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家に帰ったおばあさんは、ちゃぶ台の上にゴトリと鳥かごを置きました。水色のインコは緊張しているのか、ちっとも動きません。
……人形みたいなインコだね。
おばあさんはそう思いながらも、インコの黒い目をじっと見つめます。インコの羽は、白色と黒色。お腹は、上の方が白く、下の方は水色になっていました。
――白色に水色か。富士山そっくりだよ。
何も知らないインコは、首をかしげます。おばあさんは、うなずきました。
そうして、おばあさんはインコに『フジ』という名前を付けました。
おばあさんは鳥かごの中にエサと水を置くと、しばらくフジを観察しました。しかし、フジはご飯を食べようとしません。水を飲もうともしません。ただただ、じっとしているのです。
緊張してるのかね。
観察に飽きてきたおばあさんは、そのまま眠ってしまいました。