《何か》
今ある気持ちは、きっと……
ねぇ、慣れたからかな?
泣くことが無くなった。
むしろ、慣れてしまった所為かな?
本当に、泣くことが無くなった。
だから勘違いして、もう一度、接触してみた。
自分から、触れてみた。
触れてみた『それ』は、大きな『傷』で。
まだ、治っていなくって。
触れた事で逆に傷ついて、更に悪化してしまったようだった。
『傷』が痛むから、私は平常心を保つのに精一杯で。
考える余裕、なんて無くて。
《素直になったらどうなんだ?》
なんて事を言われたって、どうすることも出来ない。
――『素直』って、何?どうする事が『素直』なの?!どうする事が『素直』じゃないのっ?!――
『傷』を、悪化させるだけ悪化させ、私は逃げた。
『傷』が、本当に小さくなってきたころ。今度は、向こうから接触してきた。
《何か》が無に還りかけ、その心は、どこか殺風景で、静かに変わりかけていた。
嘘だと、無駄だと、わかっているはずなのに。
何故かケースには無くなった筈の《何か》、それの欠片がちらついて。
どこか、賑やかそうで。
《何か》って、何なんだろう?
何故、こんな風に思うのだろう。
それが何のか、よくわからなくなってしまったけど、何故か心が温かい。
ほんの一瞬だけだけど、とても懐かしい感じがする。
今、頬を伝うものは、温かい。
今、この気持ちにさせる《何か》も、きっと温かい。
温かく、素敵な《何か》をくれた貴男へ、ありがとう。
今は違えど、それを支えてくれた貴女へ、ありがとう。




