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家族と共に殺されかけた少女、妖魔と契約して祓い師として立つ  作者: あるる


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第26話

 翌日は放課後までは普通に学生として行動し、放課後はそれぞれ早々に行動開始した。


 私を迎えに来てくれたクロ(にい)とクラスメイトたちと話しながら中心街に行き、伊津那(いづな)市立総合体育館に行ってみるんだと言うと、改めてどんな設備があるのか教えてもらっていた。


「神崎さんは今日はなにやるの?」

「今日は基本見学だと思うんだけど、東京に居た時はプールの中でウォーキングする体力作りの教室とか行ってたから似たようなのないかな?って。あと、ボルダリングあるって聞いて、一度やってみたかったの~」

「え、いがーい! ボルダリングって結構大変なんでしょ?」

「そう聞くから、どこまで出来ないか(・・・・・)試してみたくて」

「そっち!?」

「あはは、神崎さん面白い! でもさ、案外自分の身体を腕力で持ち上げるとか中々無理よね~」

「私もできる自信ないわー」


 そうこうしている内に中心街につき、二人が降り、一人は途中まで一緒だからとバスを教えてくれた。他愛のない話をしながら、流石に欲しい情報は簡単には見つからないな、と思っていると……


「そうだ、神崎さんはやらないだろうし興味ないとは思うんだけど」

「うん?」

「飛び込みの競技あるじゃん?水泳の。 あれの専用プールはなんか変な噂あるからあそこは避けた方がいいかも」

「そうなんだ、知らなかった。私は泳げないからやらないけど、教えてくれてありがと~」

「ううん、じゃあ私ここだから! 楽しんできてねー!」

「うん! また明日ー!」


 屈託ない笑顔で去って行ったクラスメイトに手を振りつつ頭の中で総合体育館の地図を思い出す。正面入って右にスタジアム、左に屋内スポーツ用の5階建ての広い建物。その奥に体育館と左に様々なプールがある。

 どちらにせよぐるっと回る必要があるのを考えると、スタジアムとグラウンドを周ってから最後にプールへ行くことにした。それだけでも大分いいお散歩になりそうな広さがある。


 伊津那(いづな)市立総合体育館は綺麗だし、最新施設もあって築30年を超えるとは見えない。私たちはまずスタジアムにあるロッカールームで着替えて、荷物はスポーツバッグにまとめて持ち歩く。クロ兄は正直、着替える訳でもないから身軽そうで実に羨まけしからん!

 私は女性更衣室でスポーツウェアに見える戦闘服へ着替えた。戦闘用だからコルセット的に身体をサポートするようにできているから身体が動かしやすくて良い。何より完全オーダーメイドだからフィット感も完璧だ。嫌いな人もいるだろうけど、私はこの背中がピン!と伸ばされる感覚になるのが割と好き。


「クロ(にい)、おまたせ~! まずは軽く歩こっか」

「ああ、暑いから水分摂取は小まめにな」

「はーい」


 ちゃんとウォーキング、競歩に近い速さでスタジアム内の外側のレーンの更に外を二人で歩く。無言でてくてくと歩きながら周りを見渡すと短距離ダッシュをしている人や、スタジアムの真ん中は人工芝のサッカーコートになっていて半分ずつ別のチームが練習をしていた。

 ざっと見渡す限りでは特に問題もなく、変な気配もない。ただし、人為的に調整されている感はある。それにしても、日差しがキツイ。キャップを被ってるけど、眩しい……。


「ユウ」


 すっと渡されたペットボトルが冷えていて気持ちがいい。塩が強めのスポーツドリンクに身体がホッとしているのを感じる。想定外にいい運動をさせられているわ。

 スタジアムを一周して、割とへろへろになりながら建物に入って休憩する頃には、もう、横になりたかった。

 止まらない汗と上がっている息、全てが不快で、シャワー浴びて寝たい……。ほんっと、体力ない自分を悔しく噛みしめながら息を整えるようにゆっくり呼吸する。


「ごめん、動ける。いこっか」

「おう。無理すんなよ」

「ん、大丈夫。体育館とレッスンのスタジオとかいろいろあるみたいだから見て回ろう」


 少し甘えている感を敢えて出しながら、一緒に施設内を見学していく。綺麗で空調管理もバッチリで何もなければ普通に通いたいと思う場所だった。本当に何もなければいい場所なのに。


 スタジオは特に問題なかった、体育館も三ヶ所あり、それぞれ確認していく。どの体育館も様々なスポーツが行われていて活気があった。バレーボール、バスケ、バドミントン。剣道などは別に道場があった。本当に広い施設で高さもあり、市を挙げての総合施設とは言えかなり規模が大きい。

 首都圏ではこれだけ広大な土地を確保できないから、地方の良いところなのかもしれない。地方とは言っても日本はどこに行っても安全で発展してるし困る事もなく、移動手段を選べば3時間もあればどこへでも行ける。


 ――閑話休題。


 バドミントンの練習を見ながら体育館を見学しながら歩いていると、開いていた出入り口から建物と建物の間に中庭兼広場のような場所が見える。

 興味を惹かれて見に行こうとした時に視線を感じた。思わず反応しそうになるのを我慢して冷静を保つ。


「視られてるな、あっちにやはり何かあるのか……チッ、面倒だな。水は嫌いだ」

「あーやっぱし、プールなのかぁ。私泳げないから深くない方で、せめて」

「ユウ、それフラグだろ」

「あ、あはは……はあぁぁぁぁ。憂鬱すぎるんだけどぉ! 私潜れないし、沈んだら浮かべないよ?」

「とりあえず、場所の確認にはいくぞ。一旦は特定だろ」

「はぁい」


 クロ兄に連行されて、渋々――本当に渋々――プールへ向かい、ウェアに着替えた。もちろんラッシュガードを着こんでちゃんと武器と緊急用のものも準備した。

 視線はずっと背中の方に感じている。やっぱり六芒星の頂点に当たる施設に近付くと警戒されるのかもしれない。恐らく近づくほど殺意が増しそうだな、と考えながら柔軟してからそっとウォーキング用のプールに入ると、温かかった。

 屋内プールだけあって、水温調整はバッチリだな~と感心しつつ一往復しながらそっと奥の飛び込みの方を確認すると、数人だけ飛び込みの練習をしていた。


 そこを綺麗にジャンプした女性が綺麗に回転してスッと水に入った。水しぶきも少なく、見本のような綺麗な飛び込みに思わず見惚れてしまう。

 何事もなく女性が上がってきたのを確認して、内心ホッとしつつ手をふると、にこーっと笑顔で小さく手を振ってくれた。やだ可愛い。

 女性の後に続いた男性はシンプルに綺麗に飛び込み、やはり水しぶきが少なく、本当に魚のようだった。



 本当に、ここに在るんだろうかと疑いつつ、プールに近付いて行くと、抵抗を感じた。結界ではない、だけどこれ以上進んじゃいけないと全身が拒否をして動けなくなり、全身が軋み、脂汗が出る。


「ク、クロ、にぃ……ここ、っ」

「ユウ、背負うから乗れ。アレ(・・)は去る者を追わない」

「あ、りがと…」


 私の魂に働きかけるような、嫌な感覚がまだ身体に残っている。身体に纏わりつく気配がぞわりとして、気持ち悪い。

 でも、あそこにある(・・)のは確定だろう。


 クロに背負われながら、私の意識は既に朦朧としていた。

 


 一方、瀬名晶と厳槌仁もまた、危険に直面していた――。


読んでいただきありがとうございます!

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