追放された悪役令嬢、ダンジョン最深部で高級リゾートをオープンしました。
「シャーロット・ローゼンベルク! 貴様のような嫉妬深く醜悪な令嬢との婚約など、今日限りで破棄させてもらう!」
王立学園の華やかで煌びやかな卒業パーティーの会場に、怒声が響いた。呼ばれたのは、筆頭公爵家・ローゼンベルクの令嬢であるシャーロットの名前だ。
声を張り上げたのは、このグランドール王国の第一王子、エドワード・グランドール。その傍らには、可憐かつ儚げに震えるピンクブロンドの髪の少女――『光の聖女』と持て囃されている男爵令嬢、マリア・ネルソンが寄り添っている。
豪奢な夜会ドレスに身を包んだシャーロットは、手にしていたシャンパングラスを静かに傾けながら、心の中で大きなため息をつく。
(あぁ、遂に始まってしまったのね。めんどくさ)
内心で煩わしさを炸裂させながら、表面上は、貴族令嬢の嗜みである微笑を崩さない。乱暴な言い方だが、貴族とは外面を取り繕う上手さが求められるのだ。
あの二人が何かと接点を持っているのは、シャーロットも知っていた。だが彼女とエドワードの婚約は、王家と公爵家で結ばれたもの。むしろ王家から強引に成された婚約だ。公爵と言えども王家の命に逆らうことはできない。その内容に少なからず正当性があるのならば、当人の感情でどうこうできるものではない。シャーロットは貴族としてこの婚約を受け入れ、承知している。
だからこそ、個人として王子に好意を持っておらずとも、表面上は婚約者らしく振る舞っていた。未来の王妃なら故国に尽くすべき、という言葉にも、内心はどうあれ従ってきた。課せられたのがとんでもないハードワークだったとしても。
だというのに。エドワード王子は感情任せの言動を繰り返す。都合のいいことしか見ようとしない婚約者に、シャーロットは毎日のように溜め息を吐いていた。
「……エドワード様。お言葉ですが、わたくしは醜悪な振る舞いなどした覚えはありませんわ」
ひとりの人間として尊敬は出来ずとも、この国の王子であることは事実。身分に応じた殊勝な態度も取る。シャーロットは笑みという無表情を張り付かせて、エドワード王子へ向き直った。
「具体的にどのような理由で、そのような無体をおっしゃっているのでしょう?」
「とぼけるな! マリアが『光の聖女』として王家に重用されるのを嫉妬し、暴挙に出たことは調べがついている。彼女を階段から突き落とし、教科書を切り裂き、さらにはお茶に毒を盛ろうとしただろう!」
エドワード王子は、シャーロットの言葉に耳を貸さずに糾弾を始めた。
第一王子という尊き身分であるはずが、今の彼はあまりにも見苦しい……。シャーロットはそう感じずにいられない。彼女自身も多少、貴族令嬢らしくない性格だという自覚はある。しかし今のエドワード王子は、自分の言動が王子らしからぬとは思い至っていないようだ。
そんな彼のすぐ横で、『光の聖女』と呼ばれている男爵令嬢・マリアが嘘泣きを披露している。
「えぇ、ええ! 私、本当に怖かったんですの……シャーロット様に『わたくしを邪魔する者は消す』と睨まれた時は、生きた心地がいたしませんでしたわ……っ」
この国の王子という後ろ盾を得ての、渾身の被害者ムーブ。けれど、涙のひと雫も出ていない目元をハンカチで拭う姿は大根役者もいいところだ。
(三文芝居も甚だしいわね。げんなり)
けれど、そう思っているのはシャーロットだけのようだった。周囲を取り巻く貴族たちはすっかりエドワード王子の言葉を鵜呑みにしているようで、シャーロットを蔑みの目で見つめている。
「恐ろしい女だ」
「公爵家の権力を振りかざして」
「聖女様に嫉妬するなんて」
囁きというには大き過ぎる声が、そこかしこから聞こえてくる。
……バカバカしい。
シャーロットは内心で悪態をつく。幸か不幸か、彼女の父であるローゼンベルク公爵はこの卒業パーティーの場にいない。国王に押しつけられた仕事に多忙で、娘の卒業式に参加することが出来ていなかった。
そんな諸々の王国からの無体が重なって、シャーロットの内心は苛立ちと不愉快さでいっぱいになっていた。
階段から突き落とした?
(あれはマリアが勝手にドレスの裾を踏んで転びそうになったのを、わたくしが【土魔法】で階段の形状を変えて受け止めてあげたのよ)
教科書?
(マリアが課題をやってこない言い訳に自分で破いていたのを見たわ)
毒?
(あれはただの整腸作用のあるハーブティーよ。彼女が毎日暴飲暴食して「お腹が出ちゃう」と泣きついてきたから作ってあげたのに)
そして何より。
シャーロットが日々、この国を支えるために何をしているのか。
この愚か者たちは何も理解していない。
彼女自身、今の自分の地位を望む者がいるならいつでも譲ってやる、と常々思っていた。
「……言い分は分かりましたわ。それで、わたくしをどうなさるおつもりですの?」
シャーロットが醒めた声音で、冷静に尋ねる。するとエドワード王子は、待ってましたとばかりに下品な笑みを浮かべた。
(……王族は貴族の模範となるべき存在なのだから、大人数を前にして感情に任せた振る舞いをするなと常々言っていたのに。本音や内心を表に出すのはやめなさい。隠せ)
王子の振る舞いを見て、シャーロットの貴族として育った矜持がよろしくない意味で刺激される。こんな男が第一王子だなんて王家の中枢は正気なのかしら、などと故国の未来を憂いてしまうほどに。
内心で呆れ返りながら対応するシャーロット。だが淡々と言葉を返す彼女の様子に、エドワード王子は突きつけた罪状を認めたと思ったようだった。彼はさらに増長し、決定的な言葉を放つ。
「ふん、公爵家への面目もある。貴様を死刑にはしない。だが、生きて戻ることは叶わぬ『奈落のダンジョン』の最深部――第百階層へ永久追放とする!」
会場が大きくどよめいた。
『奈落のダンジョン』。
それはこの国の地下深くに広がる、SSSランクの超危険地帯だ。
浅い階層ですらAランク冒険者でも命を落としかねないと言われている。しかも最深部には世界を滅ぼす邪竜が封印されているとされる伝説の死地。そこへ落とされるということは、死以上の苦痛を味わって死ねと言っているようなものだ。
「さぁ、落ちていくがいい! 【空間転移】発動!」
問答無用だった。
エドワード王子が短い錫杖のようなものを掲げた。
それは国宝の転移魔導具。
錫杖が輝くと共に、シャーロットの足元に漆黒の陣が広がった。
地の奥底へと吸い込まれていくような感覚が、彼女の全身を覆う。
「シャーロット様、さようなら。地獄で自分の罪を悔い改めるといいわ!」
陣に身体を沈めていくシャーロットに、マリアが勝ち誇った顔で微笑む。
罪と言われても、シャーロットには悔い改めることなどひとつとしてない。正直、マリアについてはどうでもよかった。好きにしろとしか言い様がない。
まもなく全身が沈むというところで、シャーロットはエドワード王子の顔をじっと見つめた。
「――エドワード様。この国の地下を流れる巨大な魔力脈を抑え込み、ダンジョンの魔物が地上へ溢れ出ないよう『結界』を張り続けていたのが誰なのか……まさか、本当にお忘れではありませんわね?」
「ハッ、何をごまかしている! 消え失せろ、悪役令嬢!」
どうやら、本当に失念しているようだった。
王家に連なる者であれば知っておかねばならない、王国を守るための重大要素『結界』。それがどのように運用され、誰に手によって維持されているのか。
王家に関わる者なら知っていなくてはならない常識。なぜなら、結界を維持する魔力を目当てに、強大な魔力を持つシャーロットが王子の婚約者へと宛がわれたのだから。
だがエドワード王子にとって、彼女は気に食わぬ言動を取る令嬢。
ただそれだけで、シャーロットは『悪役』に任じられたのだ。
すべてがどうでもよくなって、シャーロットは溜め息を漏らしてしまう。
そんな貴族令嬢らしからぬ素振りを見られる前に。
彼女の身体は闇の中へと落ちていった。
(まぁいいわ。毎日毎日、王国のために寝る間も惜しんでダンジョンの抑え込みをするのにも疲れていたところよ。公爵家はお父様がうまいことなんとかするでしょ。知ーらないっと)
こうして。
シャーロット公爵令嬢は、生まれ育った故国から追放されたのだった。
◇ ◇ ◇
ドスン、と激しい音を立てて、シャーロットは着地した。
魔道具による空間転移によって、見知らぬ場所へと放り出された。身を投げ出したかのように転げて大怪我、という醜態をさらすことなく、見事な着地を決めてみせる。
(……わたくし、そんな音が立つほど重たかったかしら)
着地はしたものの、思った以上に強い衝撃と大きな音を感じて、彼女は眉をひそめてしまった。自分の身体の重さには過敏になる年頃なのである。
ともあれ。強引に空間転移をさせられたものの、心身に何か害が及んだりはしていないようだった。そのことに彼女はホッとする。
気持ちに余裕ができて、シャーロットは優雅に周囲を見回す。
視界に広がるのは、つい先ほどまでいた華やかなパーティー会場とはまったく異なる光景だった。
どろりとした紫色の瘴気が漂う、暗くじめじめとした岩場。
鼻をつく硫黄と腐臭。
遠くで聞こえる凄まじい咆哮。
エドワード王子の言葉が正しければ、ここは『奈落のダンジョン』の最深部。つまり、邪竜が封印されているという、第百階層だった。
グオオオオオオオンッ!!!
……不測の事態というのは連続して起こるものなのか。
突如、目の前の闇が揺れ、山のように巨大な影が現れる。
漆黒の鱗。
真っ赤に燃える四つの目。
鋭い爪。
とてつもなく大きな竜が、シャーロットの目の前に姿を見せた。
王国で言い伝えとなっている、伝説の最古の魔物。
この地に封印されたという存在、『黒竜グラディウス』。
咆哮するその大きな体躯に、彼女は圧倒されそうになる。
『久しぶりの生贄か……小さき人間よ、我の胃袋の足しになれ』
(あら、喋ることができるのね)
もしくはなんらかの力で理解できているだけなのか? などと沈思黙考に耽ってしまうシャーロット。そんな彼女に構わず、黒竜は巨大な前脚を振り下ろしてくる。
圧し潰されることは必至。
しかし、彼女は逃げようとするどころか慌てもしない
溜め息をひとつ吐き、静かに右手を掲げた。
「【ダンジョン建築】――発動」
シャーロットの手のひらから、眩いばかりの金色の光が解き放たれた。
刹那。彼女と黒竜グラディウスの間に土塊が盛り上がり、大きな壁が出来上がる。その壁が、圧し潰さんとした巨大な竜脚を受け止めた。
『な、なんだと!?』
黒竜グラディウスが目を見開く。まさかちっぽけな人間の女ごときが対抗してくるとは思わなかったのだろう。
邪竜とも呼ばれている存在が、ちっぽけな人間のすること程度に驚くものなのか。いやでも、大人しかった毛虫がいきなり暴れ始めたら恐怖するかも、などと、シャーロットは益体もないことを考えてしまう。
それはさておき。
シャーロットが使ったスキルは『土魔法』。
けれど、ただの土魔法ではない。
土と空間、そしてダンジョンそのものの構造を自在に書き換えることのできる神級スキル――【ダンジョン建築】だ。彼女はこれまではこの力を、魔物たちから王国を守る『封印の維持』に使わされていた。しかしその故国から追放された今、全力を己の思うままに使うことができる。
ドゴゴゴゴゴゴ!!!
地響きと共に、ダンジョンを形成する岩壁が瞬く間に変貌していく。
どろりとした瘴気が一瞬で浄化され、爽やかな海風のような聖なる空気に置き換わる。
ごつごつした岩場は、磨き上げられた真っ白な高級大理石へと変わる。
天井には魔法の人工太陽が燦然と輝き始め、どこからか温かい温泉が湧き出し、豪奢なプール付きの庭園が広がった。
(ふむ。こんなものかしら)
シャーロットがスキルを用いたのは、ほんの数十秒。その間に、おぞましいダンジョンの最深部は、広大な『地下高級リゾートパレス』へと姿を変えたのだ!
『な、なんだこれはぁぁぁ!?』
シャーロットを襲おうとしていた黒竜グラディウスは、困惑しながら動きを止める。無理もない。ダンジョンの最深部がいきなり「どこのリゾート地だ」というゴージャス空間に様変わりしたら驚きもするだろう。
呆気に取られている黒竜グラディウスをよそに、シャーロットは次なる一手を打つ。
魔法の神秘とも言われる『空間収納』から、巨大な最高級『A5ランク魔獣のサーロイン肉』と『特製ステーキソース』を取り出した。そして、新設してみせた魔導キッチンに火を入れ、手際よく肉を焼き始める。
シャーロットは無駄に強大な魔力を駆使していろいろな魔法を会得している。そのひとつが、『空間収納』の魔法。この中には彼女の日常を彩る生活必需品や、誰にも見せられない乙女の秘密に値するものが多く収められている。
もちろん、『A5ランク魔獣のサーロイン肉』も『特製ステーキソース』も、シャーロットの人生に欠かせないものだ。例え「貴族令嬢は魔獣の肉を調理したりなどしない」、「ましてや自ら食材である魔物を狩りに行ったりしない」と言われても、彼女は聞き入れるつもりはない。父であるローゼンベルク公爵でさえ、匙を投げて注意をしなくなったのだ。筋金入りである。
ジュワーッ! と、食欲を激しくそそる甘辛いニンニク醤油と肉汁の香りがダンジョン最深部に広がっていく。肉の巨大さに比例して、その犯罪的とも言える芳香も強大なものだ。芳醇な匂いの暴力は、かの黒竜グラディウスさえも虜にする。
『ぐ、ぐぬぬ……なんという不躾な香ばしさ……! だが人間よ、この誇り高き黒竜が、そのような肉切れ一切れに惑わされるとでも――』
黒竜グラディウスがなにやら苦悩しているが、シャーロットは一顧だにしない。A5ランクという超高級食材を焼いているのだ。一見、肉を焼くだけという大味に見える調理。しかし素材を活かすためには、火具合や味付けのタイミングなどに集中することが必要なのだ。とはいえおそらく、そんなこだわりを持って自ら肉を焼く貴族令嬢なんて彼女くらいだろう。
そうこうしているうちに、シャーロットは『A5ランク魔獣のサーロインステーキ』を力強く焼き上げてみせた。
「はい、召し上がれ」
熱々の鉄板に乗せた巨大ステーキを、黒竜グラディウスの前に置いた。
巨大な皿。巨大な肉。とても人間が食べるようなサイズ感ではない。
かの邪竜の視線はステーキに釘づけになっていた。
邪竜といえども、肉が焼ける芳しい匂いには抗えないらしい。
『……』
「あら、いりませんの? せっかく上手に焼けたというのに残念ですわ。それでしたら、わたくしが食べて……」
『食べる! くれっ! 食べさせてくれ!』
出した鉄板をシャーロットが引き下げようとすると、黒竜グラディウスが慌てて静止してくる。それはそれは必死な声音で。
竜の食の好みなど、彼女には分からない。しかし、美味しそうなものを前にすると我慢できなくなる、というのは種族を問わない本能のようだ―――と彼女は納得してしまった。
『……む、むぐっ!? ―――――ッ!?!?!?』
慌てた黒竜グラディウスは、熱々の巨大ステーキに食らいつく。
一口食べた瞬間、四つ目が飛び出んばかりに開いた。
(反応は人間っぽいのね。竜なのに)
『な、なんだこの柔らかさは!? 肉汁が噛むたびに爆発し、この濃厚で甘美なタレが舌に絡みつく……! う、美味い! 美味すぎるぞぉぉぉ!』
想像以上の饒舌さで、口にしたステーキを絶賛する黒竜グラディウス。そこまで気に入ってもらえたならわざわざ作った甲斐があるというもの、とシャーロットは上機嫌になる。
巨大なステーキとはいえ、邪竜の体躯にしてみればほんの一口。黒竜グラディウスは『A5ランク魔獣のサーロインステーキ』を一瞬で平らげてしまった。その旨味を噛みしめるかのように表情を緩ませる。四つ目の巨大な竜のかんばせが幸せに染まった様が、シャーロットには見て取れた。
『……美味かった。この美味を知った恩に報いねばなるまい』
そんなことを言うなり、黒竜グラディウスが突然、煙に包まれた。
(あら、何が起こるのかしら)
小首をかしげ、シャーロットは大きな煙の柱を見つめる。
煙が晴れると、そこには極上の黒髪を撫でつけ、黒いタキシードを着こなした、背の高いイケメン紳士が立っていた。
『主 (マスター) とお呼びしてもよろしいでしょうか』
「随分と早い手のひら返しですわね」
先ほどまで巨大な体躯を振り回してシャーロットを圧死させようとしていた邪竜が、イケメン紳士に姿を変えた。しかも態度を反転させて。美味しい食べ物がもたらした効果にシャーロットはいささか驚く。
『私はおよそ千年間、この暗く臭い穴ぐらで干し肉のような生活を送ってまいりました。しかし、あなた様の作ったこの快適な空間、そして至高の料理……! 私は今日から、あなた様の忠実なる執事として生きます。どうか、どうか貴方様のお側に置かせてください』
執事姿の黒竜グラディウスが、私の前に跪き、恭しく手を取った。
(……ふむ。イケメン執事が恭しく忠誠を誓う姿。いいですわね)
実態は美味しいものに胃袋を掴まされた腹ペコ竜ですけれど。
胸の内でひとりノリツッコミをしつつ、忠誠を誓う彼に意識を向ける。
(どうせ過ごすのなら、環境はいいに越したことはないものね)
「シャーロットよ」
「シャーロット様」
恭しく首を垂れる、イケメン執事な黒竜グラディウス。
まさか執事が手に入るとは思ってなかった。けれど、身の回りの世話をしてくれる人材ができたのはありがたい。シャーロットにとっては願ったりかなったりだ。
こうして。
シャーロットの快適すぎる地下リゾート生活は幕を開けたのだった。
◇ ◇ ◇
それから一ヶ月。シャーロットは【ダンジョン建築】の力を遺憾なく発揮した。ダンジョン最深部だけでなく、九十九階層から九十階層までも改装。それぞれの階層に能力をぶち込んで、改変に改変を重ねていった。
フカフカのベッドが並ぶラグジュアリーホテル。
魔導エレベーター。
最高級スパ。
ダンジョン内で採れる激レア食材を使ったオーガニックレストラン。
などなど、あらゆるものを次々と建設。
まさにリゾート地だ。
ダンジョン最深部に生息していた他の凶暴なSランクモンスターたちも、シャーロットの振る舞う絶品料理と、黒竜グラディウスによる物理的な『教育』によって、すっかり優秀なホテルスタッフとして改心した。九頭蛇やフェンリルなど、地上の人間たちが見たら腰を抜かして逃げ出すような魔物たちが、ここでは接客担当や警備担当として、彼女に従っている。
だが、すべての魔物がそういうわけではない。魔物というのは基本的に、己の生存本能に従って生きているもの。シャーロットもすべての魔物を支配下に置こうと言うつもりはないので、最深部以外の魔物にはノータッチだった。
『シャーロット様。本日のアロマオイルはラベンダーと柑橘のブレンドでございます』
「ありがとう、グラディウス。極楽ですわ」
シャーロットはフリル付きの可愛らしい水着を身につけ、魔法による陽光が降り注ぐプライベートビーチ風プールサイドで、デッキチェアに寝そべっていた。
トロピカルジュースをストローで啜り、最高級のトリートメントを受ける。まさに極楽。とてもダンジョン最深部だとは思えない。
王国のため、未来の王妃の義務、といった美辞麗句のもとに課せられていた、結界維持という終わらない時間外労働。そこから解放された彼女はこの上なく自由を満喫している。最高の引きこもりスローライフだ。
……地上では地獄絵図が繰り広げられているだなんて、微塵も知らずに。
◇ ◇ ◇
シャーロットが追放された先をリゾート化していた同じ頃。
グランドール王国は、ひどい混乱に見舞われていた。
「なぜだ! なぜダンジョンから魔物が溢れ出してくるのだ!?」
王宮の執務室で、エドワード王子は頭を抱えながら叫んだ。
シャーロットを追放してから、王国の各地でダンジョンの『氾濫 (スタンピード) 』が多発。ダンジョン上層の魔物が地上へ押し寄せたことで街道は分断され、物流がストップ。王国の経済は壊滅的打撃を受けていた。
「マリア! お前の『光の聖女』の力で結界を張り直せないのか!?」
「ひ、ひえぇぇっ! む、無理ですわエドワード様! 私の光の魔法は、お肌を綺麗に見せたり、暗いところでぽっと光ったりする程度で……結界なんて張れませんわぁ!」
「なんだと!? 貴様、聖女ではなかったのか!?」
「エドワード様が『僕の聖女様』って勝手に呼んできたんじゃないですかぁ!」
責任を押し付け合い、見苦しく罵り合う二人。
そこへ、青ざめた側近が飛び込んできた。
「隣国の大帝国から『我が国の安全を脅かすダンジョン暴走を放置するなら、貴国へ兵を進める』と最終宣告が届きました!」
「そんな……! どうすれば……どうすればいいのだ!?」
エドワード王子は、次々と降りかかってくる苦難に我を忘れそうになる。
どうして、どうしてこんなことになった……。
髪をかきむしり、我が身の不運を嘆いた時。
ふと、思い出した。
シャーロットを追放した際、彼女が言い残した言葉を。
『この国の地下を流れる巨大な魔力脈を抑え込み、結界を張り続けていたのが誰なのか……』
(まさか……あの生意気なシャーロットが、一人でダンジョン全体を封印していたというのか!?)
エドワードは顔を歪ませ、怒りで拳を握りしめる。
「くそっ、シャーロットの奴め! 自分がそんな重要な役割を担っていたなら最初に言え! 黙って追放されたのは、私に対する当てつけか! なんと根性の腐った女だ!」
あまりに他責過ぎる物言い。聞く人が聞けば、むしろなぜ知らないのだと呆れながら苦言を呈する内容だ。
だが、エドワードは己の無知と無能を棚に上げ、どこまでもシャーロットを悪者に仕立て上げる。
「こうなったら『奈落のダンジョン』へ降りる! シャーロットに恩赦を与え、連れ戻して再び結界を張らせるのだ! 私が直々に迎えに行ってやれば、あいつだって泣いて喜び、反省して復帰するに違いない!」
エドワードは王国最強の近衛騎士団を招集し、マリアを引き連れて『奈落のダンジョン』へと乗り込むことにした。自分の過失は何一つないと信じたまま。
◇ ◇ ◇
「ひぃぃぃっ! 助けてぇぇぇ!」
「王子! 前方のトラップが爆発します!」
「うぎゃあああっ!?」
ダンジョン攻略は、凄惨を極めた。
シャーロットが不在となり、これまで張られていた結界が緩んでしまった。そのことによって、ダンジョン上層から中層の魔物は狂暴化。魔物たちはどんどん上層へと上がっていき、ダンジョンの外を目指していく。押し寄せてくる魔物の群れに、王子と近衛騎士団は翻弄されるばかりだった。
さらにダンジョン内に仕込まれている罠の威力が跳ね上がっていた。あまりに自然過ぎてそれと分からない罠の数々を、彼らは「そこにあるのを知っていたのではないか」というくらいに踏み抜いていく。
己の実力に自信を持っていた王子と、精鋭だったはずの近衛騎士団は、いとも簡単に心を折られていた。疲労と負傷を重ね、次々と脱落していく。
同行したマリアは恐怖で泣き叫び、泥と汗でメイクはドロドロ。美しいピンクブロンドの髪はボサボサの鳥の巣のようになっている。
エドワード王子も、自慢の高級剣は早々に折れて役立たずになっていた。まばゆい輝きを放っていた鎧もボロボロ。太刀打ちできない魔物たちの猛威に、彼は恐怖で震え上がりながら逃げ惑っている。
エドワード王子と近衛騎士団一行は、それでもどうにかこうにか深層へと歩みを進めていた。というよりも、シャーロットが設置していた最下層まで続くゴンドラを発見し、奇跡的にそれへ乗り込んだことで第百階層にたどり着いたのだ。
一桁の浅い階層から、一気に最深部まで続くゴンドラ。底の見えない深淵の如き闇を目の前にして、王子たちは恐怖に震えるばかり。ゴゥン、ゴゥンと音を立てて下がっていくゴンドラに乗りながら、震え慄く彼らは黙ったまま最深部へと運ばれていく。
「ハァ……ハァ……つ、着いた、のか……」
やがて、ゴンドラの動きが止まった。地に着いた揺れを感じ、王子とマリアと近衛騎士団は、恐々とゴンドラから降りようとする。
周囲を窺えば、ひと際大きな扉が目に入った。
ダンジョンの最深部。
場にそぐわない、重厚な大理石の扉。
ここに、シャーロットがいる。
エドワード王子は、何の根拠もなく、そう感じ取った。
心身共にボロボロの彼は、折れた剣を杖代わりにしながら、その大きな扉を押し開けた。
彼が想像していたのは、暗闇の中で怪物に怯え、衣食住にも困り果て、痩せこけて泣き叫んでいるシャーロットの姿。こちらが手を差し伸べれば、恩に感じて言いなりになるに違いない。そんな妄想に等しい思い込みに、昏い感情がこみ上げる。
エドワードは勝ち誇った笑みを浮かべ、大声を張り上げた。
「シャーロット! 命拾いしたな! お前の愚かな行いを反省し、この私の足にキスをするなら、特別に地上へ戻して――」
扉を開け、すべてを言い切る前に、彼は違和感を覚える。
不意に、彼らの頬を心地よい温風がくすぐった。トロピカルフルーツの爽やかな香りが鼻先に届く。
……ここは、ダンジョン最深部のはずでは?
絶句した。エドワードだけではなく、すぐ隣にいるマリアも、同行しているズタボロな近衛騎士団の面々も全員が。
目の前に広がっていたのは、地獄ではなかった。
燦然と輝く、魔法光を利用した疑似太陽。
エメラルドグリーンに輝く巨大な温水プール。
色鮮やかな南国の花々が咲き乱れる庭園。
そして、パラソルの下で優雅にサングラスをかけ、シルクのサマードレスを着てトロピカルドリンクを飲んでいる、ツヤツヤなお肌をしたシャーロットの姿があった。
「あら? 何やら汚らしい豚が迷い込んできましたわね」
シャーロットは小さく首を傾げ、ドリンクのストローから口を離した。呼んでもいない突然の来客に、彼女は少しばかり怪訝に思うも。まぁどうでもいいか、と、興味を再び手元のトロピカルドリンクに戻す。
無視、である。
普段のエドワードであれば、そんな態度を取られれば激高するだろう。しかし、今の彼の精神状態はそれどころではなかった。
「な……なん、だ……ここは……!?」
エドワードは目の前の光景が信じられず、目を擦った。
ここはダンジョン最深部のはず。彼らはここに至るまで筆舌しがたい苦難に襲われた。と言っても、ダンジョン浅層を逃げ回り続け、たまたま最深部直通のゴンドラに駆け込んだだけだが、それはさておき。
とにかく、苦労の末にたどりついたダンジョンの最深層。どれだけ過酷な環境だろうかと想像していたにも関わらず、実際に目にしたのはリゾート地さながらの光景だったのだ。エドワードが混乱したとしても無理はない。
バカンス満喫といった様子のシャーロット。その横には、背の高い超絶イケメンの執事 (黒竜グラディウス) が、銀のトレイに乗った出来立ての高級タルトを彼女に捧げている。
さらにプールサイドでは、Sランクモンスターの巨大なフェンリルが、シャーロットに侍るように座り、「きゅん」と可愛らしく甘えて喉を鳴らしていた。
「シ、シャーロットぉぉぉ! お前、何をしているんだ! 私たちがどれほど苦労してここまで来たと思っている!」
「知りませんわよ」
想定外の光景にエドワードは絶叫する。
どれだけ打ちひしがれているだろうと冷笑していたのだ。それがバカンス同然の姿で出迎えられた。
ダンジョン深層部まで、その道程をかなりショートカットしたとはいえ、襲い掛かる魔物たちに挑み、やり過ごし、逃げ惑いながら、心身をボロボロにしてたどり着いた。今の彼らは疲弊しきっている。
そんな自分たちの前に現れたのは、リゾート気分を隠そうともしない、自分が追放したはずの貴族令嬢。エドワードたちが、今の自分たちと比べてしまい、ブチ切れるのも無理らしからぬことだった。
もちろん、シャーロットにすれば、彼らの心情など知ったことではない。
「頼んでもいないのにやってきて、勝手に不法侵入してきたのはそちらでしょう?」
「不法侵入だと!? このダンジョンは王国の、王家のものだぞ!」
「いいえ。ここは現在、私の私有地ですわ。王家から追放された際、私はこのダンジョンの管理権および所有権を無効化し、私が再定義しましたの。ここは『アビス・リゾート』。私の王国です」
「なっ、なにを……」
シャーロットはニッコリと微笑んだ。その笑顔には、疑問や後ろめたさなどは一切ない。当たり前のことを、さも当たり前のように口にしただけだ。
その態度がまた、エドワードたちの癪に障る。
「貴様、狂ったか!」
「わけの分からないことを言わないでちょうだい!」
エドワード王子と、すぐ隣に立つマリアが揃って怒鳴る。
ムカつく。
イライラする。
ふたりの表情は、いっそ醜いと言ってもいいほどに歪んでいる。エドワード王子の取り乱しぶりは言わずもがな。マリアも、仮にも『光の聖女』と呼ばれているにも関わらず、今の姿からは神秘や神聖さなどは微塵も感じられない。
そもそも、彼らは望んでシャーロットを追放したのだ。それなのに、わざわざダンジョン深層部まで出向いてきて、訳の分からないことを喚き散らかしている。
「ええい、戯言はいい! 王都は今、魔物の氾濫で大混乱なのだ! お前は今すぐ地上に戻り、元通り結界を張れ! これは王子の命令だ!」
「そうですわ! シャーロット様ズルい! 私だってそんな綺麗なプールに入りたいのに! 聖女である私にその場所を譲りなさいよ! エドワード様、早くその女を引っ立ててくださいまし!」
エドワードが威圧するように叫ぶ。隣に立つマリアも同じように、ボロボロの姿で、嫉妬に顔を歪ませながら喚き立てた。
「聞こえたか! お前に拒否権はない! 大人しく戻らねば、ここで斬り捨てるぞ!」
エドワードは威張り散らし、半ば折れかけた剣をシャーロットに向ける。魔物を鎮める結界を張り直せと言いつつ、言うことを聞かなければ殺すという。言っていることがチグハグなことに、彼は気付いていない。
感情任せに言いたいことばかりを言う彼らに、シャーロットは深い溜め息をついた。
「本当に……救いようのない愚か者ですわね」
シャーロットが、パチンと指を鳴らした。
次の瞬間。
ズンッ! という音が響く。そして、空間そのものが押し潰されるような超高重力の圧力が、エドワードとマリアを襲った。
「「がはっ!??!?」」
二人は床に叩きつけられた。二人だけではない。その背後にいた近衛騎士団たちも、何かに押し付けられるようにして、地べたに縫いつけられてしまう。誰ひとりとして身動きが取れなくなってしまった。
圧力を放ったのは、シャーロットの隣に立っていたイケメン執事――黒竜グラディウスだ。
彼の瞳が、人間のものではない、禍々しい竜の赤へと色を変えて輝く。
『不敬であるぞ、羽虫ども。我が主、シャーロット様に剣を向けるとは……万死に値する』
【竜王の威圧 (ドラゴニック・プレッシャー) 】。
人の身体に擬態していようとも、生物としての本質は邪竜のそれ。
腕に覚えがある程度の人間では、とても太刀打ちできるものではない。
事実、超重力に圧されたエドワードたちの心は、それだけでもうくじけていた。
「ひっ……ひいいいいいいっ!??!?」
死の恐怖がこみ上げる。
本能が絶望を叫ぶ。
エドワードとマリアは、全身の毛穴という毛穴から冷や汗を流し、ガタガタと震え上がった。あまりの恐怖に、二人の股間からじわリと温かい液体が染み出し、高級な大理石の床を汚していく。
「あ、あ……竜……邪竜……っ!?」
「嫌ぁぁぁ! 助けて、食べないでぇぇぇ!」
情けなく失禁し、鼻水と涙で顔をグチャグチャにして許しを乞う王子と聖女。先ほどまでの威勢の良さは欠片も残っていない。
シャーロットはデッキチェアから立ち上がると、見下すように冷ややかな視線を二人へ向けた。
「エドワード様。私を追放する時、なんとおっしゃいましたか? 『死よりも辛い罰を与えてやる』……でしたかしら?」
「ひっ……ご、ごめっ、許し……っ」
「ふふっ。私を追放し、結界の維持という重労働から解放してくださったことには感謝していますの。ですから、命だけは助けて差し上げます。……ですが」
シャーロットは再び、パチン、と指を鳴らす。
すると、何もない空間から一枚の羊皮紙が滑り出てきた。
「不法侵入。敷地内の器物破損。そして何より――わたくが仕上げた大理石の床を、汚らしい尿で汚した。その罪は重いですわね」
シャーロットは羊皮紙をエドワードの目の前に突きつける。そこには、とんでもない桁の数字が書かれていた。
「損害賠償額、金貨十億枚です」
「じ、十億……!? そんな額、国家予算を超えている……!」
「払えませんわよね? ですので――強制労働をしていただきます」
「な……なんだと!?」
シャーロットは疑問も反論も受け付けない。
彼女が声を出して何者かを呼び寄せた。警備担当のモンスター、二足歩行の巨大な豚の魔物・オークキングたちが、ゾロゾロと姿を表す。
「この二人を、深層のリゾート区域の全トイレ掃除、および一階層から八十九階層までの魔物の糞の清掃係として採用しなさい。給料は日給銅貨三枚。返済が終わるまで、絶対に地上へ帰してはダメですよ」
「ブヒッ! (承知いたしました、シャーロット様!) 」
課せられた強制労働は、あまりに過酷なものだった。いわゆる、きつい、汚い、給料が安い、という種類のもの。とはいえ、シャーロットは結界維持という仕事を無給でやらされていたのだから。給料が出るだけマシだろうと、彼女は思っている。
「や、やめろ! 私はこの国の王子だぞ! 無礼者、放せ! 放せぇぇぇ!」
「嫌ぁぁぁ! 私は聖女なのよ!? 魔物のフン拾いなんて嫌ぁぁぁぁ!」
叫び、暴れる二人だったが、巨大なオークキングたちに首根っこを掴まれ、ズルズルと引きずられていった。エドワード王子と光の聖女・マリアは、死ぬよりも辛い、永遠に終わらない過酷な清掃労働の日々を送ることになる。
なお、エドワードに同行していた近衛騎士団の面々は、地上へ戻された。ここで起こったことや、結界を維持していたシャーロットの扱いに対する怒りなどを記した書面を持たされて。それを受け取った王家は激怒したが、ダンジョンから現れる魔物たちの対処だけで精一杯になり、シャーロットをどうこうするどころではなくなったという。
◇ ◇ ◇
それからしばらくして。
グランドール王国は、ダンジョン暴走の責任を問われ、隣国の大帝国によって事実上併合された。
国王は退位させられ、第一王子・エドワードと光の聖女・マリアは、「ダンジョンへ行ったきり戻らない愚か者」として王籍や身分を剥奪された。王国を消滅に導く愚行に出た者として、歴史に悪名を残すことになる。
一方、ダンジョン深層の『アビス・リゾート』はというと――。
『シャーロット様、本日も隣国の皇帝陛下および冒険者ギルド総帥より、リゾートの宿泊予約が届いております』
「分かったわ、許可を出しなさい。ただし、マナーの悪いお客様は即刻出禁にしてね」
『かしこまりました』
シャーロットが作った地下リゾートの存在は、ダンジョン暴走の切っ掛けが知られると共に世界中へ広まった。今では超要人しか入れない『最高峰の隠れ家リゾート』として大繁盛している。
一泊につき莫大な外貨が稼げるため、シャーロットの懐具合は潤うばかり。ダンジョンの魔物たちも、適度な観光客の受け入れと美味しい料理で完全に毒気を抜かれ、今や世界一安全なダンジョンとなっている。
「ふう……。今日も、良い天気 (魔法) ですわね」
シャーロットはプールサイドで冷えたカクテルを受け取り、青空 (魔法) を見上げた。このダンジョンに作り上げられたすべてが、彼女の能力と魔力を駆使して作り上げたもの。誰が見ても、ここがダンジョン最深部とは思えない。我ながら素晴らしい仕事をしたと、シャーロットは自画自賛する。
冤罪で追放された時はどうなることかと思った。けれどシャーロットは、面倒な貴族社会も、無能な王子も捨てて、大好きなDIYとスローライフに没頭することができている。
実家である公爵家も、娘をぞんざいに扱った王家に対して憤慨し、大帝国との併合に一役買ったという。今は帝国貴族の一席に名を置き、『アビス・リゾート』に貴族を呼び込むパイプ役を担っていた。
「追放してくださってありがとうございます。エドワード様 (笑) 」
シャーロットは極上の笑顔で独りごちると、作り変えたダンジョンの居心地の良さを堪能しながら、優雅にグラスを傾けた。
-了-




