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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Remember while sleeping

私は普通に小・中・高校と卒業をへて、

大学も自分の身の丈にあった至って普通の大学にきっと入学し、

このテスト勉強も社会に出た頃には覚えていないだろうと思いながらとりあえず机に向かい筆を走らせる。

同じ英単語をとりあえず十数回声に出しながらノートを埋めてゆく、


ぼうと考えてしまう。

この英単語を今度いつ使うだろうか、

家族を連れて海外旅行に行った時?

外国人が話し掛けてきたときに野菜のスペルが生かせるのか?

私は筆を止めると右手の甲をおでこに当て背中を逸らした。


窓の外を覗けば夕日は落ちて星が辺りを覆っている。

カシオペア、オリオン、、、、

自分の知識の少なさと頭に入り込まない英単語のスペルになかば限界のようなものを感じ、非力さと無能さを感じていた。


きっと星の戦士のような後世に覚えられるような偉人にはなれないんだろうな、


自然と小さく言葉が漏れる。

どうやら相当勉強していたのだろう、身体が休憩を欲している。

私はまどろみに促されるまま、

落ちるように眠っていた。


覚醒したのか意識がだんだんと固くなってゆくのがわかる。

まだ瞳は開かない、だが身体が動かない気がする。

いや、本当に動かない。

指は動くがロープのようなもので固定されている気がする。

瞳は開いたが、どこだろうかカプセルのようなものに閉じ込められているようだ。拘束もされている。


私はわけがわからなくなりとにかく身体を大きく揺さぶり大声を出す。

そこで気がついた。口にはギャグボールのようなものを噛まされ声にならない声を出す。


んー!んー!


これは明らかに拉致監禁だ。

息を荒げ、塞がらない口からヨダレが垂れる。

恐怖と私はなにかの事件に巻きこまれたのかもしれないと感じた。

しかし身代金なんてうちの親が払うなんていっても裕福でもなければ恨みを買っている覚えもない。


数分後、カプセルに光が入る、いやきっと透明になったのだ。

そこには白衣の男ふたりが正面に現れた。

メガネとマスクでよくわからないが驚いた表情をしているようだ。

ふたりは話しながら向かい合い片方の男が指でOKサインを出すと、カプセルはゆっくり開いた。

カプセルには湯気が入り込み少し暖かい。

私はゆっくり身体を起こそうとするととにかく身体が重い。

白衣の男達から拘束具を外され身体を起こされればまるでミイラのように身体はやせ細っていた。


「君はなぜ覚せいできた?」


男はマジマジとこちらを覗きながら問いかけてきた。


私は真っ白なベッドに横たわりながら男達の話を聞いていた。


今は西暦で2656年。

ここは国の機関で、そのうちの一つ。

ここでは人口爆発で膨れ上がった人々の中から、

未来に希望のない若者を選出し、コールドスリープし、

もし人口が減った時の為に使ったり、

脳移植の為に使ったりと冷凍保存のご飯よろしく貯蔵していたのだという。

男ふたりはだいぶ暇だったのだろう、私の質問に面白おかしく話を返してくるが全然内容が頭に入ってこない。

私の生まれた頃から国家は自殺や病気に見せかけ若者をランダムに拉致していた。およそ当時の死亡者の半分はそれに当たるそうだ。


もちろん警察も入れば家族もわからない。

当時の私は戸籍上急性肺炎、病死となったらしい。


もちろん男ふたりはペラペラ喋るが国の最重要機密であり、

これは現在進行形で行われている。

私は使われること無く期限が近まり処分される直前だったのだそうだが、このタイミングで覚醒したのは前例が無く初めてだったらしい。


私の右手の中指が地面に落ちた。


うわあああああああああああああああ!


私は驚き大声をだした。男達は私のリアクションに指を指して笑っているが、私の右手の指はゆっくり一本ずつ取れてゆく。

血はしっかり閉めてない蛇口のようにチョロチョロと取れた指から漏れ、だが取れた感覚はあっても痛覚は全くもって感じない。

途端に視界がごろっと変わった。

即座に首がもげたのだとわかった。


外が見えた。夜だ。

あれはおそらく・・・オリオン座だ。


ベテルギウス


640光年先に存在するその星は勇者オリオンの右肩に位置し、赤く光る恒星だが、無くなっていた。

もうすぐ消えるか、既に消えているかもしれない天体だが

640年の未来を経て消えていた。

やはり私は未来に来ていた。


きっとニ度と起きることない身体を小さな野心が起こしてくれたのだろう。私は叫んだ。


「この自称を文献に残せ!山田大次郎は起きたのだ!」


声が出ていたかわからない、

耳もくたばっていれば喉がベロが息があったかもわからないが、

私は小さく文献の隅に残った。と思いたい。


お読み頂きありがとうございます。

たくさんの人の笑顔をショッピングモールから眺めながら書いた作品です。

自分の根性のひねくれ方がうかがえる作品となりました。

酷評でも付けていただければ嬉しいです。

罵ってください(冗談)

よろしくお願いしますm(_ _)m

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