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それからというもの、おばあさんは毎日、フジを眺め続けました。ペットショップのおじさんの言う通りにはならず、フジは手にも乗らなければ話そうともしません。それでもおばあさんは、フジの世話を続けました。
自分はあいもかわらず、食事をとったりとらなかったり、眠ったり眠らなかったりと、不健康な生活を続けていました。
フジが少しずつ弱ってきていることに気付いたのは、夏も終わるころでした。フジは食べる量が少なく、あまり眠りません。
おばあさんは、だんだんと心配になってきました。
――もしかしたら、さみしいのかもしれない。一羽だけで、かなしいのかもしれない。
おばあさんは毎日まいにち、一人ぼっちでフジの様子を眺め続けました。
けれども、フジは元気になりそうにもありません。
やっぱりさみしいのだろうか。いや、大変な病気だったらどうしよう。お金はあまり持っていないし……。
おばあさんががっくりとうつむくと、フジも一緒にうつむきました。