの間の話だってのに、なんの噂にもなってない。これは異常だろ!

 やつらには何かあるんだ。これはただの復讐じゃない。これ以上悲しみが生まれないよう、私たちが止めなきゃいけないんだよ!」


 フリンとユニは二人の会話を黙って聞いていた。


 フリンは昨夜ユニからアクラとヤオフーの過去の話を聞いていた。二人は、そしてフォックスハウンドのクルーたちは同じ街の出身だということ。アクラはヤオフーの姉であるダキニと結婚し、コビという娘がいたこと。空飛ぶギアの兵士たちに襲われ、アクラやヤオフー達が応戦するも街が壊滅し、ダキニやコビ、街の大勢の人たちが亡くなってしまったことを。


 「どかないなら、力づくで通るまでだ」


 アクラが低い声で言い放つ。それに対してヤオフーが答える。


 「行かせられない。私たちには、あんたの力が必要なんだ」


 一瞬静寂が訪れた。空気が張り詰め振動する事を拒み、すべての音が遮断されてしまったかのように。しかしそれはすぐさま解き放たれる。


 「うおおおお!!」


 激しい雄叫びとともに、アクラの操るスティンガーのロケットのようなブースターから激しく青い炎が噴き出す。機体が急加速され、二機の距離が一気に縮まる。


 ガキンッッ!!

  ズザザッ……


 「ぐうぅっ!」


 スティンガーの急加速によって生まれた運動エネルギーをそのまますべて強烈なタックルに変えて、右肩からヤオフーの白い天使のようなギアに突っ込んだ。

 パードレはそれをかろうじて左翼を使って受け止めたものの、衝撃を吸収しきれず、そのまま後ろに吹っ飛ばされる。

 ヤオフーの苦悶の声が聞こえた。


 しかし、ヤオフーもすぐさまパードレの体勢を立て直すと、機体前方を防御していた翼を開き、前に突き出した左手から細いビームを放つ。


 このビームを、アクラの乗るスティンガーはその太い腕で弾き飛ばす。どうやらスティンガーにはビームに対する耐性があるようだ。また、あの大きな腕なら実弾に対する防御も相応にあるのだろう。


 ビームを受け止めたスティンガーがそのまま右腕をまっすぐパードレに向ける。腕に仕込まれた機関銃が激しい火花とともに大量の銃弾を放つ。


 パードレはこれを右側に飛んで回避した。その勢いのまま右へ、スティンガーから見て左側に回り込みながら、反撃のビームを放つ。


 しかし、アクラはこれを機体を後退して回避。パードレの動きにあわせて機体を旋回させる。

 一定の距離を保ちながら、二機の機体が反時計回りに旋回し互いにビームや銃弾を打ち合っていく。


 遠距離戦では決定打が出ず状況が硬直していると、痺れを切らしたヤオフーが動きを変え前方に飛び込み、上空から距離を詰めて一気に勝負を決めようとする。

 だが、これを待っていたとばかりにスティンガーはバックパックのロケットのようなブースターの上部の蓋を開き、そこから八連のミサイルを射出。

 パードレには空中で左に急旋回したが、躱しきれずミサイルの半数ほどが命中し、その場に撃ち落とされる。さらにその着地を容赦ない機関銃の嵐が襲う。


 パードレは両翼を使って防いでいるが、その場に磔にされ身動きが取れない。

 スティンガーは機関銃を撃ち続けながら前に進み、手の届く距離までたどり着くと、その翼を両腕の力で無理矢理こじ開け、コックピットのあるギアの胸部を左手で鷲掴みにした。


 「うっ、うぁぁぁあああ!!!」

 その場には最早なす術のなくなったヤオフーの悲鳴が響いた。

ご高覧いただきありがとうございました。

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