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極東のメイガス  作者:
序章 『芦屋楓』
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序章 『芦屋楓 ③』

 翌朝。いつも通りに起床し、いつも通りに支度を整え、いつも通りに登校して、いつも通りに────。


「なに、これ────!?」


 校門を跨いだ瞬間、あまりにも強烈過ぎる違和感に、その場で吐きそうになる。

 あり得ないことが起こっていた。芦屋楓の日常の一部であるはずの学び舎は、僅か一日、正確にはたったの一晩で完全な異界と化している。結界の類いではない。これは単純に、普段『掃除』している『悪いモノ』が異常に溜まって、詰まって、溢れかけているだけの話。しかしそれこそが異常。こうなる前に自分が気がつかない筈はない。故に、答えにたどり着くのは容易だった。


「わたしいがいの、メイガスが、いる……!?」


 『コレ』は、人の仕業。自分以外のメイガスの可能性。あってはならない異常事態。通常、現代社会におけるメイガスはその正体も、家系の魔術や奇跡も、全てを隠して生涯を終える。わざわざ『自分は異端者です』などと触れ回る異端者がどこにいる。人知れず異端の研究や仕事に没頭し、生涯を捧げ、目指した奇跡に到達したくてメイガスを継ぐというのが普通のメイガスだ。

 それは自分────芦屋楓も例外ではない。母から受け継いだ芦屋の家と名前を守ること。それがメイガスとしての自分の到達点だ。しかし、これは、この相手には。


「……無いんだ、きっと。コレをやった奴は、真っ当なメイガスじゃないんだ」


 たまたまメイガスになったのか、それとも別の理由か。ともかく、いずれ一般人にすら害が出ると理解してやったとすれば、そいつはもうメイガスどころか真っ当な人間ですらない。人の皮を被った怪物だ。世間に自身の素性や正体が露見しても構わない────というより、自分の力の誇示でもしたいのだろうか。いずれにせよやり方は三流以下のソレだ。手加減は必要あるまい。帰ったら即刻準備を整え、さっさと片付けて終わりにしてやろう。犯人には今日一日この不快感に晒される分も含めてお礼参りしてやると決め、教室へ向かうことにした。

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