表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族と共に殺されかけた少女、妖魔と契約して祓い師として立つ  作者: あるる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/11

第3話

 四国と九州の分校から派遣された祓い師たちがまとめた並高の七不思議は次の7つだった。


【図書室の持ち出し禁止書架】

 本来図書室にはないはずの本には特殊な持ち出し禁止のラベルがある。本自体は特に変わった様子はないが、知らずに読むと本の中に囚われてしまう。


【プールの底に引きずり込む手】

 授業や水泳部の練習中に足首をつかまれて引きずり込まれそうになる。慌てて助け上げると、足首には青黒い手形がくっきり残っているという。


【体育館の吊り天井から覗く顔】

 舞台の上や、バレーボールのネットが掛かる梁のあたりから、白い顔がこちらを見ている。近づくと消えるが、離れるとまた現れるが目を合わせてはいけない。


【合わせ鏡の廊下】

 旧校舎と新校舎を結ぶ廊下は満月の夜になると月の光を受けて鏡のように光、合わせ鏡の通路となる。合わせ鏡になっている時に廊下を通ると通路から永遠に出られなくなる。


【保健室の2人目の先生】

 昼間の先生とは違う人が、夜や放課後に保健室にいるという。その先生に声をかけると「ゆっくり休んで」とだけ言い、目を離すと消えている。また先生の言葉を信じてベッドで寝てしまうと別の世界に連れて行かれ、二度と目を覚まさない。


【聞いてはいけないチャイム】

 旧校舎には現在使われていない鐘があり、基本鳴らすことはないが、行事の時などは稀に鳴らすことがある。この鐘が普段の何もない時に鳴るのは、大型の台風などによる強風で小さく鳴らされたのでなければ、この学校が危機に瀕している時なので早急に脱出する必要がある。


【開かない校門】

 放課後、学生も教師も帰宅した後の学園を守る校門は翌朝まで絶対に開かない。

 乗り越える事も不可能になる。

 全ては学校の中を守るため、学校の中のものを出さないため。



 そして、2人は体育館とプールから遺体が発見された。結子の仕掛けによる霊的な騒動と探知機能のソナーの干渉により2人の遺体に掛けられていた隠蔽が剥がれたのだろう、との報告もあった。遺体は現在祓い師をまとめる政府機関「超常現象防衛統括本部」の中の科学研究所で検分中だそうだから、明日には追加情報が来るだろう。ついでに、増員もされるらしいので本部と清高(セイコー)、清浄高等学園の両方から無理せずあくまでも調査に留め独断専行しないようにとの忠告もあった。


「クロ~、思った以上にやっばいねぇ」

『まあな』

「なんか、あったみたいだね。知り合い?」

『直接は知らね。ただ、聞いた事があるやつっぽい、が断言はできねぇ』

「そっか、私が知らなくていいなら、情報確定したら教えて?」

『……ユウはさっさと寝な。また酷ぇ顔になってんぞ』

「うん、ちょっと、そうするわ。クロ、よろしくね」

『おう』


 そう、言うなりソファで横になると一瞬で眠ってしまった。寝た、というよりは気絶らしい。人や妖魔には存在感(・・・)というかアニメやコミックのように霊力や魔力がオーラのように、視える存在には見える。それはその存在の魂が持つエネルギーだ。

 人と妖魔のオーラはちょっと違う。祓い師は妖魔と契約しているため、誰もが多少オーラが混ざっているのだが、結子はクロとある意味一心同体のため混じり合っているどころではない。半人半妖、結子とクロの特殊な例を除くと基本はハーフしかいない。そしてハーフは、不安定でありつつも強力な力を持つことが多いためどちらの陣営にも嫌われる。

 増して今回のミッションの舞台である高校はあまりに綺麗(・・)なので、クロの存在は徹底的に偽装して隠す必要があった。繊細な霊力の調整は結子の得意とするところではあるものの、クロの存在を感知できないほどに隠すと言うことは、心身を保護しているクロのサポートも外す(・・)ことと同義だった。


『チッ、魂と身体にズレが出て来てやがる。早退しても誰も文句言わねえだろうに……』


 そう愚痴りながらメンテナンスを行ってくれているクロの様子を私は知らない。ただ、なんだかんだ言いながらも手つきが優しくて、温かいのを知っている。





 3年前、結子は双子の唯子、そして両親と共に事故に巻き込まれた。しかも妖魔の絡むトンネルでの交通事故で両親は即死、唯子と結子は大怪我はしていたが、まだ生きていた。結子たち一家を襲った妖魔は人を嬲り、喰らうのが好きな凶悪な奴で先に意識が戻った結子は散々に甚振られ、目の前で自身の四肢を喰われたがまだ心は死ななかった。だが、結子が甚振られている時に目覚めた唯子はあまりの惨劇に早々に心が折れ、魂が妖魔に囚われてしまった。


 絶体絶命のその時、結子の心を占めたのは「死にたくない!生きたい!!」だった。その魂の叫びに心惹かれてクロは現世へとまんまと呼び出されてしまった。眩しいほどのまっすぐな魂を【欲しい】と思った。だから、気分の悪い妖魔は即座に葬り、結子に問うた。


『オレ様を受け入れれば、生き延びられるぞ』


 と。結子は戸惑うことなく、クロを受け入れ、クロと生きると宣言した。歓喜に震える自分を見せないようにしつつ、クロは既に体の2/3を失っていた結子の魂を魂の抜けた唯子の身体へと移し、自らの能力を使って結子を生き延びさせた。全てが終わった時に祓い師の部隊が到着し、結子は保護された。


 両親と双子の姉の死という衝撃的な事実、そして妖魔に甚振られた恐怖とトラウマに、結子は事故前後の記憶が曖昧となってしまったが、クロの事だけは覚えており「この子のお陰で私は生きている!」と主張してクロと裕子は無事共に居ることが許されたが、祓い師となる事もまた決定された。

 結子にとっては願ったり叶ったり、クロにとっては退屈しないからいいか、程度のノリで2人は受け入れた。そして結子のリハビリがひと段落すると「清浄高等学園」の中等部へと入れられ本格的な訓練と座学が始まった。座学はクロには退屈そのもので、結子が知っていればいい、と放り学校内を好きに動き回った。

「清浄高等学園」は現実を見据えつつも理想を唱える、【人間らしい】場所だったが、結子ほどクロの目を引く存在はいなかった。また結子は元々の性格なのか、興味があったのかクロの能力を十全に使えるようにとにかく思いつくもの全てを試していた。あまりに熱心なので思わず『面白いか?』と聞くと「うん!」と嬉しそうに返され絶句してした。


 そこから如何にクロ、自分の能力が多岐に渡り、工夫次第では万能に近くなんでもできるかを熱弁され照れくさいやら、なんとも言い難い気持ちになり逃げたが、結子の『クロは凄いね!魔法みたいに私のやりたい事を実現してくれる!』という一言は悪くなかった。思わず、ユウが望むものを実現できるよう、少しはユウのいうものを学んでみるか、と思う程度には。


 その最愛、と本人は一生言わないが、愛し子が仕事とは言え疲弊し倒れているこの現状は……かなり気に入らない。


 確かに、面倒そうな相手だが、オレ様のユウを傷付けたのだからちょっと本気を出してやろう、とひっそりと誓う。何も知らず、クロの治癒と調整(メンテナンス)で顔色が戻った結子は平和な夜の中での眠りを享受していた――。

読んでいただきありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ