エピローグ☆小鳥遊結子の誕生
エピローグ☆小鳥遊結子の誕生
「結子は…?」
「産褥の疲れで寝たきりなんだ」
青い顔で直也が梨華に言った。正直、結子は危ないかもしれないと医者から言われていた。
あれから時が経ち、高村光太郎の若い頃に似た直也は、イケメンになっていた。梨華は結子を選んだ彼を恨みそうになりながら愛していた。
タイムパトロールから担当でちょくちょくやってくる男JJと一緒に梨華は、結子の産んだ子どもを引き取ろうと考えていた。
直也は刺客に狙われながらAIや時空移動に関する研究に没頭していた。何かに没頭していなければ心が折れそうだった。しかしどうせなら結子を元気づけることをやりたかった。
「直也」
「結子。起きてて大丈夫かい?梨華が来てくれたよ」
「梨華。あなたに私の娘のことを頼みたいの」
「ええ。そのつもりでいるわ」
ああ、そうか!と直也は思った。
「この子の名前は小鳥遊結子」
「えっ?」
そして、この子は未来から直也を守りに過去へ跳ぶのか…。
直也はすべてを愛おしく思った。
ここで一連のループが成立した。
「結子。僕たちいつまでも一緒だよ」
結子は直也の言わんとするところを察してうなづいた。
「結子は確かにあたしたちが預かった。また逢おう」
梨華が大事そうに幼子を抱えて立ち去った。
誰も邪魔が入らない病室で、直也は結子をいたわりながら、何度も髪をなでてキスをした。
2人は幸せだった。