プロローグ
新作始めました。
人々が踏み込むことの出来ない秘境に、一人の少女と一匹の犬が住んでいた。
「くぅーん。くぅーん。」
犬の可愛らしい鳴き声が、主人である一人の少女を呼んだ。
「どうしたのじゃ?何かお気に入りの物でも見つけたのか?」
一人の少女は、その犬に引き寄せられるように、犬が待つ方向に向かって歩き出した。
少女は、美味しそうな物を見つけたのだろうと、軽い気持ちで向かっていたが、その先の光景に目を疑った。自身の愛犬の足元に寝転がっていたのが、この場所に来ることすら叶わない人間であったからだ。少女は、大変驚いた。人が踏み込ぬことすら出来ない秘境なのにも関わらず、この場所に現れたのが、まだ13歳くらいの少年であったからだ。少女は、この場所に人が一人もいないことは知っているし、この場所の人が現れたことも、犬のおかげで分かった。
「この場所にまだこんな若者が来るとゎ......考えられるとしたら、転移か?この場所に転移させられるとは、不便でならんのう。我の寿命が尽きるまで後僅かというところ。これもわしの運命なのかもしれないのう。ならば、いっそのこと育ててみるか......お主はどう思う?」
少女は、少年を舐める自身の愛犬に問いかけると、肯定の意思が返ってきたので、少年を背負うと、自身の家に向かって歩き始めた。少女は、魔法を使い少年を持ち上げると、犬と一緒に自身の家に向かって歩き始めた。
「それにしても、こんな場所で人族が1人でいるとはのう......ほう!紋章がないとな。なるほど、これがこの場所にきた原因か!相も変わらず、人族がやることはよくわからんのう......いや、それはわしらも同じなのかもしれないのう。どう思う?創造神よ。」
少女の呟きは、誰もいない森の中に、静かに消えていった。
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