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女勇者が可愛すぎて、それだけで世界を救える気がしてきた。  作者: 偽モスコ先生
王都ミツメ編 後編 恋する乙女と炎の竜
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アッチノ山への道中にて

タイトルちょこちょこいじってご迷惑をおかけしますm(__)m

これからもタイトルやタグはいじると思いますので、あのタイトル気に入ってたのに!などありましたらお手数ですが感想欄や活動報告までお願いしますm(__)m

 ミツメを出て草原地帯を歩いていく。

 とはいってもアッチノ山方面は樹々が点在していて背の高い草花も多い。

 だからだろうか。さっきからあちこちでガサガサいってんだけど。


 …………。「レーダー」を発動するも近くにモンスターは少ない。


「おいエリス、近くに人の気配がしないか?」


 ガサガサッ。


「え? どこに?」


 ガサガサッガサガサッ。

 エリスが肩の上で動くタイミングに合わせて葉擦れの音が鳴る。

 こりゃあれだな、兵士たちがついてきてるんだろうな。


「いや悪い気のせいだった」

「ちょっとしっかりしてよね」


 まあいいや、エリスが気付くまでは黙っておいてやろう。

 よくよく考えてみれば偉いやつが外を出歩くってのによく知らんやつ一人の護衛だけで野放しにするわけないわな。


 エリスは人気者みたいだし、あいつらなりに心配なんだろう。

 それにしても。勇者選定参加者があらかた倒した後だからか、街道沿いにモンスターはほとんどいない。

 

 残ってるモンスターもこっそりついてきている兵士たちが倒すだろうし、アッチノ山までは戦闘にならずに済みそうだ。


 のんびりと街道を歩きながら、何となく話題を振った。

 ……つもりだった。


「そういやお前の母ちゃんって普段何してんだ? さっきは見なかったけど」

「……いないわ」

「え?」

「今から三年前に病気で死んじゃったの」


 エリスはいつもとは違う平坦な声音でそう告げる。

 やっちまったやつだな、これ。

 天界の連中にもうちょっとエリスの事を詳しく聞いておけばよかった。


「悪い」

「別に。もう何とも思ってないから」


 そんなの、すぐに嘘だってわかる。

 というか今の話を聞いてうっすらと色んなものが繋がってきた。

 

 こいつが時折聞かせる寂しそうな声音とか。

 子供扱いされるのを嫌うくせに、食料品店のおばちゃんに頭を撫でられるとされるがままだったこととか。


 もう少し知りたいけど、これ以上深く聞いていい話でもないだろうと思っていると、エリスの方から喋ってくれた。


「お母さんが死んで、お父さんは前よりもずっと私を可愛がってくれるようになったわ。お願いごとは何でも聞いてくれるし、何をするにしても護衛をつけようとするようになった」


 まあ言い方はあれだけど、要は過保護になったってことか。

 こいつがやりたい放題なのも親父のおかげってわけだな。


「あんたも見てわかったと思うけど、お父さんだけじゃなくて周りの兵士なんかもそんな感じになっちゃったのよね」

「そうだったのか……」


 つまり今、エリスの周りはアホばっかりだと。

 このちびっこが妙に賢くてしっかりしてるのもそのせいなのかもしれない。

 国の先行きが不安になる話だな。


「街の人たちもみんな優しくしてくれるしそれが嫌ってわけじゃないんだけど。なんていうか、その……」

「要するに寂しいんだろ?」

「うっさいばか!」

「何でそこで怒るんだよ……だから頭を叩くな」


 うまく説明出来ないけど、多分エリスは「王女エリス様」じゃなくて「ちびっこエリスちゃん」として扱って欲しいんだろう。

 背伸びをしたい年頃。だけど歳相応にも扱われたい、ってところか。


 でも逆にこいつも子供なんだってよくわかって安心できた。

 へっ、しょうがねえな。今度からはもっと遊びに行ってやろう。


「だったらさ、俺が友達になってやるよ」

「は? あんたは家来でしょ」

「…………」


 この生意気なところがもうちょっとどうにかなればな。

 でもいつもの調子が戻ってきたみたいでよかった。


 それから少し歩いて次第にアッチノ山も見えてきた時だった。


「休憩しましょう」

「俺別に疲れてねえんだけど」

「私が疲れたのよ」

「お前ずっと肩車してやってたから歩いてねえだろうが」

「いいから早く降ろしなさい!」

「へいへい」


 肩から降ろしてやると、エリスは近くの木陰に座り込んだ。

 そしておやつを取り出すとぱくぱくと食べ始める。

 一つため息をついてからその横に腰かけた。


「全く、こんなとこでゆっくりしてる場合じゃねえのによ」

「なにあんたそんなに勇者になりたいの? 焦らなくたってドラグーンマラカイトなんて早々見付からないわよ」

「ちげえよ、勇者になりたいのは俺の仲間だ」


 そこでエリスは顔を上げた。どうやら興味があるらしい。


「この前言ってたティナって女? どっち?」

「どっちって?」

「さっきあんたと一緒にいた女のどっちかでしょ」

「可愛い方だよ」

「それじゃわかんない」

「髪の黒い方」

「ふ~ん。あんたああいうのが好きなんだ?」

「ばっ……おまっ、何でそういう話になるんだよ」

「だってこの前結婚したいとか言ってたじゃない」

「おまっ、やめろよばかやろぉ! 誰かに聞かれたらどうすんだよほんとにもぉ!」

「いちいち一人で興奮するのやめなさいよ」


 呆れた顔でおやつを食べ続けるエリス。

 最近のちびっこってのはみんなこんなに恋バナ好きなんだろうか。

 それとも俺が小さい頃に興味が無さ過ぎただけか。


 しばらくは無言でエリスがおやつを食べ終わるのを待った。

 

 木陰は穏やかで暖かい空気に包まれていて、気を抜くと眠ってしまいそうだ。

 そうならならいように色々と考えていると、ふとエアに勇者選定について聞いた時のことを思い出した。

 話題の一環としてちょいと聞いてみよう。


「なあ一つ思ったんだけどよ。勇者選定なんてしなくても伝説の武器を持ってるやつを探せばいいんじゃないのか?」

「伝説の武器? 『光輝く剣』のこと?」


 「光輝く剣」、確かにエアもそんなことを言っていた。

 人間は「ゆうしゃのつるぎ」を伝説の武器「光輝く剣」と勘違いしていると。

 とりあえず話を合わせておくのがいいか。


「あ、ああそうそう。それを持ってるやつを探せばいいじゃん」

「何言ってんの、エルフたちが守ってるんだから持ってるやつがいたらとっくに騒ぎになってるわよ」


 エルフたちが守ってるってのは初耳だな。

 多分だけどこれはアレだ。天界では常識だけど俺が知らないだけってやつ。

 ボロが出そうだし、今はこの話題に触れない方がいいか。


「ほ~んそうだったのか」

「あんた本当に変わってるわよね。ステータス高いっぽいのに常識とか誰でも知ってるようなことを知らなかったりするし」

「うっ、まあいいじゃねえか」


 おやつを食べ終わったエリスが立ち上がる。

 そして俺を見ながら勝ち誇ったような表情で言った。


「ふふ、まあ深くは聞かないでおいてあげるわ。だから私があんたの弱みを握ってるってこと、忘れないでよね」

「わかったから、誰にも喋らないでくれよ」

「ちゃんと私の言うことを聞いてればね。ほら行くわよ」

「へいへい」


 肩に乗って来たエリスの足を抑えながら立ち上がった。




 また少し歩いてようやくアッチノ山の麓に到着。


「さすがにもうこの辺に冒険者はいねえな」

「早いパーティーだと山頂付近にいるかもね。まあ、鉱石は山頂にあるとは限らないから関係ないわよ」

「だな」


 そしてアッチノ山を登り始めようとすると、冒険者パーティーと思われる集団が下りてきた。


「おいおいもう帰ろうとしてるやつがいるぜ。やる気ねえな」

「ちょっとジン、話を聞いてみてよ」

「自分で聞けばいいだろ、人気者なんだし。それかお前、まさかの人見知りか」

「あんたの秘密をばらされたいの?」

「ちっ、わかったよ」


 俺たちの目の前までやって来た冒険者パーティーに声をかけてみる。


「おいあんたら、もう帰るのか?」

「ほあああぁぁぁぁー! エリス様だ!」

「うおっ」


 こいつらもかよ。またちょっとびびっちまったじゃねえか。


「きゃー! 可愛い!」

「握手してください!」


 女性冒険者二人にそう言われて、エリスは俺の肩の上から握手に応じている。

 人見知りが発動しているせいかずっと無言だ。

 その間、最初に雄叫びをあげた男性冒険者が俺に話しかけてきた。


「あんたエリス様を肩車させていただいているのか。羨ましいなあ」

「何だよさせていただいているって、それよりあんたらもう帰るのか?」

「ああ。頂上付近で竜が飛び回ってるのを見たやつがいるらしくてな、みんな早々にドラグーンマラカイトを諦めて引き上げてるぜ」

「何だって!?」

「俺たちゃ金目当てだったし命の危険を冒してまでやる気はねえから、さっさと帰ろうってわけだ。あんたも気を付けろよ、エリス様もいらっしゃるんだからな」


 話を終えると、冒険者は「じゃあな」と俺に言ってから去っていく。

 女性冒険者二人はずっとこちらを振り返りながらエリスに手を振っていた。


 「イベントモンスター」はそう簡単には姿を現さないはず。

 もちろん生きてるわけだから現すことは現すが……何か嫌な予感がするな。

 出来ることならティナたちとさっさと合流したい。


「よし、エリス先を急ぐぞ」

「急ぐのはあんただけどね」


 俺は早足でアッチノ山の山道を登り始めた。

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