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翌朝、おばあさんはベッドの上で力なく、窓の外を見つめていました。外は雲一つない青空が広がっていて、柔らかな日差しが、おばあさんのベッドを照らしていました。開けっ広げた窓からは、ふんわりとした春の風が入りこんできます。
今日こそは、フジを迎えに行けないだろうか。
歩けそうにもないおばあさんがそう思っていると、青い空に、小さな点が見えました。
点は徐々に、おばあさんへと近づいてきます。
「え……?」
おばあさんはじっと目を凝らし、やがて見開きました。
空に浮かぶ、小さな小さな点。
それは紛れもなく、フジでした。




