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チョコレートの溶かし方  作者: 桜木 るか
〜バレンタイン編〜
2/24

幼なじみの好きな人

帰り道、早速スーパーに寄ってチョコレートと生クリームを購入。

ちょっと悩んで、いちごも買ってみました。溶かして、つけたら美味しいと思うの。

チョコレートフォンデュってやつ?流行りのアレです。自分のおやつにやってみます!

買い物を終えて、家に向かいます。おやつ、おやつっ♪


「よぉ、まなじゃん」


うわぁ。タイミングの悪い。こんなとこで!


「しょーた!もう部活終わったの?」


「もうって・・・5時だけど。今日は昼からだったからさ」


「そっかー」


翔太は陸上部です。焼けてて背が高くて、走るのが凄く速い。

幼なじみながら、凄いヤツなのです。ちょっと尊敬。


「まなこそ何してんの、こんな時間に」


聞くな!

内心苦笑い。ここはなんとか回避せねば。


「か、買い物だよっ!!」


「チョコ?何か作るの?」


気が付くなばかぁぁあ!

翔太は袋を覗くようにしてニヤリと笑っています。白い歯が眩しい・・・って、いけない、いけない。なんとかごまかさなくちゃっ。


「あたしのおやつだもん。お腹すいちゃって」


「ふーん。バレンタインになんか作るのかと思った」


「あたしが料理能力皆無なの知ってるクセにぃ」


ぷくりと頬を膨らませてやります。

小学校の時に遠足で作った卵焼きをまずいと言われたこと、忘れてないんだぞぉ。


「そうだったなあ」


翔太はけらけらと笑いました。爽やかなのには救われます。ここで意地悪だったら泣いてたかも。



「そういえば、しょーたは毎年沢山もらってるよねぇ」


「運動部なんてみんなそんなものだって」


なんだと、このモテ男め~・・・。でも、翔太に彼女がいたことはないんです。告白されてるの何回かみたことあるんだけど、部活に集中したいからって全部断ってるみたい。


「好きなコからも貰えるんじゃないの?好きな人、いる?」


ちょっと探ってみよっと。一応、幼なじみだもん。気になるし。


「好きなコはいるよ。けど貰えたことないんだよね」


いるんだ、好きな人。

聞いておいて、わたしはすこし恥ずかしくなってしまいました。

翔太が好きな人。誰だろう?


「その人付き合ってる人でもいるの?」


「いないと思う。見たことないから、そういうとこ。バレンタインも女子以外に渡してるの見たことないからな」


そうなんだ?知ってるってことは・・・


「ずっと見張ってるの?ストーカー?」


翔太は苦笑いして頭をかいている。これは彼が恥ずかしがっているときにする仕種。

長年一緒にいると、そういうことがわかってくるんだなあ。えへん。


「だって気になるじゃん?好きなコが好きな人。いるのに告白したら恥ずかしいヤツだしさぁ」



まぁ、そうだよね。


「しないの?告白」


「しないつもり。今したら遠距離になるからな」


「そっか」


翔太は春に引っ越してしまう。もし想いが叶ったとしても、会えなくなっちゃうもんね。

それはきっと辛いはず。


「だから今年はチョコ欲しいな~」


「いっぱいもらえるんだからいいじゃない」


「沢山あっても、好きなコじゃなきゃ嬉しくないし。好きなコからならなんでもいい。一口でも嬉しいって」


好きな人からじゃなきゃ嬉しくない、か。そっか。

じゃあ、わたしの『お礼』は迷惑なのかな。


「作るのも大変だけど、貰う方もいろいろあるんだねぇ」


「まぁな。まなも今年こそは頑張れよー」


「う、うるさいなあっ?今年こそちゃんと・・・」


「去年、友達にソフトボールチョコ渡してたろ」


きゃー?!


「なんで知ってるのよっ!」


「幼なじみだもんよー」


翔太、にやにや笑いです。うぅ・・・。

チョコレート作るのやっぱりやめようかなぁ。

最後に笑われるのは嫌だよ・・・。


「じゃ、またなー」


いつの間にか家に着いて、翔太は向かいのドアへ消えてしまいました。


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