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Skies fall down  作者: 伊佐谷 希
第5章 神か悪魔か
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第5章22 バルムンク3

 フリンたちは動力室を出て、先ほど降りてきた階段の前まで戻ってきた。ジェネレーターが動き出したことにより、照明が灯り、館内はライトをすっかり明るくなっている。階段の前に着くと、ヤオフーは再びボウに頼み壁の案内表示を確認した。


 「この絵を見てください。これがバルムンクの簡単な断面図になってるんですけど、隣の区画にブリッジまで直通のエレベーターがあります。電気が通ったことで電子扉やエレベーターも稼働したはずなので、こっちから上に上がりませんか?」


 「なるほどね。そうしようか。そこらじゅうに瓦礫が散らかってるけど、兄さんがいるしなんとかなるだろう。みんな、それでいいかい?」


 ——ああ。——はい。とそれぞれに返事し、頷きを返す。ヤオフーは——良し。と言うと、一行を扇動し歩き始める。列の二番目にボウを置き道を確認しながら階段を背にし、通路を向かって右側に進んでいった。


   ◇  ◆  ◇


 「あの扉の先が第二区画ですね」


 五人の前に一つの電子扉が現れた。ボウが撮影しておいた先ほどの案内表示の写真を確認して言う。ボウが先頭に立って電子扉のロックを解除した。扉が自動で真ん中で左右に分かれてスライドして開き、向こう側に通路が現れた。——とその時、開いた扉上部の陰から長細い影がボウに向かって飛びかかった——。


 「きゃっ——」


 ——ボウは悲鳴をあげて後ろに倒れ尻餅をつく。臀部に響いた痛みも気にせず、すぐさま扉の上を見ると、そこには——。


 「ふんっ。ただの蛇だ」


 ボウが見上げた先には、分厚い筋肉の鎧に覆われた赤肌の腕があった。その先には、ボウの頭と同じぐらいの太さのある体長二メートルを超える大蛇が、首元を掴まれ、口を開き毒牙を見せ威嚇しながら、掴んだ手を振り解こうと尻尾を激しく左右に振って暴れていた。ボウの頭の上から、赤肌の腕の主の声が届く。


 「怪我はないか?」


 「はい、ありがとうございます。ちょっとお尻が痛いですけど、あとは大丈夫です」


 アクラはボウの無事を確認すると、大蛇の首を掴んだ手に力を込める。大蛇は太く長い尻尾を苦しそうに左右に振り、自身の首を締め付けるアクラの腕を絞め返そうと赤肌の腕に巻きついていったが分厚い筋肉に覆われた腕はびくともしない。やがて大蛇の身体から力が抜け息絶えたのを確認すると、アクラは通路の隅に大蛇の亡骸を投げ捨てた。その様子を横目で見ながらヤオフーが言う。


 「——この蛇は一体どこから入り込んだんだろうね」


 フリンの頭に真っ先に思い浮かんだのは、以前にフリンも落っこちたことのあるあの大穴である。蛇ならば灯りがなくても艦内を自由に移動できるのかもしれないが——。


 「——あの穴から入ってきたのかな?」


 ユニがフリンの考えたことと同じことを口にした。それに対してヤオフーは——。


 「どうだろうね。別の道があったのかもしれないけど、あたしらが開くまでこの扉を動かなかったはずだからね」


 「他にも抜け穴があるかもしれない、か……」


 フリンがヤオフーの言葉を引き取る。アクラが言った。


 「警戒はしとくべきだな。ヤオフー」


 「そうだね。あたしとフリンは前、兄さんは後ろについてくれ。ボウと嬢ちゃんはあたしらの間から出ないようにね」


 「俺も前かよっ!」


 「何のための聖痕持ちだよ。男がグズグズ文句言うな」


 ——でも、一番前はお前だからな。そう言って、フリンはヤオフーの指示に渋々従う。この陣形で歩き出す。その前に——。


 「嬢ちゃん、これを」


 ヤオフーからユニに一丁の拳銃が渡された。——撃たなくてもいい、だけど、最後は自分の身は自分で守るんだよ。と拳銃を渡す際にヤオフーはユニの手を優しく握った。ヤオフーの手が離れユニの手から柔らかな温もりが離れると、あとに残った拳銃の重みと無機質な冷感が、ユニの手から心の温かさも奪うように重くのしかかりユニは身震いした。そんなユニの横でボウはいつ取り出したのか、自身の拳銃を右手に持ち、慣れた手つきで安全装置を解除している。


 「ボウ、道案内は頼んだよ」


 「はいっ!」


 ——五人はバルムンク最下層第二区画に入っていった。

ご高覧いただきありがとうございました。

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