どうも、偽聖女です。ピースピースv(・ε・v)
日間ハイファンタジー(短編)1位
日間ハイファンタジー(すべて)1位
日間総合(短編)9位
取れました\(^-^)/
評価していただきありがとうございます!
「よくも今まで俺達を騙してくれたな、この偽聖女が!」
「奇跡を使う様子を一向に見せないから可笑しいと思っていたんだ!」
「挙げ句、本物の聖女様を虐げていただなんて、見下げ果てた性根の持ち主だ!」
学園の中庭で魔力で三本の箒を操りながら日課の奉仕活動をしていると急にそう声高に罵倒された。
何事かと振り返ると一人の女性を背に隠し、第四王子、騎士見習い、伯爵家の三男坊がおり、口々にわたしを責め立ててくる。
一応弁明しておくけれども、わたしは今まで自分が聖女様だなんて我が敬愛する神の御名に誓って一言も言ってないし、彼らが勝手にそう言っていただけだ。
否定しても「謙遜するな」とか「卑下するな」とか「控え目で素晴らしいな」とか言って話を聞こうともしないし本当にいい迷惑だった。
「はいはい、偽物偽物、ピースピースv(・ε・v)」
「なんだそのふざけた態度と表示は?!」
「一切反省する気が無いようだな!」
「今までこんな女を信じていたとは、自分が恥ずかしい……!第四王子の名において聖女を偽った罪でお前を追放する!」
「追放すると言われても貴殿方にその権限はないのでは?わたしは教会に所属している人間です。すなわち、わたしに追放を言い渡せるのは教皇様のみ。貴殿方のそれは越権行為ですね(=_=)」
「教皇ごとき王の権威の前では逆らう事など出来ないだろう」
「……ごとき?へぇ、王族は教会を王家の下だとお考えなのですね(‘Д’)」
教会と王家は優劣付けないって建国以来の暗黙の了解になっているのは誰でも知っているのにそんな事言っちゃって良いのかな?
それにこの人スペアでもない第四王子のハズなんだけど王の権威とか言っちゃってるし、優秀と名高い兄達を抑え付けて自分が王座に座れるとか考えちゃっているのかな?
馬鹿なのかな?
「王の名においてこの私が宣言しよう!慈愛に満ち溢れており、心の美しさが顔にも現れているこのリーシャこそが本物の聖女だ!」
そう声高に宣言する第四王子の横でリーシャと呼ばれた令嬢がどや顔をしている。
あーあ、明言しちゃったよ。
「王、とはこれはまた大きく出た事で。と言うかそれは要するに、その方のお顔が好みだからその人を選んだって事ですよね。俗物的な観点で物事を見るお方だとは前々から思っておりましたが、流石にそこまでだとは思い至りませんでした┐(´д`)┌」
「なっ……!」
「王子に対して無礼だぞ!」
絶句する第四王子の代わりに騎士見習いが抗議してくるのをヤレヤレと肩を竦める。
「大体、わたしは今まで散々っぱら自分は聖女様では無いと言ってましたし認めた事も無いんですけど、何でわたしが聖女様だと思ったんですか?”(-“”-)”」
「それは……」
何故か言い澱む騎士見習いに首を傾げる。
え、まさか何となくそう思ったからで喋ってないよね?
「お前が聖女に相応しい容姿をしているからだ」
ノンデリにも程がある騎士見習いの発言に周囲の人間がざわつく。
「そうだ、黄金の様な輝かんばかりの豊かな金髪、嫋やかな仕草、両親譲りの儚げな顔、それに普段から暇さえあれば奉仕活動や祈りを捧げているのに聖女では無いと誰も思わないだろう!?」
「わたしの顔は見えない様になっているのですが、どうやって素顔を知ったのですか?(;・∀・)」
そう、確かにわたしは絶世の美少女なのだけれども、わたしは頭全体を白い箱で覆われているのでこれを外さない限り他の人はわたしの素顔を見る事は出来ない。
そしてわたしがこれを外すのは神殿の中でも一部区画だけなので神殿関係者でもごく一部の人間しかわたしの素顔を知らないはずだ。
「そんなの、神殿に入信する前の姿絵を見たからに決まっている」
胸を張ってそう言う第四王子に周囲の人間は絶句する。
神殿に入信する前、特に聖女様やその関係者の過去を探るのはご法度とされている。
聖女様になれるのは平民貴族を問わず、重要なのはその資格があるかどうかだけだ。
過去に平民出身の者が聖女様になった際に、使徒と呼ばれるお付きの人間の中に一等美しい少女がいた事があった。
平民出身の聖女様は貴族の人間に傅かれる事とその容姿に気後れして心労を抱え、また、少女の貴族出身としての嫋やかで楚々とした仕草とその容姿が相まって誰が聖女様なのかを知らない周囲の人間がその少女こそが聖女様だと勘違いをし、聖女様に馴れ馴れしく接する無礼な人間だと愚かにも本物の聖女様を虐げ、あわや主神からの天罰がこの国へ降り注ぐ寸前へとなった。
その事件から聖女様が誰なのかを探るのも、その容姿に触れる事も当時の国王が堅く禁じ、また、不必要に近付き繋がりを得ようとするのも禁じた。
その為の措置として聖女様とその使徒達は当時の聖女様が開発したこの『顔箱君』と呼ばれるその時の心情が記号を用いた絵として表示される白い箱を頭に被り、日々の生活を過ごす事が決められているのだ。
故に聖女様の使徒や関係者とされる神殿の者の身辺を探るのは禁忌とされているのだが、目の前にいるこの王子はそれを破った事を何の躊躇いも無く自白した。
何を考えて、と言うか何も考えていないのだろう。
王族にあるまじき浅慮さに「"( – ⌓ – )=3」と呆れの感情が表示される。
周囲の呆れを察する機微も無く、三人は嬉々としてわたしを偽聖女として断罪を続ける。
「聖女と呼ばれたくて人々の前で態と祈りを捧げたり奉仕活動をしていたのだろう?」
「僅かにでも時間があれば奉仕活動や祈りに勤しむのは敬虔な信者であれば当然の事です。それに、聖女様や聖人様とはなりたくてなる者ではなく、資格有りと認められてなれる者なのです。資格を持たないわたしでは聖女と名乗る事はできません(;・∀・)」
「資格?そんな事は初めて聞いたぞ?この場を乗り切る為の虚言だろう?!」
次男坊の発言に無知は恐ろしいなと溜息が漏れ出た。
「神の御名に誓って虚言ではございません。資格の内容を語るには教皇様の許可が必要なのです(;´・ω・)」
これで粘られたらどうしてやろうかと思ったけれど、いくら愚かでも教会に属する人間が神の御名に誓う事の重要性は流石に知っているらしく、資格についてのそれ以上の追及を彼らは諦めた。
「聖女様に関してこれ以上を話したければ教皇様からの許可を得てからにして下さい。これ以上の会話は無意味だと思われるのでわたしはこれで失礼しますね(^ω^)」
「待て、勝手に失礼するな」
「あ、そうそう」
騎士見習いに腕を掴まれそうになったので振り返りがてらそれを避け、魔力で操っている二本の箒をクロスさせて制止し、残る一本の箒の柄を彼の眼前に突き付ける。
「みなさんはこれから大変だと思われますが頑張って下さい(^ω^)」
自分こそが王発言に教会が王家よりも下宣言、偽りの聖女を擁立しようとした等々問題が盛り沢山だ。
騒ぎを聞きつけた先生達が四人を連行していくのを確認してわたしはその場を後にする。
国外追放?従う訳が無いので普通に神殿へと帰り、起きた出来事を教皇様へと報告した。
翌日、教皇様と共に国王の御前に参上する事になった。
事態の運びが途轍もなく早いけれども、学園であれだけ騒げば通っている子息令嬢達から話が親伝いに広がるだろうし、学園からも報告が上がるに決まっている。
謁見の間に入ると大臣などの重役達が壁に控え、顔色を青くしている四人が先に王座に座る国王の前に跪いていた。
彼らから数歩離れた隣の位置でわたしと教皇様も立ち、教皇様は国王陛下と同列の扱いなのでわたしだけが国王に向かって礼を執る。
「みな、楽にして良い。此度は何故そなたらが集められたのかを分かっておるな」
「父上!俺達は正義の為に行動したのです!」
「其方の言う正義とは一人の少女を大衆の面前であげつらう事なのか?」
「ひ、必要だと判断したまでです」
「その判断の根拠は?」
「それは……」
「はあ」
言い澱む第四王子に国王は深く溜息を吐いた。
「もう良い。以後、お前達は我が許可を出すまでの発言を禁ずる。さて、教皇と聖女の付き人はご足労頂き感謝する」
「いえいえ、聖女様の事において誤解を招く訳にはいきませんからね。こちらとしても重大な事です。さて、本日はこの方々に聖女、聖人とは何たるかをお教えすると言う事でよろしいかな?」
「ああ、この部屋にいる者達にはここでの話を決して外部には漏らしてはならぬと言い含めておる、もしそれを守れぬ者が居たとしても後の処遇はこちらで持つ」
「結構結構、では君はこちらの方々に説明をしておあげなさい」
「はい」
教皇様に促され、わたしは彼らへと向き直る。
「聖女、聖人たる資格とは、一つに純潔である事、二つに一切の魔力を持たない事です。生きとし生けるものには等しく魔力が宿る物ですが、時折その理から外れて魔力を持たずにこの世に産まれ落ちる者が存在します。魔力を持たぬその者を主神が不憫に思い、その者に特別に目を掛ける事でその者の周りでは奇跡が起きやすくなると言われており、その方が天に召された後には主神のお傍に迎えられると言われています(-ω-)」
純潔の辺りで三人がリーシャ嬢へと視線を向ける仕草に「あー、これヤってんな」と察するがお澄まし顔を顔箱君に表示し続ける。
「また、後天的に魔力を失った者にも生まれついての者には劣りますが、この資格は与えられますので、わたし達は教典に従って日々魔力を枯渇させる事を目標に魔術を用いて奉仕活動を続けているのです(-ω-)」
産まれ持った魔力は使えば使うほどその総量が減ってはいくが、睡眠等の休憩を経て自然回復される分もあり寿命が尽きるよりも早く枯渇する事はほとんど無い。
だが、過去にはそれを成し遂げて聖女、聖人となった偉人も確かに存在するので信者達はみな死後に主神の傍に侍る為に魔力の枯渇を目指すのだ。
「そして先程、生きとし生けるものとわたしは言いました、これは人には限らない事なのです(-ω-)」
わたしの言葉に謁見の間にいる人々はどう言う事だと困惑の表情を浮かべる。
「今代の聖女様は猫のお姿をされておられます(=^ω^=)」
わたしの言葉にざわざわとどよめきが広がっていく。
「でも貴女は聖女様宛の手紙を受け取ったり、書類等を処理しているじゃない!」
思わずと言った風に本物の聖女だと讃えられていた少女が指摘をしてくる。
気持ちは分かるけれども先程、国王の許可が無い限りは発言をするなと言われていたのでは?
国王へと視線を向けると頷かれたのでそのまま説明を続ける。
「それは単にわたしが聖女様のお世話を任されている使徒の一人だからです。学園を含むこの辺りの地域はわたしの管轄となっており、わたしが全てを取りまとめて聖女様へとご報告しているのですよ(・ω・)」
「猫に報告って」
少女がハンッと鼻で笑う。
まあ、普通はそう言う反応になるよね。
「先程も申し上げましたとおり、聖女様は主神が不憫に思い特別に目を掛けて下さります。その奇跡の一端として聖女様はこちらの言葉を理解されますし、また、わたし達使徒も聖女様のお言葉を理解する事が出来ます。それ故に、聖女様へのお言葉が主神へと伝わる事があるのです。ですので、我ら使徒はその奇跡の欠片の余得に預からせて頂く為に人の手には余る願いや困り事を聖女様へとお伝えして神へと嘆願しているのですよ(-ω-)」
それが叶うかどうかは主神次第、わたし達はただ聖女様が快適にお過ごし出来る様に尽力し、奇跡のお零れをお願いするだけだ。
「そもそも、聖女の資格なんて聞いた事無い物あんた達のでっち上げじゃないの?!態と隠しているのも怪しいじゃない」
どこまでも全力で教会へ喧嘩を売って来るリーシャ嬢に「┐('~`;)┌」と呆れの表示が浮かぶ。
「それは、君みたいな聖女や聖人を騙る愚か者が定期的に現れるからだよ。それらを炙り出して処理するには教会関係者以外に秘匿しておくのが一番都合が良いんだ。現に君は純潔の条件を満たしていなさそうだしね?」
教皇様の言葉にリーシャ嬢が羞恥か怒りから頬を赤く染めた。
そんな彼女に国王が問いを投げかける。
「して、そこな令嬢はリーシャと言ったか」
「は、はい」
「貴様が真に聖女であると我が息子は言っておったが、今の説明を踏まえ、それは誠であるか?」
「そ、れは……」
「我の問いに対する虚偽の発言は王を謀ったとして扱われる、よく考えて答えよ」
「……」
「そなたは聖女なりや?」
「……い、いいえ」
「であろうな」
「リーシャ!!俺達を騙していたのか?!」
「君が聖女だと言うから俺達は信じたのに!」
「騙していたのか?!」
「五月蠅いわね!!」
リーシャの言葉に耐え切れないと言った様子で第四王子達が彼女へと詰め寄る。
そんな彼らにリーシャは逆ギレをかました。
「ちょっとおっぱいを押し付けて上目遣いしただけで鼻の下を伸ばして簡単に信じたアンタ達が馬鹿なだけじゃない!」
「なんだと!?」
「この!」
「ちょっと触らないでよ!」
「ふざけんなよ馬鹿女!」
四人で掴み合いの乱闘を始める見苦しさにその場に居た人間が顔を顰める。
国王は頭が痛そうに蟀谷を押さえ、大きな溜息を吐いた。
「いい加減にせよ、愚か者共が!!」
「「「「!!」」」」
国王の一喝に四人が止まり、冷や汗を流す。
「己の犯した罪も認めずに醜くも王の眼前で喚くとは、反省の欠片も見られん。大方其方らは第四王子、騎士見習い、伯爵家の三男と家を継ぐ立場に無い故に聖女の威光を利用して上の者を蹴落とし自らが立とうと画策したのであろうが全て無駄な事だ。貴様らが上に立てぬのは生まれの順ではなく、その様な幼稚な策が通用すると思う愚かさと能力の低さのせいだ」
「なっ!」
「発言は許可していない」
国王の言葉に嚙みつこうとした第四王子が顔を真っ赤にして黙り込む。
「お前達の処遇を言い渡す。第四王子は断種の上で西の辺境にて砦の防衛勤務、騎士見習いは鉱山での採掘労働、三男坊は南辺境の漁船での漁業、聖女を騙ったお主には北の修道院での奉仕活動をそれぞれ二十年行う事を命ずる」
「な、」
「連れて行け」
「た、助けてくれ!」
近衛騎士に連行される第四王子が何故かわたしに助けを求めてくる。
「何故私が?(・・?」
「君があの時これから大変だが頑張れと言っていたのはこれを見越していたのだろう!俺達へ助言してくれていたじゃないか!」
見越してないかな。
規律を破り、神殿を馬鹿にし、大切な奉仕活動を馬鹿にする様な人を助ける気?(ヾノ・∀・`)ナイナイ。
「断罪を突き付けられていたあの状況で君は「ピースピース」と言っていた!ピースとは古代聖語で平和を意味する言葉だ、君はあの様な状況でも慈愛の心を持って平和を祈っていたじゃないか!?」
伯爵家の三男の言葉に「自身が謂れの無い事で虐げられていたのに、なんて慈しみに満ちた方なんだ……!」と囁く言葉が聞こえたけれどもそんな高尚な意味を込めたつもりはこれっぽっちも無かったし、なんならおちょくる為にやった。
どうしよう、置いた覚えの無い伏線がどんどん回収されていく。
「わたしに出来るのはただ皆さんが無事に償いを終える事を祈るだけです。自らの罪を受け入れ、己を見つめ直して下さい(´-ω-`)」
「そんな!」「待ってくれ!」「助けて!」「イヤー!!」
聖女様の使徒として取り敢えずお澄まし顔を表示し、それっぽい事を告げる。
それぞれに叫びながら四人は連行されて行った。
要件は終わったので教皇様と共に城を後にし、神殿へと帰る。
「ご苦労様、君はこれから聖女様のお世話にいくのだろう?頑張ってね」
「はい!ありがとうございます!(*^▽^*)」
教皇様へと別れの挨拶をして私は足早に聖女様の元へと急ぐ。
聖女様の部屋の前で身だしなみを整え、一呼吸付いてから扉をノックして入室すると金の瞳を持つ白い長毛種の猫である今代の聖女様が同僚の使徒の膝の上でブラッシングをされていた。
「ただいま戻りました、聖女様(-ω-)」
『おかえりニャさい。大変だったと聞いたけど大丈夫ニャ?』
「はい、聖女様のご威光のお陰で滞りなく終わりました(-ω-)」
『頑張ったって聞いたニャ、今日はご褒美にお腹に顔を埋めても良いニャ!』
「本当ですか?!ありがたき幸せ!!(*''▽'')」
クッションの上に移動し、щ(´Д`щ)カモ-ンとへそ天の体勢になった聖女様の丹念にブラッシングされた魅惑の白い毛並みへと誘われてわたしは顔箱君を外してお猫様へと近付き、ふかふかのお腹に顔を埋めて猫吸いをキメる。
あーーーーーー!!!!
お猫様最高!!




