キミが居なくなった日
桜の花びらが散る中、僕は一人青い空を見上げていた
キミが居なくなった日の事を…思い出していた
|「あゆ!クッキー食べる?」|「うん、食べる…」
キミはいつも美味しそうに食べる その姿を見るだけで僕は幸せだった
そんな小さな幸せだけで良かったのに それだけで良かったのに
下校時間、僕はキミを迎えに行った。
|「あゆー?帰ろう?」|「うん」いつも通りの会話
いつも通りの夕焼け いつも通りのキミ
全てがいつも通りで これから起きる事なんて全く考えてなかった…-。
|「光永千紘君…だね?ちょっくら死んでもらおうか」
そこには複数の不良グループが 僕が何をしたっていうんだ
|「ちーちゃん…」不安そうに見つめてくるキミ キミにそんな顔なんて似合わない
|「大丈夫だよ、あゆ…ちょっと下がっててね」
|「なーに、ごちゃごちゃいってんだ!お前らやっちまえ!」
暴力は嫌いだ だけど今回はしょうがない 複数いるんだからさ
僕は不安そうなキミを横目に、不良グループの中へ飛び込んだ。
|「ちーちゃん!!」全身が痛い キミの顔が良く視えない
ただ震えてるのが分かる ごめんね
泣かせたくなかった 守ってあげられなくてごめんね
|「もう終わりかー?ちっ、つまんねぇぜ・・・行くぜお前らー!」
そう言って不良グループは闇の中へ消えたと同時に、僕の目の前が真っ暗になった…
|「ちーちゃん!」目を開けた時キミの顔が真っ先に飛び込んできた。
|「あゆ…ごめんね…」謝った瞬間キミは僕に飛びついて来た
|「ちーちゃんが…っ、無事ならそれでいい…っ!」
キミの香り キミの優しさ キミの暖かさ 今でも覚えてる
|「ちーちゃん、帰ろー」|「お、珍しいね?あゆが先に来るなんて」
|「ちーちゃんに早く…逢いたかったから」|「ははっ、それは嬉しいね」
いつも通りの会話なんだけど 僕は恐れてた
また昨日の出来事が起こるんじゃないかと
|「ようよーう、また会ったなー?」
出た、予想的中…嫌な予感が僕にまとわりついてた。
|「ちーちゃん…」キミも昨日の事を覚えているらしい 震えてる
ごめんね 今度こそ守るから
|「俺らとまた遊ばないー?」|「遊んでやるよ餓鬼が」
|「残念だけど…お断りするよ」そう言ってまた飛び込もうとした瞬間…-。
|「ちーちゃは…僕が守る…!」|「…ッあゆ!?」気付いたらキミが飛び込んでた
目の前に真っ赤な赤い血が視えた 一瞬何が起こったのか分からなかった
目のすぐそこで倒れるキミ 慌てて逃げる不良たち 何が起こったの?
|「あ、あゆ…!!?」僕は急いでキミに駆け寄った 抱えあげると
どろっとした感触に触れた これはまぎれもないキミの血…。
|「ちーちゃんを…守れたよ…」そう言って笑うキミ 違う 守れてない
|「あゆ!!死なないで!!」|「ちーちゃん…ごめん、もう無理…」
キミの力がすっと抜けた どんどん冷たくなっていく 嫌だ 死なないで 死なないで
|「ああああああああああああああああ!!!!!!」
キミが居なくなるなんて 考えてなかった 僕を置いていかないで
今僕の心にあるもの ただ一つ それは「復讐」ただそれだけだった
|「おー?なんだ、やられにきたのか?」
|「あゆを…よくも…許さない!!」涙で視界が良くみえなかった
|「お前達があゆを…殺した!あそこであゆを刺さなかったら今もあゆと…!!あゆを返して!!」
無我夢中で相手に向かって行った 意識がはっきりした時は不良たちが倒れてた
復讐したって こいつらを殺したってキミは帰ってくるわけじゃない
|「…誰かあゆを…返してよ…っ!」僕はその場に泣き崩れ泣いていた
|「やなこと…思い出しちゃった…あゆ…」
キミは戻って来ない もうキミに触れられない
笑顔を見れない 美味しそうに食べる姿を見れない
逢いたい 逢えればそれで良い 逢いたい 今すぐに 逢いたいよ キミに
|「あゆ…今行くよ…待っててね」
花吹雪…-。
桜の花びらが一斉に散る瞬間
その花吹雪は、まるで終わりを告げたように散っていった…-。