再現度の低い夢
俺、寺原賢治という人間は普通である。学力や運動能力、顔立ちまで平均的であると言える。だが、俺は普通が嫌いじゃない。むしろ自分で自分が好きだと言える程度には普通が好きだ。しかし俺も人間であるため、普通以外に対する憧れはあるもので、例えばテストで学年1位をとる人やスポーツの全国大会で活躍する人など、普通以上の何かを持っている人には昔から憧れてきたのだ。だからこそ、1度見た普通以上の人は忘れるはずがない。今までにこの転校生のような可憐な人に会った事があるのであれば覚えているはずなのだ。しかし、どこがで会った事があるはずなのにこの転校生はどこで会ったのか思い出せない。
そんな事を考えていた俺は
「私は後藤莉奈です。あなたは?」
転校生...もとい後藤莉奈が発したこんな簡単な質問に対して「え、あ、えーと、寺原賢治です。」
などというようにに挙動不審になりながら答えてしまい
「寺原君ね。よろしく!」
「あー...うん。よろしく」
などと微妙な反応をしてしまうのであった。
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「なあ賢治。さっきはどうかしたのか?」
挙動不審になりながらの応答が終わった後、時間がやばいことに気づき、急いで教室に戻って席についたところで彰人が聞いてくる。
「なんでもねえよ。」
「ほんとかねぇ...まさか後藤さんに一目惚れかな?」
「なわけあるか!」
そんな話をしているとチャイムが鳴り1時間目が始まる。その日授業は全く頭に入ってこなかった。あの転校生を見た時の感情についてずっと考えていたのだ。気づいたら4時間目が終わり昼休みが来る。適当に彰人と話し、午後の授業も気づいたら終わっていた。
家に帰るとすでに5時半を過ぎていて、帰ってそのままベットに倒れ込む。
あの初めてあった気がしない感じはなんだったのか。
「まあ俺の気のせいか...」
そう呟いた俺は眠気に見舞われそのまま意識を手放した。
ーーーーーーて。
ーーーーーーーーーーーーきて!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーきろ!
「起きろ!」
...俺寝てたのか。ていうか...
「うるさいな!夕飯の時間?もうちょい静かに起こしてくれてもいいんじゃないの!?」
「何言ってんの?寝ぼけてんの?今は朝だよ。」
「...は?」
俺は目の前にある状況を理解出来ず、しばらく黙り込む。
そして1つの結論に至る。
「夢か...」
「ねえほんとに大丈夫?頭打った?」
「あーうん。大丈夫」
「そう?ならいいけど」
「ところで...君は誰?てかここどこ?」
そう言った俺を驚愕の目で見つめるその女の子。
「何言ってんの?冗談にしたってタチが悪いよ?」
「いやいや大真面目だよ。てかめっちゃ初対面なのになんでなんで俺の事知ってんのさ。」
「...もしかしてほんとに言ってる?」
「ほんとだって」
「うそ...なんで...じゃあ君も...」
「で?君は誰でここは何処なのよ」
「あ...私は入谷美羽よ。ここはあなたの家。」
「え?いや俺の家なの?再現度低い夢だなこりゃ。あ、ちなみに俺は寺原賢治という者です。」
「寺原賢治...てことは君は私の逆なの?」
「逆って?どゆこと?」
「いい?よく聞いて」
「私はこの世界とあなたの言うリアルの世界。そのそれぞれの世界で別の人間として生きているの。」
「...は?」
何言ってんのこの人。厨二病?怖いよこの人...
「そしてあなたは私の逆。」
「逆?」
「私にとってリアルはこの世界。あなたにとってリアルはあっちの世界。つまりあなたは私と逆の立場でリアルと夢の2つの世界に生きているの。」
再現度低いくせに設定はすごい夢だな
「あー...なるほどね。じゃあ俺はこの世界ではなんて言う人間なのよ。」
「伊山...伊山十夜よ。」
「いやまじゅんや...俺の名前ぐらい現実と一緒でいいじゃん...てか君は?君にとっての夢の世界だと君はなんて名前なの?」
「後藤莉奈...で分かる?」
「...は?あーあれか。今日1日ずっと考えていたてたからついには夢にまで出てきたのか。」
「信じてくれなくてもいいけどいずれわかる事だから。よろしくね。」
「ああよろしく。」
正直この時は俺も厨二病だなとか考えていた。この夢の世界が俺に大きな影響を与えていくなんて分かるはずもなかった。




