プロローグ2
「ん…ってて……は?森?」
気づくと俺は森にいた。
ガタガタとした森の中の未舗装路に、停車していた。
一瞬、トンネルをぬけて山に突っ込んだのかとも思ったが、流石にそれは無いだろう。
エンジンはかかったままで、運転席から見える範囲では車が壊れている様子もない。
制御不能に陥った際、宙を待っていたスマホや箱ティッシュも、いつもの位置、助手席の座面に静かに鎮座している。
とりあえず車を降りてぐるっと1周する。
エンジンがかからなくなるのが怖いので、そのまま降りた。
車には目立った外傷がないどころか、昨日の雨による泥はね汚れさえ綺麗になっていた。
トランクの中身も、スマホや箱ティッシュと同じく、入れた当初の位置からずれてもいない。
車を買った時に、嬉しくなって買い込んだカー用品が沢山入っているが、その一つ一つが、あのスピンを経ても全く崩れていなかった。
と、前方から青黒い肌をした、人間の子供のような姿の何かが、ギャーギャーと騒ぎながら近づいてきた。
怖くなって急いで運転席に戻る。
かけっぱなしになっていたアニソンが、ちょうど異世界転生ものの主題歌になったところだった。